ガラスの熱割れが起こる原因とその対策

どの程度の被害状況かにもよりますが、ガラスの熱割れを放置してはいけません。少しのヒビなら大丈夫だろう。交換するとなれば費用の負担もある。そう考えるのも当たり前で、完全に割れていなければ様子を見てから対応することも選択肢の1つでしょう。確かなことは、ガラスが思っているよりも繊細な物質であるということです。そのためわずかなヒビでもそこから広がり、窓全体へ進行してしまいます。熱割れ予防をしてもヒビが大きくなる場合や修理したい時など、素早く対応するためのポイントもまとめているので役立ててください。

1.ガラスの種類や特徴

一般的な家庭に取り入れるガラスは、フロート版ガラスと呼ばれる透明なガラスです。新築の住宅では断熱効果の高いペアガラスや合わせガラス、中間フィルムが複数の防犯ガラスなども多いでしょう。フロート版ガラスはガラス生地を錫合金の上に浮かべて板状にしたもので、ガラステーブルなどにも使われています。ペアガラスはそれぞれ3~4mmくらいのガラスが2枚重なっているもので、その間には5~6mm程度の空間があります。この空間に空気が入っているため、断熱性が生まれるのです。結露を抑える効果もあり、1枚のガラスよりも外気が屋内へ伝わりにくい構造になります。合わせガラスは飛散防止や紫外線カットの効果を合わせたもので、ペアガラスのような空間はありませんが、2枚以上のガラスを接着させています。防犯ガラスは2枚以上のガラスを重ね、さらに厚みのある中間膜を挟むことで割れにくい構造を作っています。メーカーによって呼び方が違うこともありますが、遮断性や防音性の高いガラスを組み合わせれば、より快適な暮らしを実現することができます。 ガラスはプラスティックより強いですが、使っていれば経年劣化もします。傷が入りやすい状態になったりもするので、日常的なお手入れが必要です。埃や手垢が溜まるとカビも繁殖し、それが結露によって増えるので気をつけましょう。最近はガラス専用のクリーナーもありますが、拭いているとどうしても油膜が残ってしまいます。そこで新聞紙を使ったお手入れ方法をも説明しましょう。インクがガラスに着くのではないかと心配もありますが、新聞紙のインクはつや出しや曇り防止の効果もあると言われているので問題ありません。ぬるま湯と新聞紙を用意し、軽くしぼった状態で上から拭いていきます。洗剤を使わないので環境に優しいですが、拭き終わったあとの新聞紙はきちんと処分してください。汚れが酷い時は、新聞紙で拭いてから部分的にクリーナー使っても良いかもしれません。拭き残しがあると筋が着いているように見えるため、最後は少し濡らした新聞紙で拭き上げればキレイに仕上がります。晴れた日に掃除をすると乾きも早いです。

2.ガラスが熱割れする理由

熱割れは、ガラス表面の温度差によって起こります。太陽の熱がガラスに当たると、その熱で当たった部分が膨張します。ただ、屋外面は当たっていても屋内面には当たりません。表面を通り越して当たったりもしますが、それでも直接当たるわけではないので低温のまま膨張することは少ないでしょう。膨張する力とそれを引っ張る力が混在すすれば、結果的にガラスのヒビ割れに繋がってしまいます。特に網入りのガラスは内部の強度が低くなっているケースも多く、熱割れを起こしやすい種類だと言われています。<.br>冬はガラス表面の日射量が増えてもサッシの温度が上がらないので、そこに約60℃の温度差が生じれば熱割れの起きる条件が揃うことになります。熱湯をかけると傷む印象を持たれがちですが、耐熱ガラスなどは90℃の熱でもヒビ割れたりしません。その証拠に赤ちゃんの哺乳瓶は、90℃のお湯を注いでも割れることはないです。温度差によってガラスが熱の影響を受けやすい状況となれば、出窓でも掃き出し窓でも同じように熱割れを起こします。どんなガラスでも熱割れの起きる可能性があり、高いガラスを使っているから起きないという保障はありません。 熱割れは小さな点やヒビから始まります。最初は薄くて目立たないかもしれませんが、端から中央に向かってヒビ割れが進行していきます。また、1本のヒビ割れた線から分岐し、大きな亀裂へと広がっていくケースもあるでしょう。ガラスの面積が大きいほど熱割れしやすく、カーテンやブラインドを着けていればより温度差が生まれます。ガラスにフィルムを貼っている場合も、温度差が現れやすくなるでしょう。地震や竜巻対策として飛散フィルムを貼っている家庭もありますが、フィルムの貼り方や素材によってはそれが原因となります。窓ガラスは均一に太陽の熱を吸収するのではなく、場所によって熱の伝わり方も異なります。端に近いほど放熱しやすく、中心部へ行くにつれて放熱できない状態になります。そのため膨張しやすく、ある程度の限界に到達すると行き場を失った力が熱割れを起こします。<.br>前触れなくヒビが入っていれば熱割れとは気づけないかもしれません。何かをぶつけたのだろうか。いつ当てたのだろう。そう考えても不思議はなく、何が原因か突き止めたい気持ちになったりもするでしょう。実は熱割れとそれ以外には、ガラスの割れ方に違いがあるためよく観察すればわかります。熱割れは必ず端からヒビが入り、何かをぶつけた場合はぶつかった場所から亀裂が入ります。そのためおもちゃや石が当たってヒビが入っているなら、中心部から外側へ亀裂が広がります。

3.熱割れを防ぐ対策

ペアガラスも熱割れを起こしやすいため、できることなら対策を施しておくと良いかもしれません。特に太陽の熱が当たりやすい東向きや南向き、東南側にある窓ガラスは注意してください。サッシ枠が白やシルバー、ゴールドや薄い茶色など熱を吸収しにくい色を採用している場合は、ガラス部分との温度差ができやすくなります。サッシのゴムが劣化している場合も温度差を発生しやすくなるので、ゴムを交換しておくのも良いでしょう。

・窓の近くに影を作るモノを置かない

窓の近くに影のできやすいモノを置くと、温度差が生まれやすい状態となってしまいます。例えば窓辺にテレビボードや机、ソファーなどの家具を配置しているとガラスに影ができやすくなります。ポスターを貼っている人もいますが、それはおススメできません。貼っているガラス面積部分に熱がこもりやすく、熱割れを起こす原因が作られてしまいます。ジャケットやブレザーをカーテンレールに引っ掛けるのも控えてください。冬場の寒さ対策としてダンボールを密着させたり、サッシの内側に断熱テープを貼ったりすることもありますが、いずれも温度差を生じさせる原因になります。寒さ対策としては問題ありませんが、熱割れを防止する上ではそれが原因になったりもします。厚手の遮光カーテンもできるだけ避けてください。このあたりは、熱割れ防止を選ぶか紫外線カットを優先させるかになってきます。

・窓辺の気温を左右するモノに注意

窓の近くに設置しているエアコンを使っていると、屋内側と屋外側のガラス面に温度差が現れやすいです。ただ、エアコンの場所を移動させることは難しいので、窓へ当たらないよう風向きを調整しましょう。それと同じ理由で、ストーブやヒーターの位置も考えてください。窓用エアコンを付けていると、熱割れが起きる確率も高いです。加湿器や空気清浄器を置いている場合も配置を変えましょう。加湿器から飛散する水蒸気は、ガラスに気温差をもたらします。少し意外なところでは、パソコンにも気をつけましょう。普段はあまり気にならないかもしれませんが、パソコンからも排熱されています。メーカーや種類によっていくらか逃がしてくれる場合もあるかもしれませんが、電化製品は大なり小なり排熱しています。裏側から排熱されることが多いので、排熱口を窓辺へ向けないようにしてください。

・熱割れしたらどうなるの?

熱割れを起こしたら、時間の経過と共にヒビ割れが大きく広がっていきます。端から中央に向かって入った亀裂は、中心部を通り越して反対側へも伸びていくでしょう。どこで熱割れが止まるのかは予測がつきません。放置すればするほどヒビが広がり、危険な状態になります。少しの刺激や圧力でも割れやすいため、なるべく触らないようにしてください。どこまで熱割れが進行しているかにもよりますが、振動によって割れることもあるため気をつけましょう。<.br>火災保険の種類や内容によっては、熱割れも対象に含まれます。自然災害と同じような意味合いとして解釈されるので、加入している保険の補償内容を確認する必要があります。もちろんすべての保険で対応しているとは限りませんが、適用される可能性も高いです。集合住宅に住んでいる場合でも、管理会社へ連絡すれば対応してもらえるはずです。保険が適用された場合でも、その後に掛金が上がることはありません。免責金額の範囲内で修理代が収まった場合は払われませんが、免責自己負担額を越えた金額については補償してもらえます。

4.熱割れした時の対策

熱割れが起きた状態にどうするか決まらない場合は、応急処置を施しておきましょう。ヒビ割れの大きさにもよりますが、ホームセンターなどに並べられているシールを貼ってください。飛散防止になり、亀裂の進行を抑えてくれるかもしれません。これだけで完全に進行が止まるわけではないので、あくまでも応急処置としての位置づけです。ガラス用のコーキング剤も使えます。コーキング剤は防水性を高めるために使うもので、お風呂場で目にしたことがある人も多いでしょう。熱割れが起きている部分へコーキング剤を塗ることで、ヒビ割れを一時的に止められます。乾くとコーティング剤の跡がくっきり目立つため、見た目が気になる人には向きません。<.br>ヒビ割れを起こしていると防犯面のリスクもあるため、できるだけ早い時期に交換することが望まれます。交換費用としては7,000~10,000円ですが、種類や機能によっては3~5万程度必要になることもあります。業者に依頼した際は、材料費に出張費や工賃などが加えられるでしょう。 ガラスは自分で交換することもできます。ただ、それにはサッシのビスを外してガラスを取り外さなければなりません。固くて外せない時は、ゴムのハンマーでサッシを叩いてください。新しいガラスをはめ込んでビスを戻せば終わります。作業自体はとても単純なものですが、ガラスを取り扱わなければならないので慎重さが求められます。ガラスのサイズを間違わないように採寸し、自宅まで割らないように持ち帰ってくる手間も必要です。配達してもらうこともできますが、割れ物なので破損する可能性がゼロとは言えません。そもそもガラスを交換する前に窓枠を外さなければならないため、それが難しいようなら強引に進めるのではなく、業者へ相談しましょう。<.br>力任せに取り外そうとしても、窓枠を外すのは簡単ではありません。例え取り外してガラスの交換に成功したとしても、元の状態へ窓枠を戻せなければ業者を呼ぶことになってしまいます。窓枠は想定しているより重量があるため、慣れていない人が1人で作業するには無理があります。熱割れしたガラスが2階の出窓の場合は、危険を伴うので自力で交換するのは止めてください。家族の誰かに手伝ってもらう。ホームセンターのスタッフにサポートをお願いする。いろいろな方法もありますが、専門業者へ依頼するほうが早く片付きます。マンションの高層部屋になれば支払う費用が高くなる可能性もありますが、そこは管理会社との話し合いになります。熱割れの傷が深いようなら、業者が到着するまでの間に養生用ガムテープを貼っておきましょう。養生用ガムテープなら粘着力も高いため、万が一ヒビ割れが進行しても飛散する心配はありません。 ズに進むでしょう。

まとめ

ガラスは温度差によって熱割れを起こします。自分で応急処置を施すこともできますが、そのまま放置してはいけません。ヒビ割れが小さいからと言って安心するのではなく、時間が経つにつれて亀裂が広がるようなら専門業者へ連絡しましょう。熱割れしたガラスを修理して使う方法もありますが、1度熱割れするといくら処置をしても根本的には直せません。新しいガラスへ交換するまでの間に飛散防止対策をとり、できるだけ早めに業者を呼んでください。

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