【わかりやすく解説】HDD(ハードディスク)交換方法/外付けHDD

パソコンの主な記録ディスクとして使用されているハードウェアとして、HDDというものがあります。このHDDというのはハードディスクドライブの略称で、パソコン内の様々なデータを保存しておくためのものであるため、ほとんどのパソコンで使用されています。昨今では書き込み速度が早くなっている記録用ディスクとしてSSDというものも登場するようになっていますが、容量に対する単価が高いことなどから、システムディスクとして使用されることは多いものの、メインの記録用ディスクとして使用されることはまだ多くはありません。
そんなHDDの特徴の1つであるのが、他のパーツに比べて交換や増設を行いたいということが多いという点です。特に頻繁に使用されているHDDについては故障の可能性なども高くなり、それに合わせて適宜交換や増設を考えなければなりません。
ただ、パソコンのパーツの交換というと、専門的なものというようなイメージが強く、自分で行うことができるのかどうかに不安がある人も多いのではないでしょうか。ここでは、そんなHDDの交換や増設について、知っておきたい基本的な知識やその方法を紹介します。

①使用しているパソコンの種類によって違いがある

ハードディスクの交換作業を行う場合、事前に確認しておきたいポイントの1つであるのが、現在使用しているパソコンがどのような種類の物なのか、という点です。パソコンと一口に言ってもその種類は多岐に渡っており、それによって交換の手順や難度には違いが生じます。ここでは、ミドルタワーパソコン、スリムタワーパソコン、ノートパソコンという3つのパソコンをピックアップし、それぞれの特徴と交換におけるポイントに付いて紹介します。

ミドルタワーパソコンでのポイント

最初に紹介するパソコンの種類は、ミドルタワーパソコンについてです。このミドルタワーパソコンというのは、比較的大型のデスクトップパソコンのことを指しています。基本的にパソコンは大型であれば有るほど、中のパーツの交換などは行いやすい仕組みとなっているため、このタイプのパソコンはHDDに限らず様々なパーツの交換を比較的スムーズに行うことができます。
特にポイントとなるのが、中を開けて確認し、交換を行う際の障害となることがほとんどないという点です。小型のパソコンになると特別な工具などがなければ取り外し作業を行いにくくなっていたりしますが、ミドルタワーパソコンの場合はドライバーが一本あれば大体の作業を行うことができます。

スリムタワーパソコンでのポイント

次に紹介するパソコンの種類は、スリムタワーパソコンについてです。こちらのパソコンはミドルタワーパソコンに比べて小型であり、内部のパーツの取り外しや交換作業についてより精密なものを求められる様になっているのが特徴的です。工具についてはミドルタワーパソコンの場合と同じくドライバーがあれば行うことができますが、パーツの配置によっては一部のネジが外しにくい奥まった場所に設置されていたりすることも多いため、より長く細いタイプのドライバーを用意しておくのが良いでしょう。また、内部をより細かく見ることができるように、ペンライトのようなものを用意しておくとさらに作業は行いやすくなります。
他にもポイントとなるのが、ネジを取り落とすことがないように、マグネット式のものを利用するということです。電子機器にマグネットを使用すると故障を招くのではないか、と感じられるかもしれませんが、そこまで強い磁気のものでなければ、大きな影響がでることはありません。

ノートパソコンでのポイント

最後に紹介するのは、ノートパソコンのポイントについてです。ノートパソコンの場合、使用している機種による違いがかなり大きく、一概にこのような難易度である、というように言うことができないのが特徴となります。
交換が行いやすい機種である場合、カバーを外すだけでハードディスクに到達できるようになっており簡単に取り外しや交換を行うことができる場合がありますが、そうでないものについては通常の方法では取り外せないものである可能性もあります。交換用のHDDを用意する前に、まずは事前にこのノートパソコンがハードディスクの自力交換に対応しているものであるのかを説明書などからしっかりチェックしておくのが良いでしょう。

②交換先となるハードディスクはどんな物を選ぶ?

自分が使用しているパソコンに付いて確認をしたら、今度は交換先となるハードディスクとしてどのようなものを選択するのが良いのかを考える必要があります。この先では、ハードディスクとして使用できるものの種類について紹介し、それぞれのメリットとデメリットについても紹介します。また、番外編として昨今使用されることが多くなっているSSDについても合わせて紹介します。

内蔵型HDD

交換先のHDDの種類として、最初に紹介するのは内蔵HDDについてです。内蔵型HDDというのは、その名前の通りパソコンの内部に設置するためのハードディスクです。このタイプのHDDのメリットとなるのは、まずは同じデータ容量で比較した場合、他の種類のディスクに比べて安価で購入することができる点にあります。さらにもう1つ、書き込み速度が全体として早いのが特徴的であるため、作業をスムーズに行えるという魅力もあります。OSを入れるためのシステムディスクとして考えるなら、外付けHDDに対して一日の長があるでしょう。
対して内蔵型HDDのデメリットとなるのは、設置に特別な作業が必要となる点と、自分のパソコンとの合致を考える必要がある点です。基本的に内蔵型HDDを設置するためには、3.5インチベイと呼ばれるものがなければなりません。(ノートパソコンの場合には2.5インチベイであることが多くなります)
内蔵型HDDを選ぶ場合には自分のパソコンに合致しているタイプの物を選ぶ必要がある上、どのようなデータ容量を持っているのかをも確認する必要があります。昨今ではディスク容量が大きくなっている傾向があるため、1TBや2TBというような大容量ディスクの数も多く、多くのデータを使用する人でも十分選択できるようになりました。
もう1つ、確認しておきたいのがキャッシュ容量についてです。これは書き込み速度に影響を与えるもので、容量が大きいものほど高い書き込み速度を有することになります。ただ、これは影響がそこまで大きいものではないため、選択する際の決定的なポイントとして考える必要はないでしょう。

外付けHDD

交換先のHDDの種類として次に紹介するのは、外付けHDDについてです。これは内側に取り付けを行うのではなく、外側に設置するためのHDDであるため、大きなメリットとなるのがその設置の簡単さです。どうしてもパソコンの内部を触るということになると故障させてしまうのではないかというように不安に思う方が多いかと思いますが、こちらについてはそのような心配がほぼありません。
外付けHDDは内蔵HDDに比べると容量に対する費用が少々高めです。それでも、昨今では大容量のものが比較的安価に購入できるようになっているため、十分選択肢として考えることができるでしょう。
外付けHDDを選ぶ場合、使用するケーブルがどのようなものであるのかもポイントの1つとなります。USB2.0や3.0が使用されるものが主流ですが、パソコンによっては対応するポートに空きがない可能性もあるため、その点も考慮して考えるようにしましょう。また、SATAケーブルを使用することによって、内蔵HDDを外付けHDDとして使用するという方法もあります。むき出しの状態になってしまうため故障には注意を払う必要がありますが、コストは安く済み、外に設置できることによって排熱が行いやすいというメリットもあります。

SSDってどんなもの?

最後に紹介するのは、厳密にはHDDではないものの、昨今使用されることが多くなっている記録用ディスクであるSSDについてです。SSDというのはソリッドステートドライブの略称で、HDDとの大きな違いは記憶装置として半導体素子メモリというものが使用されている点です。シークタイムがないためにランダムアクセス性に優れ、物理的な可動箇所がないために電力があまり掛からずに駆動音がなく、かつ衝撃にも強いというメリットがあります。そのかわり、容量に対する価格がまだまだ高い点や、使用用途によっては寿命が短くなってしまう可能性がある点等がデメリットとなっています。
前述のような特徴からSSDは大容量を保管するためのディスクとしてはあまり適していませんが、高速で読み込みを行いたいものを保管しておくためのディスクとしては効果的なものです。そのため、特にOSを中心とした高速起動が効果をもたらすタイプのソフトウェアを保管しておくための場所として使用されます。
ただし、このSSDは3.5インチではなく2.5インチのディスクであるため、一般的なデスクトップ型のパソコンに設置を行いたい場合にはそのままでは使用することができません。変換を行うためのパーツを別途用意する必要がある点には注意が必要です。

③準備ができたら、いざ交換

前述のような情報を揃え、交換先となるHDDを用意したら、実際に交換作業を行っていくことになります。ここでは、実際のHDDの交換作業に於いてどのような手順を取ることになるのか、そのポイントについて紹介します。ここでは「内蔵HDDの交換」「外付けHDDの交換」「システムドライブの交換」という3つのポイントに絞ってその手順を紹介します。

内蔵HDDの交換

まず最初に、内蔵HDDを交換する場合の手順について紹介します。内蔵HDDを交換する場合、まず準備しておきたいのが静電気対策のグッズです。静電気を防止するための手袋や、静電気を放電するためのシートなどが市販されているため、こういったものを1つ用意しておくと良いでしょう。また、作業を開始する時には必ずパソコンをコンセントから抜き、その上で数分程度待ってから作業を行います。これは放電作業で、この作業を行わないで作業を行うと故障を引き起こしてしまう可能性もあります。
この作業を行ったらパソコンの蓋を外し、内部を確認してHDDの設置箇所を見つけます。大抵の場合HDDはサイドパネルの中にあるため、これを取り外し内部を見やすくしてから作業を行いましょう。交換したいHDDのSATAケーブルを慎重に取り外し、ベイのネジをドライバーで外してHDDをベイから取り外します。ネジは小さいものであるため、中に落としてしまうことがないように注意しましょう。用意しているHDDがちゃんと合致しているものなら、これを逆回しで行うだけで新しいHDDを設置することが可能です。ケーブルを間違わないように注意をしましょう。

外付けHDDの交換

次に、外付けHDDを交換する場合についてです。と言っても、外付けのHDDの場合、交換は非常に簡単なものとなります。現在使用している外付けHDDのケーブルを抜き、新しいものを指し直すだけです。ただし、使用しているポートが違うタイプのHDDを新しく接続したい場合などについては、その空きがあることを確認する必要があります。また、USB2.0と3.0は見た目上混同してしまうことが多いため、その点についても購入時にしっかり確認を行っておくようにしましょう。

システムドライブの交換

最後に紹介するのは、システムドライブを交換する場合についてです。このシステムドライブというのはHDDの種類ではなく、簡単に言うとOSが入っているHDDの事を指しています。これを交換する場合、新しいパソコンにOSが入っていない状態となってしまうため、交換作業を行う前に必ずOSを入れ直すためのディスクの用意やデータのコピーを行っておくようにしましょう。OSデータをコピーする場合にはHDD交換後にそのまま使用できるようになりますが、新しくディスクを使用する場合には手間がかかります。この点に注意をしておけば、後は他のディスクの交換とそれほど手順の違いはありません。

注意点とまとめ

それでは最後に、HDDの交換方法についてまとめを紹介します。まず重要なのは自分のパソコンについてしっかりその種類を把握し、それに応じたHDDを用意するという点です。昨今ではシステムドライブとしてSSDを使うなどの方法もありますが、ベイのタイプの違いなどもあるため、その点も合わせてしっかり交換先のものとして使用できることを確認しておかなければなりません。
また、交換作業を行う場合、もう1つポイントとなるのが交換前のHDDで使用されていたデータのバックアップをしっかり取っておくということです。交換作業を行ってから、古い方のディスクに必要な重要ファイルがあることを思い出した、となると二度手間になってしまうため、必ず事前にデータ移行を行うための準備を整えておくようにしましょう。この作業のためには少なくともHDDが2つか、パソコンが2つか必要となるため、その点も含めて作業のために必要となる道具や機材を用意しておくことが重要です。

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