網入りガラスの結露防止対策!網入りガラスでもできる対策方法は?
アパートやマンションによく使われている「網入りガラス」。
凹凸のついたガラス板に金属の黒いワイヤーが格子状に入ったガラスを見かけたことのある人は多いでしょう。
防犯対策としても震災対策としてもよく使われる網入りガラスですが、実は大きな弱点が一つあるのをご存知でしょうか。 その弱点とは、「結露防止のためのグッズが使えない」という点です。
今回の記事では、何故網入りガラスには結露防止グッズが使用できないのか、という原因の解説と、網入りガラスでも使用できる結露防止グッズを紹介します。
1.網入りガラスとは?
網入りガラスとは、その名前の通り網が入ったガラスです。
より正確に説明すると、金属製のワイヤーで編まれた網がガラスの中に仕込まれており、黒いクロスの模様が入っているようにも見えます。
網入りガラスは別名線入りガラス、ワイヤー入りガラスとも呼ばれており、マンションやアパート、ビルディングなどによく使われています。
1.1網入りガラスの仕組み
網入りガラスは、ガラスのなかに金属製のワイヤーが入ったガラスです。
金属のワイヤーがガラスから透けて見えるので、ダイヤ型やひし形の模様が見えるものが多いです。
最近はその模様がおしゃれに見えることから、デザインガラスとしてテーブルトップなどに使われることもあり、人気を集めています。 金属の網が入っていることから防犯対策に有効と思われがちな網入りガラスですが、残念ながら防犯対策としてはあまり効果的とは言えません。
網入りガラスの強度は通常の板ガラスとあまり変わらない上に、ワイヤーの網も専用の器具があれば簡単に切れてしまうからです。
では、どういった目的で網入りガラスは設置されているのでしょうか。
1.2網入りガラスの長所
網入りガラスの特徴として、網が入っていることで割れたときに飛散しないという特徴があります。
通常ガラスは割れたときに細かい破片になって飛び散りますが、網入りガラスの場合は中に金属製の網が入っているので、割れたときに飛び散りにくいのです。
この特徴を生かして、火災時の延焼を防ぐために設置されている場合があります。 さらに、網入りガラスは防火対策のみならず、震災対策としても優秀な窓ガラスとして採用されています。
震災で飛散した窓ガラスはケガの原因になることが多く、避難の妨げにもなります。
衝撃を受けても通常のガラスより飛散しにくいという特徴を持っている網入りガラスは、震災対策として最適なガラスとして多くの建物の設備に選ばれています。
1.3何故網入りガラスが使われるのか
網入りガラスが使われる最も大きな理由は、「防火設備として網入りガラスの設置が義務付けられているから」です。
防火設備を導入しなければいけない場所は建築基準法という法律によって決められており、その法律で定められた地域にに防火対策として網入りガラスが設置されることが多いのです。 先に述べた通り、網入りガラスは火災時にガラスが飛散しないという特徴を持っています。
そのため、火災時の延焼を防ぐという目的で、定められた防火地域や準防火地域と呼ばれる場所への設置が義務付けられています。
逆に言うと、網入りガラスが設置されている場所は火災が起きたときに延焼の可能性がある場所ということになります。
2.網入りガラスは断熱シート不可!?
寒い季節になると悩ましいのが「結露」です。手軽にできる対策として結露を防止する断熱シートが人気ですが、網入りガラスには断熱シートが使えないという欠点があることをご存知でしょうか。
なぜ網入りガラスに断熱シートが使えないのか、その理由と仕組みについて解説します。
2.1結露防止用シートが使えない
結露防止シートというグッズをご存知でしょうか。
結露防止シートとは、窓に貼るだけで、寒い季節に窓に発生する結露を吸い取ってくれるという魔法のような結露対策アイテムです。
結露対策としてはスクレイパーや結露対策テープなど色々な種類がありますが、なかでも結露防止シートは全面に貼ることができて、広い面積の結露を防いでくれることから人気のある商品です。 そんな便利な結露防止シートですが、残念ながら網入りガラスには使用することができません。
寒い季節になると大量に発生する結露は、びしょびしょのまま放置しておくと黒カビの原因となるので、グッズが使えないからといってあまり諦めたくはないのが正直なところです。
では、網入りガラスには、何故結露防止グッズが使えないのでしょうか。
2.2何故結露防止シートが使えないのか
網入りガラスには、何故結露防止シートが使えないのでしょうか。
その理由は、結露防止シートの仕組みと、網入りガラスに使われている素材にあります。 冬場の結露対策としてよく使われている結露防止シートは、多くの場合「断熱シート」という名前で販売されています。
この「断熱」という仕組みは、そのシートで隔てた空間の間の熱の移動を小さくするように加工が施されたものです。
家を建てるときに「断熱材」という素材を使うのも、このような効果を持つ素材を壁の中に使用することによって、家の中の温度差をなるべく少なく保つという目的があります。
結露は、冬場の寒い時期などに急激な温度差が発生した場合に多く発生してしまうので、この熱の移動をなるべく抑え、発生した結露はシートで吸収することで結露がたまるのを防止しているのです。 一方、網入りガラスには、「ガラス」と「ワイヤー」という二つの材料が使われていますが、この二つの素材は出来ているものが違うので、それぞれの素材が持っている「熱膨張率」という数値も異なります。
熱膨張率とは、熱を加えたときにどれくらいその物体が膨張するか、という値を観測して数値にしたものです。
ガラスと金属の網では金属の網の方が温まりやすいのですが、熱膨張率はガラスの方が大きいと言われています。 網入りガラスの金属の部分に日光などの熱が加わると、熱で金属部分が温まります。
そのため、金属の網の周辺のガラスのみ熱で膨張しやすくなりますが、日陰などの熱が加わっていない部分は冷えているので膨張しません。
このような状態が続くと、網入りガラスの内部の熱膨張している部分と、熱膨張していない部分の間に力が働いて、その力がガラスの許容範囲を超えるとガラスが割れてしまう、という事態につながります。 日本のメーカーには製造物責任法(PL法)という法律があります。
PL法とは、製品に欠陥がある場合、製品をを使用中に生命や財産を損なうような事態が発生した場合にメーカー側に対して損害賠償を請求することができる、という法律です。
網入りガラスを使用しているときに、このような理由でガラスが破損してケガをしてしまった場合、網ガラスの製造メーカーは賠償責任を問われる可能性があります。 そのため、網ガラスの構造上の理由から、結露防止用の断熱シートには「網入りガラスには使用不可」と表記されているものが多いのです。
ただし、場所や条件によっては網入りガラスに結露防止シートを使用しても、熱膨張による破損のリスクは低い場合があります。
2.3結露防止グッズが使える場合もある
先ほど解説しましたが、断熱シートを貼ることで熱膨張による破損が起きる主な原因は、日光による熱です。
そのため、日光による熱があまり発生しない場所、例えばビル同士の隙間や一階の薄暗い部分など、日陰になっている時間のほうが多いような場所であれば問題なく使用できる可能性が高いです。
一日中日陰の場所は温度差もあまりないので結露も発生しにくいかもしれませんが、このような場所で結露に悩んでいるという場合は結露防止シートを試してみる価値はありそうです。 注意点として、日光があたる時間が少なくても、直射日光がよく差してくるような方角の窓は念のため避けた方がいいでしょう。
朝日や午前中の日光がよく当たる東向きや南東向きの窓や、西日が強く差し込む西向きの窓などは、短時間でも強い日光が当たる可能性があるので止めておいたほうが良いです。
逆に、いつの時間もあまり強い日光が当たらない北向きの窓は、日光による温度差が小さいので結露防止シートを貼っても大丈夫である可能性が高いでしょう。 結露防止シートが使えそうなパターンをいくつかご紹介しましたが、メーカー側は網入りガラスへの仕様を一律で禁止している場合が多いです。
網入りガラスに結露防止シートを使う際は、事故に注意して、周囲の環境を判断しながら自己責任で行ってください。
3.網入りガラスでもできる結露対策
結露防止シートが安全に使用できるか否か、を分けるポイントは、場所と環境によって変わってきてしまいます。
一律で網入りガラスにも使える万能な方法はないの?という疑問にお答えして、次の項目では網入りガラスでもできる結露対策について解説していきます。
3.1プチプチを貼る
プチプチとは、梱包材としてよく使用される透明のビニール製の空気が入ったシートのことです。
正式名称は「気泡緩衝材」と言うのですが、つぶしたときのプチプチという音にちなんでかプチプチと呼ばれることが多いです。
実はメーカーによって様々な呼び名があり、「エアーキャップ」「エアパッキン」「エアクッション」など、様々な名前で呼ばれています。 このプチプチのふくらみの間には空気が入っているのですが、その空気の層が断熱効果を生み出してくれるので、簡易的な断熱材としても使用することができます。
断熱材といっても、結露防止シートの断熱効果よりも効果は穏やかなので、直射日光があたる場所でも熱膨張は起こりにくいのが特徴です。
3.2結露防止テープを貼る
結露防止テープは、吸水力の高い素材で作られているテープです。
窓のサッシ近くに貼っておくと、窓に発生して落ちてきた結露を吸収し、そのまま蒸発させてくれます。
結露防止シートは窓全体を覆ってしまうので熱膨張の危険性がありましたが、一部だけを覆うテープなら問題はありません。 結露防止テープはデザインも様々で、シンプルな見た目のものから、おしゃれな柄付きのもの、タイルのような飾りがついたものまで様々な種類があります。
サッシに何か貼ると見た目が気になる、という方は、おしゃれなデザインの結露防止テープを貼るのがおすすめです。
3.3サッシに新聞紙を詰める
サッシの部分に折りたたんだ新聞紙を詰めておくと、結露防止テープと同じように落ちてきた結露を吸収してくれます。
新聞を折って差し込むだけでできるので、手軽でコストパフォーマンスも高い結露防止対策です。 注意点としては、新聞紙を定期的に取り替えないと、新聞紙にカビが発生してしまう可能性があるという点です。
この点のみ気を付ければ、特別な道具もいらないので最も手軽にできる結露対策と言えるでしょう。
4.網入りガラスの結露対策にはプチプチがおすすめ
網入りガラスの結露対策を色々とご紹介しましたが、最もおすすめの方法はプチプチを貼る方法です。
プチプチを断熱材代わりに使用する方法と、おすすめの理由について解説します。
4.1プチプチがおすすめな理由
プチプチが網入りガラスの結露対策としておすすめな理由は、素材が手に入りやすく、コストが安く、設置後の手入れがあまりいらない、というメリットが3つ揃っているからです。
結露防止テープと新聞紙は、発生した結露を吸収するという対策方法なので、条件によってはカビが発生してしまうことがありますが、プチプチなら断熱効果があるので、窓に貼っておくだけで結露が発生しないようにしてくれます。。
4.2プチプチはどこで入手できる?
プチプチはホームセンターで手に入ります。
梱包材のコーナーに置いてあることが多いので、ホームセンターの梱包材コーナーを探してみましょう。
また、最近は100円均一にも、窓に貼れるようノリがついたタイプのプチプチが販売されていることがあるので、こちらもおすすめです。
4.3プチプチの貼り方
プチプチを窓枠よりも少し大きめのサイズにカットし、サッシの部分ごと覆うようにして両面テープで留めます。
このとき、プチプチの凹凸の面がガラスと向き合うように貼りましょう。
ガラスとプチプチの間に空気の層を作ることで、断熱効果が発生して結露を防いでくれます。 100円均一で販売されている窓に貼れるタイプのプチプチは、ノリがついているものや水貼りができるものだったら直接貼ることが出来ます。
このとき、直射日光が当たる窓には直接貼れるタイプは使用しないようにしましょう。
直接貼れるタイプは通常のプチプチよりも隙間が無い分断熱効果が大きいので、熱膨張による破損の原因となる場合があります。
網入りガラスの結露は場所に応じた対策方法で防止しよう
網入りガラスの結露対策は、使用できるグッズが限られるため、寒い季節になると頭を悩ませているという方もいるのではないでしょうか。
たとえ結露防止シートが使えなくても、工夫すれば他の結露防止アイテムを使用することが出来ます。
是非今回紹介した結露防止アイテムを使用して、結露に悩まない生活を送ってください。