マンション居住でもペアガラスに交換したい!許可は必要なの?

住宅に於いて、ガラスというのは非常に重要な役割を持っています。特に窓ガラスは住宅内に対して光を取り入れるという役割があり、これによって明るい住宅を作ることができるものです。しかし、それと同時にこのガラスというのは、扱いが難しいものでもあります。どうしても木材を使用している壁材に比べると強度が低いものであり、同時に薄いものであることもあって、断熱性が低いものであることもポイントの一つとなります。そのため、この窓をしっかりとしたものに変えると言うことは、住宅全体をより良いものにするために効果を発揮することになるでしょう。
更に、もう1つ重要な要素となるのが、窓は防犯のためにも重要な役割を持っているものだということです。警察庁の統計によると、空き巣を代表とするような侵入犯というのは、その多くが窓ガラスを侵入経路としていると言います。約6割ほどの犯罪者が、この窓ガラスから侵入しているというのです。
これは、ガラスがどうしてもその他の建材に比べると破壊しやすいものであることが影響を与えています。そしてもう1つ、窓の鍵として使用されることが多いクレセント錠というのが、ガラスが割られてしまったときにほぼその防犯性能を失う仕組みをしている、というのも窓ガラスが侵入経路として選ばれやすい理由の一つでもあります。
こういったガラスをより良いものに変更していくことができれば良いのですが、こういったときに困るのが集合住宅に生活している場合です。一戸建てに暮らしているのであれば、ガラスの交換は自由に行う事ができるでしょう。しかし、マンションのような集合住宅に生活している場合については、交換を自由に行うことができるものなのでしょうか。ここでは、マンションにおけるガラス交換の許可に関しても含めて、ガラスの交換に関する様々な情報について紹介していきます。
最初に紹介するのは「ペアガラスというガラス」についてです。窓ガラスとして使用するのにも多くの機能を持っているもので、高機能ガラスと呼ばれることもあるものであるため、交換先のガラスの選択肢として考えることができるでしょう。
次に紹介するのは「ペアガラスを使用できるマンションとそうでないマンション」についてです。良いものではあるものの、どこでも使用できるものではない、というのがネックとなる部分でもあります。
そして最後に紹介するのは「マンションの窓リフォームはどこまでできるのか」ということについてです。これらのポイントに付いて抑えておいて、マンションのガラス交換について考えてみましょう。

ペアガラスってどんなもの?高機能ガラスのすすめ

それではまず、そもそもペアガラスというのがどのようなものであるのかについて紹介します。ペアガラスは複層ガラスと呼ばれることもあるもので、基本的にこの2つは名称が違うだけで同じものです。ここから先では、このペアガラスについて「ペアガラスがどのようなものなのか」「目的別に選ぶガラス」「ペアガラスに変えるべきなのは?」というポイントに付いてそれぞれ紹介します。

ペアガラス=複層ガラス。どちらも中空層を持つガラスのこと!

まずはペアガラスと複層ガラスについて、そもそもこれがどのようなものであるのかについて紹介します。前の項目でも紹介しましたが、ペアガラスと複層ガラスは名前が違っているだけで基本的に同じものです。基本的には複数のガラスを組み合わせて使用しているというものなのですが、重要なのはこの複数枚のガラスの間に、中空層が挟み込まれるようになっていることにあります。このように中空層が存在していることによって、両方のガラスが直接触れ合わないようになっています。窓ガラスは室外と室内の空気に直接触れるようになっていることによって断熱性が低下してしまうという性質を持っているものであるため、これが直接触れ合わない様になっていることによって熱交換の効率が下がっており、断熱性を向上させることに成功しています。
また、この中空層については、そのまま乾燥した空気が使用されている場合もあれば、その他のガスなどが封入されていたり、真空になっていたりします。それによって断熱効果に違いが生じるようになっているため、ここもガラスを選ぶ際には重要なポイントの一つとなるでしょう。メーカーによって多くの種類が販売されているため、それに合わせて良いものを選ぶようにすることが重要です。

目的別にガラスや中空層を選ぶことで防犯・防災・省エネの効果あり

複層ガラスを選ぶ場合、中空層としてどのようなものが封入されているのかによってその効果に違いがあります。目的に合わせてその種類を選ぶ事が重要になるでしょう。このとき、ポイントとなるのは防犯効果、防災効果、省エネ効果の3つとなります。それぞれ、どのようなことに注意をしてガラスを選ぶべきであるのかについて紹介します。
まず防犯効果についてですが、これは耐衝撃性の高いガラスを選ぶ事が重要になるでしょう。封入されているガスの種類によってではなく、防犯用のシートなどが封入されているかどうかによって違いが生じることになります。
次に、防災効果については、ガラスがどのように割れるのか、ということが重要な要素となります。割れた時に鋭利な破片として飛び散る様になっているものが防災のことを考えた場合には非常に危険であるため、それを防ぐ事ができるようなガラスを選ぶ事が重要になります。
そして最後似、省エネ効果を考える場合、断熱性がどの程度のものであるのかが重要なポイントとなります。窓は室内の断熱に於いて大きなネックとなるポイントであるため、熱交換率が低い物を選ぶ事が重要です。目的とする効果によって適切なガラスの性能には違いがあるため、それぞれの性能を比較して、適切なものを選択するようにしましょう。

こんな人はペアガラスに変えるといいかも。必要性を見極めよう

それでは、どのような人はペアガラスへの交換を考えるのが良いのでしょうか。ペアガラスは高機能なガラスだけあって多くの家庭に効果を発揮するものではありますが、通常のフロートガラスなどに比べるとどうしても高額であるため、それに見合った目的があるかどうかによって考える必要があります。
まず、ペアガラスに変えることでメリットが実感できやすい人として、暑がりの方や寒がりの方を上げることができます。前述の通りペアガラスは断熱効果が非常に高く、冷暖房の効果を逃さないようにすることに効果を発揮します。エアコンによる効果をより保たせることができるようになるため、エコにも効果を発揮することができます。
そしてもう1つ、実は効果的なのがきれい好きな方です。外気温による影響を受けにくく、室内側のガラスがあまり冷えないという性質を持っていることによって、ペアガラス結露を起こしにくいという性質を持っています。冬場になるとガラスの結露が気になってしょうが無い、という方でも、安心して使用することができるでしょう。

ペアガラスリフォームの相場を知っておこう

それでは、実際ガラスのリフォームを行う場合、どの程度の費用を考える必要があるのでしょうか。ペアガラスに交換を行う場合につては、まずはガラス自体の費用が必要となり、その上でガラス交換のための作業費用が必要となることになります。高所などにあるガラスの場合にはこれに加えて特殊作業の費用が必要となるため、高額になりがちです。
まずガラス自体の費用についてですが、ペアガラスの場合にはだいたい3万円から4万円前後となることが多いでしょう。交換については、サッシごと交換を行うのか、ガラス部分だけを交換するのかによって費用の違いがあります。サッシごとの交換となるとどうしても高額になってしまうことが多く、10万円近くかかる可能性もあります。

ペアガラスを使えるマンションと使えないマンション

それでは、ここから具体的にマンションのガラスをペアガラスに変更する場合のポイントについて紹介していきます。そもそもからして、全てのマンションに於いてペアガラスへのリフォームを行うことができるわけではありません。リフォームを行うにあたって、いくつか障害となるポイントが存在しています。
まず最初のポイントとなるのが、窓枠が合致していない、ということによることです。サッシ自体があっていない場合、サッシごと交換を行う必要があるために高額になりやすく、かつ合致するものがなければ交換を行うことができません。
そしてもう1つのポイントとなるのが、許可が降りない可能性があるということです。基本的にマンションの窓ガラスというのは、それが賃貸であれ分譲であれ、共用部分として扱われることになります。そのため、この部分に対するリフォームというのは、大家や自治会等による許可を取る必要があります。そこでここから先ではマンションにおけるガラスの交換について「賃貸の場合」「DIY可能物件の場合」「分譲の場合」という3つのポイントについて紹介をしていきます。

賃貸マンションの場合は必ず事前に管理会社や大家に相談を

もしお住まいのマンションが賃貸なのであれば、窓の交換を無断で行うべきではありません。賃貸マンションは退去の際に原状回復義務というものがあり、元通りに戻していかなければならないため、原状回復が必要となる場合には敷金を含む費用が必要となるためです。
ただし、より良いものになる場合については許可が降りる可能性もあるため、完全にあきらめてしまう必要はありません。資産価値が上がることを実費で行うということなのであれば、大家や管理会社に連絡をすることで、許可を取ることができる場合もあります。ただし、許可を取ることか出来なかった場合については、賃貸マンションでの窓の交換は諦めた方が良いでしょう。シートを貼るなどの方法から断熱性や防犯性の向上が行えるケースもあるため、別の方法を探るべきです。

DIY可能物件でも勝手にガラス交換は出来ない

また、マンションの中には昨今ではDIYを行うことができることを売りにしているものも登場するようになってきています。自分なりのカスタマイズをすることができるようになっており、いわゆる原状回復義務がない、というのが大きなメリットとなっているものです。しかし、このようなDIYができることを売りとしているようなマンションであっても、窓ガラスについてはその対象外であることが多く、勝手に交換を行う事ができないケースが多いです。
ベランダや廊下などと同じく共用部分として扱われるようになっているためです。二重サッシなのであれば内側の窓を交換するぐらいまでは出来ても、外窓の交換については出来ないようになっている可能性が高いため契約前に注意をしておくほうがよいでしょう。

分譲マンションの場合も共用部分はリフォームできないことに注意

最後に、分譲マンションの場合についてです。分譲マンションは賃貸の場合と違い購入しているものであるため所有権は自分のものとなっていますが、この場合でも窓ガラスのように外に繋がっている部分については共用部分となっているため、交換ができるかどうかは契約内容などによって変化することになります。
ただし、外観に影響を与えないような範囲で、防犯や防音、断熱などの性能を高めることを目的としたガラス交換については、平成16年のマンション標準管理規約が改正になったことによって認められるようになっています。いずれの場合にせよ、まずは管理組合に連絡をして相談をしてみることが必要となるでしょう。

まとめ

それでは最後に、マンションにおけるガラスの交換に関する情報のまとめを紹介します。ガラスの交換を行う場合、一戸建てであり、かつ自分が所有している物件なのであれば、交換は自由に行うことができます。しかし、マンションのような集合住宅である場合、交換を行う事ができるかどうかに注意しなければなりません。
基本的に、マンションにおける窓ガラスというのは、共用部分として扱われることになります。これは賃貸であっても分譲であっても同様で、勝手に交換を行う事ができません。交換を行いたい場合には賃貸住宅であれば大家や管理会社、分譲住宅なのであれば管理組合に相談をして、許可を得る必要があります。昨今ではマンション管理規約に関する改正が行われていることによって、断熱や防音などに対するガラス交換については認められるようになっているため、これを使用するのが良いでしょう。
交換先となるガラスとして一般的なフロートガラスではなく、いわゆるペアガラスのようなものを使用する場合については、サッシ毎交換を行う必要があるケースも多いため、その場合には費用が高額になってしまう可能性もあります。

  • ペアガラス
  • マンション
  • 交換