ペアガラス(複層ガラス)のひび割れを修理する方法

割れやすさがデメリットとされる「ガラス」ですが、最近では割れにくくなおかつ性能が高いガラスが次々と登場しています。 特に断熱および遮熱効果に優れており、結露も防止してくれる「ペアガラス」「複層ガラス」は多くのご家庭から検討される製品となっており、大変人気です。また、ペアガラスも複層ガラスも快適かつ安全な空間を実現するためには有効として重宝されているため、すでにご家庭に取り入れられている方も多いかと思います。 しかし、どれだけ性能が高くなったとはいえ、ガラスはガラスなので一定以上の衝撃が面に加わってしまうと割れることはあります。特にペアガラス・複層ガラスにおけるトラブルの典型となっているのが「ひび割れ」。さらに太陽光によって熱が上昇することによって起こる「熱割れ」もまた悩みの種と言っていいでしょう。 せっかく高性能なガラスを購入したのに、早速ひび割れたという方はどのような対策をすべきなのかお困りだと思います。そこでこの記事ではペアガラスと複層ガラスにおけるひび割れの修理について具体的に解説していきたいと思います。 他にもペアガラスと複層ガラスの違いをはじめ、知っておいて損のない情報も付け加えていますので、修理を検討されている方はぜひ参考にしていただきたいと思います。

 

はじめに

はじめにネット上で多くの方が検索されているひとつの疑問からお答えしたいと思います。 その疑問とは「ペアガラスと複層ガラスの違い」です。 事実、ネット上でペアガラスと複層ガラスについて検索すると「違い」という関連キーワードがつきまといます。つまり、それだけ多くの人が「ペアガラスと複層ガラスの違い」について検索しているということです。 では、ペアガラスと複層ガラスの違いとは何でしょうか? 結論から言ってしまうと、ペアガラスも複層ガラスも”同じ製品”です。 「複層」の意味は性質の異なるものが重なっていること、「ペア」の意味は一組となっています。もうお分かりかと思いますが、複層もペアもほぼ同じ状態を指しているので、ペアガラスも複層ガラスも同じ製品ということになるわけです。 とはいえ、ネットを見ていると「ペアガラス(複層ガラス)」といった表記や「複層ガラス(ペアガラス)」といった表記を目にすることがあると思います。このような表記を見てしまうと混乱しそうになりますが、実は「ペアガラス」という名称は旭硝子の登録商標なのです。しかし、同ガラスは非常に人気となり、世間に知れ渡ったことで一般名詞といっても過言ではなくなったこともあり、複層ガラスと分ける形で異なる名称を用いるようになったと言われています。 あらためて結論をいうと、ペアガラスと複層ガラスはまったくもって同じ製品です。しかし、商品の規格によって名称が異なるためにそれぞれネーミングが用意されているというわけです。

 

②特徴

続いてペアガラス(複層ガラス)の特徴を解説します。 ペアガラス(複層ガラス)の特徴は2枚のガラスが空気層を挟んでいるというかなり印象的な構造となっています。実はこの空気層がいい働きをしてくれる要因で、冬は寒い外気を遮断し、夏は太陽熱を可能なかぎり抑制してくれるのです。 この特徴によって春夏秋冬エアコンの効率を高めてくれますから、省エネ効果を存分に味わうことができますし、ガラスの表面が冷えないという効果も加わるので、結露に悩まされることがなくなります。よって、断熱効果を期待したいのであれば、おすすめのガラスといえます。 最近のペアガラス(複層ガラス)はさらに進化を遂げていて、各メーカーによって様々なラインナップが用意されています。そのなかでも断熱・遮熱効果だけでなく結露防止効果をプラスし、さらに春夏秋冬問題なく利用できる「Low-e(ロウ・イー)」タイプはかなりの人気を誇っています。 なお、ペアガラス(複層ガラス)における空気層の厚みは自由に選ぶことが可能で、6mmや12mmが一般的。現在のトレンドとしては高機能なサッシに加えて厚めの空気層が入っているタイプがあげられます。 ここで疑問に思うのが「空気層の厚さで断熱効果ってどれほど変わるものなの?」という点。確かに断熱性能を高いものにしたいなら6mmよりも12mmの方に軍配があがりますが、遮熱の性能値と両者を比較してみると空気層の厚さの違いはほぼありません。よって、断熱効果を期待したいなら空気層が厚いものを選べばいいのですが、遮熱効果に関してはどれも同じなので、目的を明確にして選ぶことが重要になりますね。 なお、ペアガラス(複層ガラス)はガラス2枚と空気層を合わせた構造になっているため、一般的なガラスよりも厚みがあります。これによって上記で上げた効果以外にも「防音効果」も期待できるため、2枚構造のうち1枚を防犯性の高いものにすることで、さらに快適な空間づくりを実現することが可能になります。

 

③なぜひび割れは起こるのか?

さて、高性能かつ理想的な空間づくりに欠かせないガラスといっても過言ではない「ペアガラス(複層ガラス)」ですが、ひび割れが起こりやすいということでも有名です。
事実、この記事を読まれている方の多くは、そのひび割れが起こり、困っていることと思います。 では、なぜひび割れが起こるのでしょうか? それはペアガラス(複層ガラス)が「熱割れ」と呼ばれる現象を起こすためであり、車のフロントガラスにひび割れが起こるケースとほぼ同様のもの。要するに文字どおり太陽光や外部もしくは内部の熱における膨張に耐えられなくなったことが原因でひび割れが起こるのです。 ペアガラス(複層ガラス)の熱割れは基本的にオールシーズン注意が必要ですが、たとえば冬場の夜間にガラス自体が急激に冷やされ、日中は急激な温度上昇でガラス本体が膨張すると熱割れが起こります。つまり、急激な温度変化による膨張を防がないことにはいかなる製品でもひび割れてしまう可能性があるということです。 そもそもガラスは無理な力がかかると割れたり、ひび割れが生じます。特に空気層を含んで真空になっているペアガラス(複層ガラス)は、構造上からしてガラスに力がかかっているため、熱という違う力が加わると膨張しやすくなってしまうのです。 なお、ペアガラス(複層ガラス)は断熱性が高いことから内側は膨張しません。

 

④ペアガラス(複層ガラス)の修理

ペアガラス(複層ガラス)の簡易的な修理であれば、自力で行うことも可能です。ただし、あくまでもガラスのひび割れが少ない状態に限ります。 具体的なペアガラス(複層ガラス)の修理方法は以下のとおりです。 ・専用の補修テープを貼る
・専用の補修接着剤を使用する まず専用の補修テープを貼る方法ですが、これはホームセンターなどに売られているガラスのひび割れ専用の補修テープを購入し、問題の箇所に貼り付けるだけです。よって、初心者でもかんたんにできるので、修理における特別な知識は必要ありません。 続いて専用の補修接着剤を使用する方法も補修テープと同様です。ホームセンターに行けば接着剤が売られているので、ひび割れ専用のものを選びましょう。ただし、製品によっては透明でないものもあるので、見栄えを気にするのであれば必ず透明のジェルタイプを選んでください。 ここまで読まれたらもうお分かりかと思いますが、結局のところ自力で修理する方法はあくまで一時的にひび割れを補修する方法にすぎません。つまり、何らかのアイテムでひび割れを完全に修復することは不可能ですし、専門業者もそのような作業は請け負っていないと思います。 そもそも、ひび割れたガラスを元に戻すことはできないので、完全な状態に戻すのであれば買い換える(新品と交換する)以外に方法はありません。 よって、単なる補修を求めているわけではないという方は、専門業者に依頼して新品のペアガラス(複層ガラス)に交換してもらうことをおすすめします。費用はかかりますが、単純な補修では完全に修理できていないため、やがて破損する可能性が高くなります。そう考えると、新品に交換したほうが安心ですし、快適な生活を過ごすことができるでしょう。

 

⑤ペアガラス(複層ガラス)の交換

ペアガラス(複層ガラス)のひび割れは完全に修理することは不可能です。そのため、新品に交換する以外に完璧な状態で維持する方法はありません。よって、ひび割れた状態を改善したいのであれば、新品への交換を専門業者に依頼しましょう。 ここで気になるのがペアガラスの交換にかかる費用。一般的な専門業者はガラス代と交換費を請求するのでそれらを合算した金額が必要になります。ちなみにペアガラス(複層ガラス)はすべてオーダーメイドになるのですぐに完成するわけではありません。 つまり、交換を依頼してからメーカーがガラスを製造するので、完成までには3日から7日ほどかかることが多いです。 なお、ひび割れた現状のガラスでは安全上の問題があるため、交換依頼をした当時に仮工事として割れたガラスを取り除き、新しいペアガラス(複層ガラス)が完成するまでの間、仮のガラスなどをはめて対応するケースがほとんどのようです。 交換にかかる費用は一概に言えませんが、15000円~50000円(ガラス一枚の場合)が相場となっています。 決して安い費用ではないものの、ひび割れたペアガラス(複層ガラス)を使用したままですと、さまざまなリスクを背負いながらの生活になるため、少しでも早い交換をおすすめします。

5.1ガラスの種類を把握しておこう

ペアガラス(複層ガラス)を新品に交換する際、注意していただきたいことがあります。
それはあなたが求める性能を持った種類を適切に選ぶということです。 現在、ペアガラス(複層ガラス)には以下の5種類がラインナップされています。 ・断熱タイプ・・・・太陽の熱を取り込みやすいだけでなく、室内の暖房熱を逃がさない特徴をもっているタイプです。特に寒さが厳しい冬を迎えるエリアの方におすすめです。 ・遮熱タイプ・・・・外気をシャットアウトする特徴をもっているタイプ。夏場が暑いエリアで冷房効率を上昇させたい方におすすめです。 ・強化ペアガラス(複層ガラス)・・・・ペアガラス(複層ガラス)といえば「断熱性」が優れているわけですが、このタイプはさらに強度が加わった製品になります。ごく一般的な板ガラスの3~5倍の耐風圧強度があるだけでなく、衝撃にも強いため、とにかく強度を重視する方におすすめです。 ・防犯合わせペアガラス(複層ガラス)・・・・ガラスとガラスの間に「中間膜」を挟んだタイプになります。これにより防犯性が上昇するだけでなく、UVカット効果も期待することができます。 ・異厚ペアガラス・・・・それぞれ厚さが異なるペアガラスで構成されているタイプです。一見すると何の意味があるのか不透明ですが、厚さを不均等にすることによって高い遮音効果を付加することができます。よって、静かな空間づくりを目指している方におすすめです。 このようにペアガラス(複層ガラス)と言っても、いくつかの種類があるのでどういった用途で使用するのか?どういった目的を持っているのか?を明確にした上で専門業者に依頼しましょう。

5.2 業者選びに失敗しないためのコツ

正直なところ、ガラスの交換や修理を専門としている業者はピンキリです。実績と信頼が伴っているところもあれば、どことなく怪しさが感じられるところもまで様々。よって、料金が安いからという理由だけで選んでしまうと失敗する可能性があります。 また、ガラス自体高価なものに変わりありませんが、ごく一般的なガラス交換にかかる必要はせいぜい15000円ほど。ペアガラス(複層ガラス)のように高い性能を持ったガラスに交換するとなると倍以上の費用が必要になります。この金額差についてもよく理解しておかないと騙される可能性があるので注意しましょう(例:実際はペアガラス(複層ガラス)の交換を依頼し、高い費用を支払ったものの、実際はお粗末なペアガラスもどきだった)。 よって業者選びに失敗しないためのコツは、できるだけ信頼と実績が伴っている業者を数社リストアップし、それぞれに見積もりを出してもらいます。 要するに「相見積もり」です。 相見積もりをすることでそれぞれの業者の特徴が見えてきますし、他社を競わせて料金を安くすることもできるので、必ず行うようにしてください。 基本的に見積りの段階で態度が悪かったり、非常識な行動を取っている業者は信頼に値しません。だからこそ、業者の対応にも目を光らせるようにしてくださいね。

 

まとめ

残念ながらひび割れが入ってしまったペアガラス(複層ガラス)は、いかなるアイテムを使っても完璧に修理することはできません。 状態を100%にしたいのであれば、新品に交換するほかないことを理解しておきましょう。 なお、ひび割れの一時的な補修には専用のテープもしくは接着剤が便利。ただし、あくまで一時的な補修でしかないので、放置したままではやがて破損する可能性があります。 よって、安全かつ快適な空間を手に入れたいなら、新品に交換することをおすすめします。

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