ゴキブリ駆除とゴキブリを寄せ付けない家にするために

ゴキブリ、嫌いな人、多いですよね。「ゴキブリ」という4文字を見るだけでも、「嫌!」という方も多いのではないでしょうか。
てかてか光るボディで、突然、私たちの目の前に現れ、じっと止まっていたかと思うと、すごいスピードで逃げ去っていく。そんな不気味さだけでなく、あらゆるところを動き回るゴキブリは菌やウイルスの媒介となる恐れもあるなど、自宅にゴキブリがいないに越したことはありません。
ここでは、ゴキブリの効果的な駆除方法と、ゴキブリを寄り付かせない家にするための方法をお教えします。

①ゴキブリの基礎知識

本気で敵を倒すには、まず敵を知らなくてはいけません。ということで、まずはゴキブリの基本的な知識を知っておきましょう。

・家庭でよく見られるゴキブリは4種類

世界には約3,500〜4,000種類ものゴキブリがいるとされ、日本で見られるのはそのうちの60種類前後といわれています。ゴキブリの大部分は野外に生息し、屋内で生息する種類は僅か。そのなかで、日本の家庭でよく目にするのは次の4種です。
■クロゴキブリ:黒褐色の体を持ち、全国に分布しています。体長は25mm〜40mm。ゴキブリと聞いて多くの人が頭に浮かぶのが、このクロゴキブリではないでしょうか。殺虫剤等のパッケージに描かれているゴキブリも、おおむねクロゴキブリです。
■チャバネゴキブリ:その名の通り茶色がかっている小ぶりのゴキブリで、体長は11〜15mm。こちらも全国に生息しており、一般家庭のほか、オフィスビルや飲食店で多く見られます。
■ヤマトゴキブリ:一見するとクロゴキブリに似ていますが、やや細身で体長は25mm〜35mm。北海道から東北、関東を中心に近畿くらいまでの主に東日本で見られます。
■ワモンゴキブリ:体は赤みがかった褐色で、体長30mm〜45mmと大きいのが特徴です。もともとは沖縄や南九州に生息していましたが、近年は暖房設備の整備などによって全国的に見られるようになりました。
もともとゴキブリは温暖な土地でよく見られ、50年くらい前までは北海道でゴキブリを見ることはほとんどありませんでした。しかし、地球温暖化の影響や暖房の普及によって、今では日本全国の至るところでゴキブリが確認されています。このまま温暖化が進むと、これまで見たこともなかった種類のゴキブリが現れるかもしれません。

・ゴキブリの走力は新幹線以上!

ゴキブリを見つけて、スリッパや丸めた新聞紙などを片手に退治しようとしたものの、ものすごいスピードで逃げられてしまったという経験は、誰もがお持ちなのではないでしょうか。
ゴキブリはとても俊敏で、1秒間に体長の約50倍に当たる1.5m近く移動することができます。時速にすると5〜6km/hで、人間の早歩きくらいのスピードになります。あまりピンと来ないかもしれませんが、人間の大きさで換算すると、1秒で約80m〜100mくらい移動できることになり、時速換算すると280km/h〜300km/h。つまり、危険を察知した時のゴキブリは新幹線以上のスピードで逃げることができるというわけです。これではいくら追っかけても、なかなか退治するのは難しいといわざるを得ませんね。

・半年後には数十万匹。ゴキブリの繁殖力

「ゴキブリを一匹見かけたら、その30倍はいる」とよく言われます。それはゴキブリが巣をつくって暮らし、しかも繁殖力がすごいからです。
たとえば、メスのチャバネゴキブリは約半年の寿命の間に、3〜5回程度産卵します。1回の産卵で産む卵はひとつですが、卵はサヤ状になっており、そこから30〜40匹のゴキブリが誕生します。つまり、1匹のメスのチャバネゴキブリは一生に90〜200匹の子どもを残すのです。そして、そのうちの半分がメスだとしたら、同じように産卵し、どんどんどんどん増え続けるというわけです。1匹のメスゴキブリを見逃すと、半年後には数万匹〜数十万匹に増えている可能性があるのです。想像したくないくらい恐ろしいですね。

②ゴキブリのいる場所、やってくる場所

ゴキブリを退治するには、ゴキブリの習性を知ることも大切です。ゴキブリは夜行性で、巣を作って暮らしています。では、自宅に現れるゴキブリはどこからやってきて、どこに棲んでいるのでしょうか。

・ゴキブリが棲みつきやすい場所

ゴキブリが巣をつくる場所とはどういうところでしょうか。ゴキブリが好む場所は次の条件が揃っているところになります。
■水のある場所:ゴキブリも生き物ですから、水がなければ生きていけません。キッチンや洗面所などの水まわりにゴキブリが多く見られるのはそのためです。
■エサのある場所:ゴキブリはなんでも食べる雑食性です。私たち人間の食品はもちろん、髪の毛、フケ、垢、壁紙、仲間の糞など、なんでもエサにしてしまいます。
■暗くて狭い場所:基本的にゴキブリは夜行性で、昼間は暗く狭い場所に隠れています。家具や家電製品の裏など、人が普段目の届かない場所はゴキブリの巣になっているかもしれません。
■暖かい場所:もともと熱帯地域や亜熱帯地域で暮らしていたゴキブリは寒い場所が苦手で、暖かい場所に集まります。特に熱を発する冷蔵庫などの家電製品の裏などは大好きです。

・ゴキブリはどこからやってくるのか

まったく姿を見なくなって安心していると、どこからともなく現れるのがゴキブリです。では、ゴキブリは一体どこからやってくるのでしょうか?
ゴキブリはエサや暖かさなどを求めて、屋外からやってきます。ゴキブリの体長は、小さなチャバネゴキブリで11mm〜15mmですが、2mm程度の空間があれば、入ってくることができるといわれています。つまり、自宅と屋外の間に2mm以上の隙間があれば、そこから入り込んでくる可能性があるということです。近年の住まいは密閉性が高いため、隙間は少なくなっていますが、それでも下記のような侵入経路が考えられます。
■キッチンや浴室などの換気扇・換気口
■キッチン、洗濯機、洗面所、浴室などの排水口
■エアコンの排水ホースや室外機
■床や壁に空いた隙間
そのほか、玄関や窓を開けた時に入り込んだり、外部から来た人やモノにくっついて室内に入り込むこともあります。

③今いるゴキブリを退治するには

いよいよゴキブリの退治方法です。ここでは市販されているゴキブリ駆除用品の特徴と上手な使い方についてご紹介します。

・ゴキブリ駆除用品の種類と特徴

ドラッグストアなどに行くと、たくさんの種類のゴキブリ駆除用品が販売されています。その主なものについて紹介しましょう。
(1)トラップ(捕獲)型:『ごきぶりホイホイ』などに代表される、誘引剤でゴキブリをおびき寄せ、粘着シート等で捕獲するタイプです。
(2)エアゾール型:『ゴキジェット』『コックローチ』などのスプレータイプで、ゴキブリに直接噴射して退治するものです。
(3)ベイト剤(毒エサ)型:『コンバット』『ホウ酸ダンゴ』のように、毒の入ったエサを仕掛け、それを食べさせることで退治するものです。
(4)くん煙型:『バルサン』など室内に殺虫成分の含まれた煙や霧をまん延させて退治させるものです。
(5)忌避型:ゴキブリを退治するのではなく、ゴキブリを寄せつけなくすることを目的としたもの。置き型タイプとスプレータイプがあります。
(1)(2)はその場にいるゴキブリを退治するもので、(3)(4)は巣まで殲滅させることを目的としています。

・ゴキブリ駆除用品の上手な使い方

上記の駆除用品のうち、「トラップ型」と「エアゾール型」は一匹ずつ退治していくものですので、たまたま1〜2匹入り込んだという場合には有効ですが、すでにゴキブリが棲みついてしまっている場合は効率的ではありません。
今、自宅にいるゴキブリを巣ごと殲滅したいのであれば、「ベイト型」もしくは「くん煙型」がおすすめです。しかし、これらも効果的に使用するには下記のような注意が必要です。

「くん煙型」は、すでにたくさんのゴキブリが発生している場合に一網打尽に退治できるというメリットがあります。ただし、卵には効かないので、卵から孵る1ヵ月後にもう一回行うとより効果的です。
大切なのは、煙を行き渡らせるために部屋を密閉すること。部屋数が多い場合には、広さに応じて複数個を同時に設置しないと、煙の来ない場所に逃げるだけで退治できないことがあるので注意が必要です。
「くん煙型」の弱点としては、数時間は家を空けなければならないことや、食器をはじめ、あらゆるところに薬剤が付着するため、小さなお子様やペットのいる家にはあまりおすすめできないことが挙げられます。

「ベイト型」は、毒エサを食べたゴキブリを少しずつ弱らせて退治しますが、毒エサを食べたゴキブリの糞にも毒が含まれるため、その糞や死骸を食べた仲間も退治できるというメリットがあります。
「ベイト型」の場合、それほど高い誘引効果があるわけではないので、ゴキブリと毒エサの接触頻度を高めるために、それなりの数を設置することが大切です。ゴキブリの通り道に仕掛けるよりも、冷蔵庫の下や裏など巣になりそうな場所に設置するほうが有効です。
「ベイト型」の弱点としては、ゴキブリを殲滅させるためには、毒エサを食べたゴキブリの糞や死骸を他のゴキブリに食べさせるという連鎖が必要ですが、部屋に食べかすなどの他のエサが多いと、なかなか連鎖が機能しないという点が挙げられます。

④ゴキブリが寄り付かない家を目指して

ゴキブリを家に寄せつけないためには、ゴキブリが棲みにくい環境をつくることが重要です。「ゴキブリが棲みつきやすい場所」でご紹介したように、ゴキブリは水のある場所、エサのある場所、暗くて狭い場所、暖かい場所を好みます。これらの場所を家の中からなくすことはできませんが、これらの場所を少なくすることが重要なポイントです。

・小まめな清掃が大切

まず大切なのは日頃の清掃です。ゴキブリのエサとなる食べかすや髪の毛などが落ちたままになっていないように、小まめに掃除機をかけたり、拭き掃除を行いましょう。特にゴキブリが好む水まわりの清掃は念入りに。浴室の排水口に溜まった髪の毛もゴキブリのエサになります。そして、時には家具や家電製品の裏側、押入れや天袋の中なども掃除して、巣を作らせないようにしましょう。
室内をきれいにし、清潔に保つことが、ゴキブリを寄せつけない家にするための第一歩です。

・ちょっとした生活習慣の改善も

次に、ついついやってしまいがちな生活習慣の改善ポイントです。たとえば、食べ終わった食品や食器をすぐに片づけたり、生ゴミを放置しないなども、ゴキブリにエサを供給しないためには大切です。また、シンクの水滴を拭き取ったり、食器用スポンジの水分を絞って乾かしておくことも、ゴキブリに水分を供給しないことにつながります。さらに、できるだけ床に直接ものを置かないようにして、暗くて狭い場所を減らすことも大切です。また、テレビやパソコンなどを長時間使用しない時は主電源から切ることで、暖かい場所を減らすことができます。
このようにゴキブリが好む場所をできるだけ少なくすることが、ゴキブリを寄せつけない家への近道になります。

・侵入経路の遮断しましょう

次に侵入経路を塞いで、新たなゴキブリが外からやってくるのを防ぎます。
換気口やエアコンの排水ホースなどには、目の細かいフィルターなどを取り付けましょう。ホームセンター等に行くと、換気口や排気口をホコリや脂汚れから防ぐフィルターが販売されていますし、エアコンのホースには専用のキャップなども販売されています。
配水管と床の隙間、キッチン台と壁の隙間などといった床や壁の隙間は、もし可能であれば、パテなどを使ってしっかり塞いでおきましょう。
そのほか、窓を開けておく時は網戸にする、外から持ち込まれたダンボールやビニール袋は小まめに処分するなど、日頃から注意することが大切です。また、玄関やよく開け閉めする窓の周りには、ゴキブリが苦手な忌避剤をまいておくのも効果的です。

・対策後のフォローも大切

上記のような対策を講じていても、外から帰ってきた時に衣服やかばんに付いていたり、送られてきた宅配便のダンボール箱のなかに入っていたり、買ってきた観葉植物の鉢のなかに潜んでいるかもしれません。大切なのは、1〜2匹のうちに退治して、巣作りや繁殖をさせないことです。そのためには、ゴキブリを見かけなくなった後も、念のためベイト剤タイプのゴキブリ駆除用品を仕掛けておくことをおすすめします。

⑤それでもゴキブリが出てくるときは

これまでゴキブリの駆除方法や寄せつけないための対策方法などをお伝えしてきました。しかしながら、人類が生まれる遥か前から生き延び続けてきたゴキブリは生命力が強く、殺虫剤の耐性なども身に付けながら繁殖しており、完全に退治することはできません。
しかも、上記に掲げた対策を完璧にできる方はごく僅かに過ぎないでしょう。というのも、たとえば、賃貸住宅ではパテを使って隙間を埋めるなどの対策には限界がありますし、集合住宅では他の部屋や共用スペースで対策が行われていなければ、いつまたゴキブリが自宅に現れるかわかりません。また、戸建住宅でも床下から這い上がってくるゴキブリを完全に遮断するのは困難です。
さまざまな対策を行ったにも関わらず、ゴキブリが減らないという場合は、プロの専門業者に依頼することをおすすめします。専門業者であれば、今いるゴキブリを駆除できるだけでなく、しばらくゴキブリの姿を見なくて済むような対策を講じてくれますし、ご依頼者の家庭に適したアドバイスも行ってくれるはずです。ゴキブリでお悩みの方は、ぜひ一度、プロの専門業者にご相談ください。

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