割れた額縁&フォトフレームのガラス修復法

額縁には作品を保護するためのカバーとしてガラスが使われており、うっかり落としたり地震で額縁が壁から落下するなどして割れることがあります。大切にしているものなら、修復して再度使いたいと思うこともあるでしょう。

割れたガラスそのものを修復することは難しくても、新しいガラスを入れることや、額縁を修理することで元の状態に近く修復することができます。

割れた額縁&フォトフレームのガラスの修復法と額縁の修理方法について詳しく紹介していきます。

1.はじめに

何らかの原因で額縁やフォトフレームのガラスが割れたとき、フレーム部分に異常がなければガラスの交換をすれば元通りに直すことができます。ガラスサイズの測り方や購入方法を始め、自分で最後まで直せる方法を紹介します。

また、額縁そのものが壊れてしまったときの対処法や、破損例やイメチェン方法にも触れ、額縁ライフを楽しめるよう提案していきます。

1.額縁やフォトフレームの状態を確かめよう

大切にしていた額縁やフォトフレームが壊れたとき、ガラスが割れる大きな音に驚き、想像以上に慌てることがあります。しかしなるべく早く気持ちを落ち着けて、額縁の状態をよく確かめてみましょう。

まずはどんな部分がどれほど壊れているのか、交換や修理が可能な状態なのかを確認し、自分で修復できる内容かどうかを見極めましょう。ガラスが割れた場合は丁寧に取り除く作業からスタートします。

1-1割れたガラスをケガに注意して取り除く

額縁のガラスが割れたとき、ヒビが入って額縁に残っている場合と室内に散らばっている場合があります。どちらの場合でも軍手などを使って手を保護して、ケガに注意しながら取り除きましょう。ガラスが額縁から外れないときは無理やり引っ張らないで、他の外れる部分から外していきます。

取り外したガラスは段ボールなど安全な入れ物にまとめて入れて、燃やせないゴミの日に捨てます。細かいガラスが散らばっているときは丁寧にはきとり、粉々になっているようなら拭き取ってしまいましょう。

1-2背板を外して中の絵画や写真を外す

きれいにガラスを取り除いたら、額縁を裏返しにします。裏面に見える板は背板といい、額縁ごとに異なる方法で固定されているものです。額縁のサイズが比較的小さめだと指で簡単に動かせる留め具が使われています。1つ1つ丁寧に留め具を外しすべての留め具を外し終えたら背板を取り出してください。

留め具をすべて外さないで背板を外そうとした場合、うまく外れないばかりか背板を傷つけてしまうことがあるので注意してください。額縁に入れていた絵画や写真を丁寧に取り出して、別の場所に保管しておきましょう。

1-3フレーム部分の破損はないか確認

額縁のフレームが残った状態になったら、落下時の衝撃でフレームが破損していないかをチェックしてください。ひび割れや欠けはもちろん、各種留め具の状態、カビやシミなどはないか隅々まで見てみましょう。

額縁の表面の模様や装飾に剥がれや破損個所がないかもよく見て、なんとも無ければひと安心です。もしも気になる箇所があるなら、これを機会に修理に出すことがおすすめですよ。

2.ガラスサイズの測り方と交換方法

額縁のガラスのサイズは、額縁の見た目のサイズぴったりの寸法ではありません。額縁からはみ出るようなこともありませんが、外れてしまうようなサイズでもないのです。初めて額縁のガラスを交換する方にもわかりやすく採寸法を紹介しますね。

2-1採寸は額縁の内寸法。-2ミリがガラスサイズ

額縁のガラスのサイズは、額縁の内寸を測ることが一般的です。内寸は慎重に縦と横それぞれ測ります。実際のサイズよりもマイナス2ミリにした寸法が出し入れがスムーズになるベストサイズなので、あらかじめ2ミリ引いた寸法でガラスを注文するか、新規で購入しましょう。

例えば、横401ミリ×縦502ミリの内寸だとしたら、注文する実際のガラスのサイズは、横399ミリ×縦500ミリになります。マイナス2ミリをしないサイズで注文した場合、ガラスが内寸ピッタリ過ぎて上手くはまらないこともあるのでしっかりマイナスしておきましょう。

額縁のカバーガラスは、最寄りの文具店や絵画を扱う店舗のほか、インターネット上でも購入できます。ガラスという性質上、購入の際には割れる心配がありますが、店舗から持ち帰る途中で割れないか心配な方は、通販を利用する方が安心です。

2-2新しいガラスに交換しよう!

ガラスが手元に届いたら、額縁にさっそくはめ込んでみましょう。

1.額縁を逆さまにして裏面を上にした状態にします。
2.新しいガラスをはめ込みます。ガラスサイズが大きい場合はしっかりと両手で持ってはめ込みましょう。
3.この額縁に入れたい絵画や写真を表面を下にして入れます。
4.背板を入れて、留め具で固定します。

額縁に新しいガラスが入ったら、表から見え方をチェックしてください。傾いているようなときは、もう一度絵画やイラストを入れなおしてチェックしてくださいね。

フォトフレームの場合も手順は同じです。割れたガラスを取り除いて、フォトフレームの内寸を測り、マイナス2ミリの寸法でガラスを注文または購入します。額縁と同じ手順ではめ込み、見え方をチェックして問題なければ完成です。

3.ガラスとアクリルのどちらがいいのか

額縁には、入れる作品を保護するカバーとしてガラスを入れることが一般的でしたが、近年ではアクリルや塩ビなどの素材が使われることが増えています。塩ビは、暑さが0.5ミリ程度ととても薄いため、大きなポスターなどのフレームに使用されることが多く、それ以外の額縁にはガラスかアクリルを使用することがほとんどです。

ガラスとアクリルではどちらがどのように異なるのか詳しく見ていきましょう。

3-1ガラスの特徴

ガラスは額縁には古くから使われてきた素材で、現代でもさまざまなところで使われています。ガラスのメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

ガラスのメリット

・傷がつきにくい

ガラスの表面は固いことが特徴で、普段の生活の中で布で拭く程度の掃除ならほとんど傷つくことはありません。

・長持ちしやすい

ガラスは割れない限り長持ちします。屋内での使用ならほとんど劣化することもないので、額縁には適した素材だといえます。

・アクリルに比べて安い

同じサイズでアクリルと比較すると、ガラスの方が安く購入できます。しかし近年ではあらかじめアクリルを使った額縁が増えているので、それをガラスに変更するとなると追加料金がかかることがあります。

・静電気がない

ガラス自体は静電気を発生させないので、安心して使用できます。また伸縮性もほとんどないので、温度による変形や、額縁にはまらない・取り出せないというトラブルはありません。

ガラスのデメリット

・アクリルに比べて重い

同じ大きさで比較した場合、ガラスはアクリルの2倍近くの重さになります。大きなサイズのガラスだと重くて1人で持てないこともあります。

・割れるリスクが高くケガの恐れがある

ガラスは衝撃に弱く割れるリスクがあります。万が一割れたときはガラスのエッジ部分が鋭利に割けることがほとんどで、ケガするリスクが高くなります。細かい破片が散乱することもよくあるので、割れたガラスの後片付けは慎重に行わなければなりません。

・額縁に使用する場合はサイズが小さくなる

ガラスは重さや強度の面から、額縁に使用する場合は大きなサイズには適さないものです。そのため小さなサイズを中心に額縁に使用されています。

3-2アクリルの特徴

アクリルはガラスに比べて軽いことが特徴ですが、そのほかにも多くのメリットとデメリットがあります。額縁やフォトフレームにも良く使われる素材なので、詳しく見ていきましょう。

アクリルのメリット

・軽い

アクリルは何と言っても軽い素材です。

・割れにくい

柔軟性があり、多少の衝撃では割れません。強い衝撃を与えたり、一点に集中して力を加えると割れますが、破片が粉々になるようなことは少ないです。

・大きなサイズにも対応できる

軽くて割れにくいので、大きな額縁のカバーにも使用できます。

・透明度が高い

見た目の透明度が非常に高いので、繊細な作品のカバーとしても適しています。

アクリルのデメリット

・キズが付きやすい

アクリルの表面はガラスに比べて柔らかく、布で強くこすると傷が残ることがあります。毎日の清掃で白い傷が増えた場合は、新しいアクリルと交換をおすすめします。

・静電気を帯びる

アクリルは静電気を帯びやすいので、屋内や空気中のほこりが付着しやすいです。額縁の中の作品を入れ替えるときも、ほこりやチリを寄せやすい性質があります。

・熱に弱い

熱を帯びると膨張する性質があり、展示中のスポットライトの熱や、夏場に高温になったときなど、歪んでしまうことがあります。

・価格が高い

アクリルはガラスに比べて値段が高い素材です。

3-3反射が気になるときはノングレア

額縁のカバーは作品を保護すると同時に、どうしても自然光や屋内の照明に反射してしまう性質があります。特にガラスのカバーの場合は、作品が見えにくくなるほど反射することがあり、作品の魅力が半減してしまうようなときは、反射光を拡散させる効果のあるガラスを使用することがおすすめです。

パソコンの液晶画面にも採用されているノングレアという加工は、光の反射を抑える加工のことで、額縁のカバーに使用した場合自分の顔や室内が映りこむ症状を防ぐ効果も得られます。

ぱっと見た目は額縁のカバーに光沢が無く白っぽく見えることもありますが、見やすさを重視するならノングレア商品が優れています。

4.フレーム部分の修理・交換はどうすればいいか

額縁は、木製やプラスチック製のものなど、使用される素材も幅広いものがあります。絵画を入れるような装飾が施されている額縁の場合は、木製のものもまだまだ多く落下や何らかの衝撃を受けて破損することもあります。

額縁の保護カバーだけではなく、フレーム部分まで破損した場合はどうしたら良いでしょうか。破損例や額縁をイメチェンしたい場合なども含めて見ていきましょう。

4-1フレーム部分の破損例

額縁のフレーム部分は素材により破損することがあります。地震などで壁から落下した場合は、角のつなぎ目部分や装飾部分が破損することが考えられます。

・額縁の角の欠け
・ひび割れや折れ
・留め具の破損または欠け
・紐が切れる
・こすりキズ

フレーム部分は木製でもプラスチック製の場合でも衝撃に強くはないので、落下などの際は破損していないか隅々までチェックしてください。

4-2修理は業者に依頼しよう

額縁のフレーム部分に破損があるときは、軽微なひび割れなら自分でも直せるケースがほとんどです。しかしほんの少しのひび割れからカビが発生したり、どんどん亀裂が大きくなるような事態にもなりかねないため、修理を希望する場合はなるべく業者に相談するか、完全に修理依頼することがおすすめです。

美しい装飾が施されている額縁なら、自分で元通りに復元できるかどうか不安になりませんか?専門業者に依頼すると、すべてのパーツを分解して釘を外し、必要箇所の修理後にまた元通りに組みなおしてもらえます。

仮に額縁の角のつなぎ目部分の破損だったとしても、美しく整形して塗装も塗りなおしてくれますよ。新品同様の美しい額縁になって戻ってくるなら、専門業者に依頼する方が気持ちもすっきりしますね。

4-3額縁のイメチェンなら買い替えがおすすめ

額縁は、長く使用しているとデザインやカラーに飽きることがあります。もう少し派手にしたい、落ち着いた色味にしたいなど、イメチェンをしたいときは思い切って買い替えることも検討してみましょう。

額縁はサイズやデザイン、使用する素材も多種多様なものがあります。時代の変化とともに新しい素材やデザインが登場しても、古き良きものにも根強い人気があり、豊富なラインナップへと成長しています。そのため額縁のイメチェンをしたいときは、今ある額縁に手を加えるよりも、気に入ったものを探して購入することをおすすめします。

額縁は店舗で探すほかに、インターネット上で日本全国はもちろん世界中から探すことができます。こだわりの額縁が欲しいなら探す作業も楽しめるでしょう。

まとめ

額縁には作品を保護するためのカバーとして、ガラスやアクリルなど透明度の高いものが使用されています。比較的年数の経過した額縁にはガラスが使用されることが多く、その場合はガラスが割れるリスクを考えた配慮が必要です。

ガラスは劣化しにくく長持ちしますが、衝撃に弱く破片が散乱するという一面も持ち合わせています。万が一、額縁が落下するなどしてガラスが割れたときは、落ち着いて安全を確保してください。また、ガラスが割れるリスクを軽減するために、アクリルや塩ビなどの割れにくい素材を使用することも考えておきましょう。

室内に額縁を置くなら、額縁のサイズ、額縁の中の作品、額縁を置く場所などトータル的に考えたカバー選びが理想的でしょう。

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