トイレの水漏れの原因と対処法
ここでは、水漏れしたトイレの原因と対処法を紹介しています。
水漏れの起こりやすい箇所をご説明してから、なぜ漏れてしまうのかを解説します。
原因がわかれば対処法を試していただき、それでも直らない場合は問い合わせについても載せているため、トラブル解決のための参考にしてください。
1.水漏れの起こりやすい箇所と原因
トイレの水漏れの多くは、経年劣化からのトラブルです。そのため水漏れが起こった場合、まずはその水がどこから漏れているのかを確認しなければいけません。
ただ、水漏れの起こりやすい箇所はいくつか決まっているため、それらの場所を丁寧に調べて原因が見つかれば対応することが可能です。
場所によって原因も対処法も異なるので、まずば水漏れの起こりやすい箇所別に原因をまとめました。
1-1トイレタンク
手洗い付きタンクの場合、持ち上げるだけでフタを開けられるタイプと開けられないタイプがあります。ご自宅のタンクがどちらのタイプかにもよりますが、フタを開けられるタイプなら、落として壊さないよう床に置いてから作業を始めましょう。
内側に樹脂カバーがあれば、その上に水や汚れが溜まっていないかを確かめてください。フタの裏側を見て整流スポンジが潰れていたり、カバー上のスポンジが外れていませんか?これらのスポンジが劣化したり、きちんとはめ込まれていなければ水が漏れる可能性もあります。
カバーが付いていない場合はタンク内が見えるので、タンク内と手洗い部分を接続するホースが切れたり外れたりしていないかを見てください。また、ボールタップと呼ばれる浮き玉が下がることで、タンク内は貯水できるようになっています。上がれば水が止まるわけですが、このボールタップが機能しないことで水が溢れることがあるのです。
タンクの底にゴムフロート呼ばれるパーツがあります。これが水を流したり止めたりするわけですが、劣化することで水が止まることなく便器に流れっぱなしになります。ボールタップが機能しないときは、鎖とレバーに繋がっているこのゴムフロートの力を借ります。レバーを引けば鎖が持ち上がりゴムフロートが開くことで水も流れるわけですが、鎖が切れていると何度レバーを引いても流すことができません。
1-2パイプの接合部分
レバーが引かれたときパイプの接合付近から水漏れが起きる場合は、配管を繋いでいるナットなどが緩んでいるかもしれません。もしくはパッキンが劣化していることも考えられます。トイレタンクとパイプ。分岐部分とパイプ。それぞれの接合箇所にあるパッキンの劣化、ナットの締まり具合によっては水漏れが引き起こされます。すべての場所で同じ部品が使われているとは限りません。そのため見極めずらいところもありますが、これらの接合している部分がしっかり固定されていることが水漏れ防止になります。
壁とタンクに繋がっているパイプが原因のケースもあります。狭いトイレ内で見えにくい角度もあるかもしれませんが、ナットとの緩みやパッキンの劣化で同じように水漏れを起こします。便器とタンクを連結しているパイプも確認しましょう。
1-3便器
便器から水漏れが起こっている場合は、便器のどこかにヒビが入っている可能性が高く、部分的に割れている状態です。便器は耐久性のある陶器で作られていますが、何らかの刺激が加えられてヒビが入ることもあります。
例えばトイレの電球を交換するとき、つい便器を踏み台に使ってしまった。こうなると余計な負荷をかけられていることになるため、圧力に耐えられず割れたりします。便座や便器は踏み台として利用する想定では作られていないので、想定外の行動に対する強度が足りないわけです。
1-4ウォシュレット
あまり聞かないかもしれませんが、ウォシュレットも水漏れします。特にノズル部分が汚れていることで目詰まりを起こし、動作が鈍くなって水漏れも発生しやすくなるのです。便器本体とウォシュレットのメーカーが違うと水漏れが起きて慌てることもありますが、多くはウォシュレットと便座を繋いでいるパイプのナットの緩みやパッキンが原因となります。他の箇所と同じですが、きちんと閉まっていなければウォシュレットを接合するパイプの横から漏れたりするのです。
1-5便器本体と床の隙間
便器本体と床の隙間から水漏れする場合は、本体ごと交換しなければならない状態のときもあります。ただ、交換する前にチェックして欲しいのが、便器の結露です。冷たい水が流れる便器の温度は低くく、湿度も高いでしょう。そのため便器には水蒸気がたくさん存在していることになります。これが冬になるとトイレ全体の気温が下がるため、水蒸気のままではいられない水分は結露となって現れるわけです。水漏れの量が少ない場合、便器に付いた結露が床との隙間に流れただけかもしれません。
床下の排水管や配管のトラブルも否定できませんが、給水管やタンク、パイプ類からの水漏れが床に伝わって溜まってしまったことも考えられるでしょう。水はどうしても低い方向へ流れる性格なので、便器本体と床の隙間で漏れたような状態に見えたとしても不思議ではありません。
2.自分でできる対処法
トイレの水漏れトラブルを業者へ依頼すると、症状が軽くても工賃や手数料などを支払う必要があります。業者を呼ばなくても自分で対処可能な範囲もあるので、水漏れの起こっている箇所がわかったら、それぞれの対処法を試してみてください。業者へ連絡するのはそれからでも遅くはありません。
2-1止水栓を止める
止水栓は閉めておきましょう。止水栓は給水管と壁を繋いでいるため、ここの栓を閉めておかなければ水が溢れてしまう恐れもあります。マイナスドライバーで開閉するようになっているため、作業が終わったら忘れないで開けましょう。固くて自分では回せない場合は、宅地内にある全体の元栓や、玄関付近にあるパイプシャフト内にある元栓を閉めてください。元栓を閉めることで作業中の浸水被害は起こりません。
閉めたとしても作業の過程で水がハネてしまうこともあるので、できれば床にビニールシートなどを敷きましょう。止水栓を止めれば便器内へ水が流れなくなりますが、それでも水漏れが改善されない場合は、タンク内にあるゴムフロートの交換をしてください。
それにはまず、タンク内を空っぽにする必要があります。レバーを引いてタンク内の水を便器へ流してください。タンク内が空っぽになったら、フタを開けてノズルやホースを外します。レバーと繋がっている鎖を外し、ゆっくりゴムフロート取り出しましょう。新しいゴムフロートにはフックが付いているので、捨ててはいけませせん。ゴムフロート本体を底にある装置に配置し、レバー側にフックを付けます。フックの下側から鎖の玉2~3個分上の位置で、フックにかけます。鎖は少し余裕を持たせている状態にします。
次に止水栓を開けてタンクに水を満たしてください。交換したゴムフロートが機能しているかどうか確認しましょう。パイプやホースのあった位置から10~15mmくらい下になるくらい、止水栓を閉めながら様子を見て調整します。ノズルやホースを元の状態に戻し、最後にフタを閉めます。
止水栓を全開にし、便器内に水が流れていないか確かめて問題なければ大丈夫です。
2-2パイプ等の連結部分を締める
タンクや便器、ウォシュレット部分の分岐点など、接合されているパイプのナットをすべて締めてください。ナットの形によっては締めにくいものもありますが、ペンチやレンチがあれば簡単にできます。パイプの太さでナットの大きさも違うため、ご自宅にある工具で対応できるかどうかを確かめましょう。特に給水管に近いところは太さがあるので、手持ちの工具では難しいこともあるかもしれません。使われている材質はほとんど鉄やステンレスです。無理して締めようとすれば連結部分に傷が付いてナットの形が変わったり、工具も傷んでしまう可能性が高いので、ホームセンターなどでパイプの大きさに対応できる工具を探してください。
形状としては六角ナットが一般的ですが、ネジ穴のない円形ドーム型の袋ナットもあります。多くは六角ナットが使われていますが、高さやネジ山の違いによって種類もあるため、ナットの形状や大きさに工具を合わせてみましょう。
ナットが動かなくなるまで締まればれば大丈夫です。気になる人は1度少し緩めて、再度きつく締め直しても構いません。
2-3パッキンの交換
タンク裏の整流スポンジやパイプに使われているパッキンなど、劣化している部品を交換しましょう。新しく磨り減っていないパーツに変えることで、水漏れへの不安も軽減します。劣化したままのパッキンは弾力性がありません。そのため本来の役割を果たすことができず、防水機能や固定機能が損なわれていると考えられます。種類やメーカーによってパッキンの形は違うので、取り扱い説明書などで確認してください。わからなければ、パイプの太さを測った上でホームセンターの店員に相談しても良いかもしれません。
パッキンを用意できたら、ナットを緩めて内側にあるパッキンを取り出しましょう。パイプによってはフィルターにパッキンが付いている場合もあり、摩耗して取り出しにくいときはピンセットなどを使ってください。
古いパッキンを外したら、必ずパッキンの周りをキレイに拭いてください。劣化するほど放置していたなら場合によってはこびり付いていたり、取り外せたとしても一部が残ってしまうことがあります。うまく取り除けたとしても、パッキンとパイプの隙間に埃や汚れが付着していないとも限りません。そのため新しいパッキンへ交換する前に掃除をしてください。掃除を終えたら、新しいパッキンを付けてナットを締めます。フィルターが付いているタイプは付け忘れないように注意しましょう。
3.それでも直らない場合は
対処しても直らない場合は、専門業者へ相談してください。現状を報告し、水漏れを起こしている他の原因を探してもらいましょう。部品の交換などで直らなければ、トイレ本体を丸ごと交換したり、排水設備の点検や修理をする必要もあります。そうなってしまうと専門領域となってしまうため、これ以上は触らないようにしましょう。強引に直そうとすると、別の問題が起きてしまうかもしれません。
また、原因箇所を確認する時点で、「部品を外したら元に戻せないかもしれない」「うまく交換できるかどうかわからない」と心配のある人は、最初から業者へ依頼する手段も悪くはないです。そこで修理代を惜しんで挑戦しても構いませんが、ゴムフロートなどを交換する場合は部品を外したり取り付ける作業をしなければならないので、元に戻すことができなければトイレを使うこともできません。
ただ、業者にすぐきてもらえない場合でも、止水栓だけは止めておいてください。目で見てわかるパイプ付近から漏れているなら、応急処置として布ガムテープやビニールテープを貼っておくという方法もあります。ただ、修理してもらうときに剥がしにくいので、クラフトガムテープは使ってはいけません。業者が修理をしている間はトイレを使うことができないため、近所のコンビニやスーパーなどで済ませてから連絡したほうが良いかもしれません。
どんな状態だったのか。直る前の状態と修理してもらったあとの状態を比較するためにも、できれば写真などで残しておく方法もおススメします。よく知っている業者なら大丈夫ですが、「安いから」という理由で選んだにも関わらず、あとから追加料金を請求される事例も報告されています。選んでいる時間はないかもしれませんが、どこの業者に頼むのかは比較して検討しましょう。
戸建てなら、施工してくれた工務店やメーカへ業者を紹介してもらったり、集合住宅なら管理会社へ問い合わせてみるのも1つの方法です。紹介を経由すると修理代金が心配になったりもしますが、ちゃんと直してもらわなければ困るスペースなので納得できる業者へ連絡してください。
まとめ とあえず止水栓を止めよう
トイレの水漏れを発見したら、漏れている箇所や原因が見つかるまで被害の拡大を防ぐ目的で、ひとまず止水栓を止めて水が流れてこない環境を作りましょう。どこに不備があろうとも、何が原因であったとしても、止水栓さえ止めておけば水の供給がなくなるため浸水の心配はありません。止水栓を止めないまま点検や作業をしていると、思わぬところで水が飛び散ったりするため、次の解決策を見つけるためにも止水栓は真っ先に止めてください。
部品の交換は比較的簡単にできるものが多く、水漏れトラブルへの対処法として有効です。ただ、トラブルの発生している場所によっては専門知識と技術が求められるので、起こりやすい箇所として紹介されていないところからの水漏れは、業者に相談して対応を待ちましょう。