ガラスの熱割れの原因と対処法

太陽光の取り入れや空気の入れ替えに欠かすことができないガラスですが、強い衝撃を与えたり、何かをぶつけたわけでも無いのに「突然ガラスが割れた」「ヒビが入った」という経験をお持ちではありませんか。ガラスが割れる原因の一つに「熱割れ」があります。熱割れはガラスにヒビが入るトラブルですが、そのまま放置しておけば開閉の際にガラスが破損する恐れもありますし、防犯効果も低下するのでとても危険です。ここでは、ガラスが熱割れする原因やその対処法についてご紹介していきます。

①ガラスの熱割れについて 

①.1ガラスの熱割れと原因

ガラスが割れる原因は様々ありますが、ガラスの表面に温度差が生じたことが原因でヒビが入ることがあります。これが「熱割れ」です。
ガラスに直射日光が当たると、その部分の温度が高くなり膨らみます。それに対して日光が当たらない部分やサッシにはまっている部分は、あまり温度変化は起こりません。日光が当たる部分はどんどん膨らみ、温度の低い周囲のガラスを引っ張るので、その結果ガラスの熱膨張が限界を超えヒビが入り熱割れが生じるのです。 「ガラスは熱割れを起こす」ということをご存知なければ、ガラスにヒビが入った状態を目にしても「何かをぶつけてしまったのかも」と思われるかもしれません。熱割れによるヒビにはいくつか特徴がありますので、見分け方を知っておくと便利です。 ・放射線状にヒビは入らない・・・「ガラスのヒビ」というと、蜘蛛の巣のように放射線状のヒビを想像される方も多いかもしれませんが、「熱割れ」で生じるヒビは1~2本、もしくはその線から枝分かれしています。 ・ガラスの端っこからヒビが入っている・・・ガラスの端っこから横一直線にヒビが入っていたり、下から上に向かって直角にヒビが入ります。 もしご自宅に原因不明のガラスのヒビがあるのなら「熱割れ」の特徴に当てはまるかとうか確認してはどうでしょう。

①.2熱割れが生じやすいガラスの種類

“熱割れはどんなガラスでも生じる現象ですが、種類によってより熱割れしやすいガラスがあります。 ・複合ガラス・・・高い断熱効果がありますが、複合ガラスは外側のガラスだけが直射日光を受けるため、内側との温度差が生じるので熱割れしやすくなります。 ・網入りガラス・・・ガラスの破損時に、破片の飛び散りを抑止してくれる網入りガラスですが、ガラスの内部に網やワイヤーが入っているので、ガラスの強度が低く熱割れもしやすいと言われています。 ・ガラスフィルムを貼っている・・・ガラスの種類を問わず、直射日光や人目を避けるためにガラスフィルムを利用している場合も注意が必要です。特に黒い色がついたガラスフィルムは、熱を吸収しやすくなります。色が付いていなくても、ガラスフィルムの種類によっては日射熱吸収率が高くなり、サッシ部分との温度差が生じます。ガラスフィルムを利用する場合には、メーカーやガラスの専門業者に相談されると良いでしょう。

①.3熱割れが生じやすいガラスの設置場所

熱割れが生じやすいガラスの設置場所はやはり日当たりの良い場所です。太陽の光が差し込みやすい東側や南側は特にご注意を。夜間と昼間の温度差が激しくなる冬の晴れた午前中は、一年間を通じて「熱割れ」を生じやすい時間帯と言われています。 それでは、どのような対策を講じればガラスの熱割れを防ぐことができるのでしょうか。次で詳しくみていきましょう。

②ガラスの熱割れ対策

それでは、ガラスの熱割れを防ぐ方法をいくつかご紹介していきます。ガラスの熱割れを防ぐ方法はいくつか考えられますが、大きく分けると自己対策できる方法と、ガラスの専門業者へ依頼して対策してもらうものの二つに分かれます。

②.1自己対策法

・ガラスに陰を作らない・・・カーテンレールに洗濯物をひっかけたり、窓にマットレスや寝具を立てかけて干してはいませんか。ガラスに温度差を生じさせないために、できるだけガラスに陰を作らないようにしましょう。 ・窓の周辺に物を置かない・・・ソファやタンスなどの調度品を窓の周辺に置くのもNGです。カレンダーやポスターなどを窓に貼っている方も多いかもしれませんが、これもガラスに温度差が生じる原因につながります。 ・シャッターや雨戸を活用する・・・熱割れが起こりやすい冬の晴れた日の午前中は、シャッターや雨戸を閉めておけばガラスの温度差が生じません。 ・カーテンやブラインドは開けておく・・・カーテンやブラインドが部分的にガラスに触れていると、そこだけ熱が高くなることも。カーテンやブラインドが触れていない部分との温度差が生じないようにしましょう。 ・冷暖房器具の設置場所に注意する・・・冷風や温風が直接ガラスに当たると、風が当たっていない部分との温度差が大きくなるので風向きに注意しましょう。どうしても風が当たってしまう場合には、サーキュレーターを利用して風向きを変えることもできます。 ・エアコンの室外機の設置場所にも注意・・・屋外に設置してあるエアコンの室外機の排気も熱割れの原因につながります。できるだけガラスから離れた場所へ設置しましょう。

②.2ガラスの専門業者への依頼

・グレージングチャンネルの交換・・・グレージングチャンネルとは、ゴム状のパッキンのような部品でガラスをサッシに取り付ける時に使います。グレージングチャンネルが取り付けられていれば、ガラスが膨張しても多少の歪みを吸収してくれます。グレージングチャンネルは経年劣化すると、歪みの吸収性が悪くなるだけでなく、窓枠がゆるんだり防水性の低下につながるので交換が必要です。 ・網やワイヤーの入っていない耐熱強化ガラスへ交換・・・①.3熱割れが生じやすいガラスの種類でご説明したとおり、網やワイヤーが入っているガラスは熱割れを起こしやすいので、耐熱強化ガラスやフローとガラスへの交換がおすすめです。特に耐熱強化ガラスは、網やワイヤーが入っているガラスと同様、物理的な衝撃に強い性能を持っているので安心してお使いいただけます。”

③修理方法

それではガラスが熱割れを起こした場合はどうすればよいのでしょうか。熱割れはガラスにヒビが入るトラブルですが、ほんの些細なヒビであっても開け閉めの衝撃や振動から状態が悪化する恐れもあります。小さなお子様やペットを飼われている場合には、ガラスに軽く接触しただけでも割れてケガをする可能性も否定できません。ガラスの修理というと、ガムテープやビニールテープを使って補修されるイメージがありますが、これはあくまでもその場しのぎの処置です。ガムテープやビニールテープは熱に弱いので、日光に当たると接着部分が溶ける恐れもあります。ガラスの熱割れをみつけたらできるだけ早く修理をしましょう。

③.1自己補修

・市販の補修剤を使う・・・ホームセンターや通信販売などでは、ガラス用の接着剤が売られており、またカー用品店で売られている車のガラス用の補修剤も熱割れの補修に活用できます。ヒビに接着剤を塗るだけなので、どなたでも簡単に使う事ができますが、接着剤が乳白色だったり、経年劣化や紫外線の影響を受けると黄色く変色するケースもあるのでご注意ください。 ・ガラス用のコーキング剤を使う・・・コーキング剤は接着機能だけでなく雨や空気の侵入も防いでくれます。コーキング剤の上からガムテープや補修テープを張れば耐久度がさらに高まるでしょう。コーキング剤は乾くまでに時間がかかるので、完全に乾くまで補修部分を触らないように注意が必要です。コーキング剤もホームセンターや通信販売などで購入できます。 ・ガラスフィルムを貼る・・・①.3熱割れが生じやすいガラスの種類で、ガラスフィルムの貼り付けは熱割れの原因になるとご紹介しましたが、金属層を持ったミラー調のフィルムや透明フィルムは熱割れのリスクが低いので、一時的な補修に利用する分には問題ないでしょう。

③.2ガラスの専門業者への依頼

③.1で自己補修の方法をご紹介しましたが、これはあくまでヒビが軽度な場合や応急処置として捉えてください。大きなヒビが生じてしまった場合には危険を伴いますので、すぐにガラスの専門業者へ依頼をした方が安全です。
ガラスの修理は、30~1時間程度で終了する場合がほとんどですが、業者によって料金や修理費用は異なりますし、修理費以外に出張費が追加されることもあります。インターネットの口コミや評判を参考にして、相性の良い業者を選ぶと良いでしょう。とはいっても「やはりガラスの修理や交換は高いのでは」と不安に思われる方も多いはず。あまり知られていませんが、実は熱割れガラスの修理や交換には保険が適応されるケースもあります。せっかく加入している保険ですので、無駄なく活用してはどうでしょうか。次で、ガラス修理の保険適応について詳しくみていきましょう。

④ガラスのトラブルと保険適応について

④.1加入している保険内容の確認

熱割れに限らず窓ガラスにヒビが入ったり割れたりした場合、「火災保険」「家庭総合保険」「店舗総合保険」などの保険に加入していると修理費が補償される可能性があります。ガラスの熱割れは保険会社によって「不測の事故」とみなされ保険適応外となったり、「突発的な事故」と判断されて保険が適応されるなど、様々なケースがあるようです。保険適応の判断がつきにくい場合には、加入している保険会社へ相談してみると良いでしょう。
ちなみに「保険には加入していない」という方もいらっしゃるかと思いますが、クレジットカードをお持ちではありませんか。クレジットカードにはカード発行時に付帯される保険がありますので、内容を確認してみることをおすすめします。</p

>ここで注意したいのが「免責額」です。「免責額」とは「自己負担金額」だと考えるとわかりやすいかと思いますが、「免責額」が設定されていると、修理費用から自己負担金額を引いた補償金が保険会社から支払われるという仕組みになっています。 賃貸物件にお住まいの場合、過失や故意にガラスを破損させてしまった場合には自己責任となりますが、ガラスの熱割れの修理は個人負担になってしまうのか、大家さんや管理会社が負担してくれるのか気になるものです。熱割れの場合は、大家さんや管理会社が負担するよう、国土交通省の退去費用のガイドラインに明記されているのでご安心を。しかし、熱割れが生じていることを大家さんや管理会社へ正しく報告する必要がありますので、以下を記録しておくと便利です。 ・「熱割れ」が生じた日付(もしくは、ヒビに気付いた日付) ・ガラスが設置されている場所 ・状況写真(ヒビの部分だけでなく、ガラス全体、周辺状況なども撮影しておきましょう) ガラスだけに限った話しではありませんが、賃貸物件の設備の修理や修繕をする場合、「修理費は大家さんや管理会社が負担してくれるから」といって、勝手に修理業者を手配してしまうことはやめましょう。自己判断で業者を利用した場合には、発生した費用を負担してもらえない事もあります。賃貸物件を借りている人は「善管注意義務」を守らなくてはいけません。「善管注意義務」とは賃貸契約している物件の設備に異常や不具合をみつけたら、大家さんや管理会社へ速やかに報告する義務です。この義務を怠れば敷金の返還額に影響を及ぼすなど損をするケースもあるのでご注意ください。

④.2保険請求の流れ

最後に保険請求をする際の流れや必要な書類をみていきましょう。 ・保険会社への連絡・・・まずは「保険請求をしたい」と保険会社へ連絡しましょう。状況等の詳細を説明する必要があります。 ・請求に必要な書類が保険会社から送付・・・保険会社から送られてきた書類に必要事項を書き込み、指定された添付書類を添えて提出しましょう。 ・保険会社で審査される・・・提出した書類の審査が行なわれ、不備がなければ保険金が支払われます。 こうしてみるととても簡単に思える手続きですが、保険会社によっては修理見積書(請求書・領収書)や状況を確認できる写真の添付が定められていることもあるので、やや面倒に感じるかもしれません。しかし、保険の請求には時効があり、保険金や給付金は3年を過ぎると請求できなくなります。ガラスの専門業者の中には、修理見積書の作成はもちろん、状況を確認できる写真の撮影からプリントまでを請け負ってくれるところもあります。実績豊富な信頼できるガラスの専門業者へ修理を依頼すれば、保険請求までスムーズに進むでしょう。

まとめ

ガラスの熱割れの原因と対処法についておわかりいただけましたか。ガラスの熱割れは自然現象で起こるものですが、ガラス周りの環境も関係してきますので、今一度お部屋の中の状態を確認してみてはどうでしょう。

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