網入りガラスの熱割れ対策と保険を紹介
ここでは、網入りガラスの熱割れ対策と保険について解説しています。金網を入れた網入りガラスは、飛散防止策としてさまざまな場所で取り入れられています。網入りガラスを使わなければならない場所や種類、特徴などもまとめたので参考にしてください。どのような状態なら熱割れを起こすのか。何のために金網を入れているのか。網入りガラスのメリットやデメリットも合わせて説明し、保険の手続きや免責事項の情報も掲載しています。 マンションやアパート、戸建住宅の1階部分で採用されるケースもありますが、最近は網入りガラスを見かけません。ただ、飲食店やビルなど、建築基準法の規定により防火地域や準防火地域に該当する場合は、網入りガラスを使用しなければならないルールになっています。そのためこれらのエリアにマイホームを取得する時は、見た目のデザインよりも防火性が求められます。地上から3mにある1階の窓と5m部分にある2階の窓は、防火対策をしなければならない義務もあります。見た目の雰囲気から防犯用に推奨されることも多いようですが、ガラスの強度としては普通のガラスと変わりません。
1.網入りガラスの種類と特徴
網入りガラスは1種類しかないように思われがちですが、ひし形ワイヤーとクロスワイヤーの2種類があります。他にも平行に金網の入ったガラスもありますが、ビジネスビルやショッピングセンターなど大型施設で使用されているため、意識しなければ目にした記憶もないかもしれません。網入りガラスは、霞んで見えるタイプと表面を磨いて透明にしたタイプから選べます。メーカーによっては加工を施したものもあり、厚みは6.8~10mmまでに対応しています。金網を入れる関係から、10mm以上のガラスを製作することはできません。また、耐熱温度は普通のガラスと同じで、約110℃くらいあると言われています。防火設備としての機能が目的になっていて、現段階ではデザイン性や色に好みのこだわりを取り入れるのは難しいでしょう。
網入りガラスが防火設備に指定されているのは、火災が起きた時にガラスが飛散しないからです。火災が起きると、窓ガラスは熱せられて割れ落ちます。そこから炎が隣家へ飛ぶこともあるわけですが、金網を入れることでガラスが割れ散ることを防ぎ、炎の広がりを減らすことに繋がるのです。防火性の高いガラスとしては、他に耐熱強化ガラスも開発されています。 厳密に言えば、網入りガラスは防犯ガラスではありません。一般的なフロートガラスと比較して砕けにくい特性はありますが、防犯面を優先させたいなら合わせガラスのほうが安心です。その証拠に金づちやハンマーで叩けば割れるし、ガラスカッターを使って入っているワイヤーも切断可能です。簡単に切断できる状態は心配かもしれませんが、あくまでも防火設備としての位置づけになります。防火性の高さは、火災が発生しても60分間は熱に耐える性質を持っていることで証明されています。そのためヒビが入っても、破片が落ちることはありません。熱によって溶けますが、飛び散りにくいのでフロートガラスより危険性は低いです。
耐熱強化ガラスと網入りガラスのどちらを採用するかは人それぞれになりますが、性能と費用のバランスを考えて判断してください。タイプによっても価格差があるので、何を優先させたいかじっくり検討しましょう。国産ではなく輸入の網入りガラスもあり、網目の大きさや色に違いがあります。フランス製の網入りガラスは、金網が波型にウェーブしているデザインもあります。キッチンやお風呂場など水回りに採用する場合は、金網の錆止め加工もあります。水回りで使うと金網が錆びてくるため、ガラスの小口に透明な特殊塗料を塗って錆止めを施します。
2.網入りガラスは熱割れするの?
熱割れとは、温度差によって起こる自然現象です。そのためどんなに対策を施しても100%防ぐことはできません。防火性が高くても熱割れは起こります。熱に強いから大丈夫なのでは?と、思われがちですが、熱に強いと言われるのは割れても飛散しないからで、ガラス自体に特殊な耐熱性があるわけではありません。熱が高くなる場所は膨張し、温度の低い場所は収縮してバランスが崩れます。ガラスの表面に直射日光が当たれば、サッシや中心部との温度差が生まれます。そうなればガラスと金網の膨張率の違いから、ガラスのほうが耐えられなくなり熱割れが起きるのです。ガラスは、温度が上がるにつれて長さも伸びていきます。ワイングラスなどの製造過程を思い浮かべればイメージしやすいですが、ガラスに熱を加えると自在に形が変わります。金網も熱が加えられることで膨張し、それぞれの物質が膨張した結果、膨張スピードの遅いガラスのほうにヒビが入るわけです。
フロートガラスよりも、網入りガラスのほうが熱割れを起こしやすいと判断されています。膨張率の違う物質を組み合わせた相乗効果もありますが、その反面熱割れを誘発しやすいのでしょう。家庭では天窓やお風呂場などでも見かけます。特に天窓の熱割れは気づきにくいですが、火災で天窓が割れ落ちると危険なので、不燃材であることが指導され網入りガラスを選ぶ人も多いです。
3.網入りガラスの熱割れ対策
メリットは何と言っても防火性の高さですが、デメリットとして熱割れの起こりやすさを考えると、防音ガラスや防犯ガラスと組み合わせてペアガラスにリフォームする方法が良いかもしれません。複層にすれば空気の隙間が生まれるため、網入りガラスだけの時よりは遮熱性も強化されます。さらに弾性シーリング施工で結露も防げます。ただ、リフォームとなれば負担も大きくなるため、簡単にできる対策も紹介しておきましょう。
・ガラスにフィルムを貼らない
ガラスフィルムを貼ると熱の吸収率が高くなります。UVカットや断熱効果を期待して貼ることも多いですが、フィルムを密着させることでさらに熱を吸収してしまうのです。断熱フィルムを貼れば冷房効果も上がり、冬の結露を減らしてもらえます。紫外線の熱を抑制する働きもあり、熱割れ対策で間違って選ばれることも少なくありません。ただ、フィルムを貼れば表面の温度を上げてしまうため、サッシとの温度差が広がってしまいます。フィルムの断熱効果が高ければ高いほど、網入りガラスには適さないでしょう。
紫外線をカットフィルムなら熱割れ予防になりそうですが、室内温度の上昇を抑えるために紫外線を吸収し反射させるので、フィルムの温度が高くなります。それを網入りガラスに貼るということは、ガラスへ熱を吸収させているのと同じかもしれません。いずれにしてもフィルムの説明書きに注意喚起されているはずなので、1度確かめておくと良いでしょう。外張りシートやミラータイプも同じです。
・暖房は特に要注意!
網入りガラスは特に暖房の風に気をつけましょう。冷房にも注意は必要ですが、暖房は外気との温度差が生じやすいです。地域によって、外気温は2~3℃の時点で室内暖房20~22℃くらいに設定されていると、その差は18~19℃あることになります。冷房の場合で外気が32~33℃と推定し、室内を25~26℃に設定したとしても7~8℃の差にしかなりません。冬はどうしても温度差の幅が大きくなり、例え夏に外気温40℃を突破しても14~15℃の差で終わります。雪の降る朝はマイナス気温も珍しいことではなく、そこでますます熱割れを起こしやすい条件が整います。そうなると暖房の設定温度を変えていなくても、20~22℃以上の差ができていることになるのです。暖房の設定温度は人それぞれですが、夏よりも冬のほうが温度差も大きいため、網入りガラスの熱割れには注意しなければなりません。
ファンヒーターやストーブなどは部屋の内側へ向けて温もりを届けますが、直接的に窓へ当たらなくても外気との温度差を作り、網入りガラスの耐久性に負荷を与えます。温風を窓へ向けない前提に時々換気をしてください。なるべくガラスの温度を上げないことがポイントです。
4.網入りガラスが熱割れした時の保険
網入りガラスの熱割れは、火災保険で補償してもらえます。もちろん契約している条件によって違う場合もありますが、修理や交換をする際に適用してもらえます。熱割れを起こしている状態は良くありません。いくら飛散しない網入りガラスでも、何かの拍子でヒビが広がれば窓ガラス全面に亀裂が入ります。そうなれば落下しなくても窓としての機能を果たせない状況となり、防犯面でも安全性を保つことができないでしょう。新しい網入りガラスに交換するには、ガラスの費用と業者に支払う作業料が必要になります。そのため1枚の交換でも1~3万円程度。ガラスの撤去や運搬料を求められることもあるかもしれません。ただ、保険で補償してもらえる場合は、免責金額から差し引かれた負担分で済みます。
免責というのは「責任を負わない」という意味で、免責金額は責任の範囲を具体的に決めた金額になります。つまり免責金額3万円の設定で5万円の費用を負担した場合は、5万円から3万円が引かれた2万円の自己負担となります。免責金額は保険の種類によっても違いますが、最近では積立火災保険などいろいろなプランが登場しています。住宅ローンを組む時に火災保険をかけることは必須なので、加入している保険の契約内容を確認してください。 保険担当者に連絡する前に熱割れしたガラスを交換してはいけません。気になるから早く修理したい。心配だから新しく替えてしまいたい。そう思うのは当然ですが、熱割れが起きている状態を確かめてもらえなくなります。「写真を撮っておけば問題ないだろう」と考えるかもしれませんが、激甚指定災害に当たる場合や知り合いの担当者でなけれな通用しないこともあるので要注意です。担当者が現場へ足を運ぶはずなので、まずは連絡をして回答を待ってください。現状の写真が必要なら、熱割れが起きている部分と窓ガラス全体が映る写真を残しておきましょう。その際、日時も記録しておけばより確証を得られます。支払い完了は、業者によって1週間~1ヶ月くらいです。担当者が目視して手続きを終えたら、新しく交換するまでの間は熱割れガラスに対策を施してください。
放置しても飛散はしませんが、ヒビが入っているとガラスの強度が落ちます。網入りガラスはフロートガラスよりも弱い部分があるため、応急処置をして施しておくほうが良いでしょう。最も簡単な対策は、熱割れが起きている部分にUV硬化型接着剤を塗ることです。UV硬化型接着剤は数秒単位で硬化するため、熱割れが広がることはありません。ホームセンターへ行けば1,000円程度で販売されています。硬化スピードが早いので取り扱いに気をつけましょう。 網入りガラスは何度でも熱割れを起こします。そのため新しく交換すれば解決というわけではなく、極端に言えば気温差によって明日も熱割れを起こさないとは限りません。防火性は高くても熱割れに関する強度は低いため、2度目や3度目は補償してもらえないことがあるかもしれません。また、特約で補償されているケースでは、新しいガラスへ交換して保険料が上がる可能性もあります。網入りガラスで保険料が抑えられる話しもありますが、熱割れを起こしたことがきっかけで変わることも考えられます。
アパートやマンションなどの賃貸住宅に住んでいる場合は、多くの場合で大家さんが補償してくれます。何かモノをぶつけた記憶はない。でも、熱割れかどうかも判断できない。このようなケースは管理会社からの調査が入りますが、はっきりとした原因が見つからなければ自己負担になることも考えられます。熱割れだと判断してもらえない場合でも、借家人賠償責任保険に加入していれば補償の対象になるでしょう。賃貸だと敷金から差し引かれるトラブルへの発展もあるため、管理会社へ連絡した記録や写真なども保存してください。貸している側は補償しなくても済む条件を提示したがりますが、しっかりとした物的な証拠を保全しておけば問題ありません。担当者に話しが通用しない時は、本社へ問い合わせましょう。
まとめ
ガラスの熱割れも保険の対象になる
業者によって違いますが、網入りガラスの熱割れも保険で補償される対象です。ただ、免責金額や内容はそれぞれ違うため、自分で確認してください。2度目は補償してもらえない可能性も高いので、新しいガラスに交換したら熱割れ対策も一緒にしておきましょう。防火地域に含まれていない場合は、網入りガラスではなくフロートガラスやペアガラスへ交換する方法もオススメです。どのガラスに交換するとしても、業者へ依頼すれば運搬中の破損も保証してもらえます。熱割れしやすいリスクを踏まえた上で、網入りガラスをうまく活用しましょう。