窓に使われているガラスって、どんな種類があるの?その特徴は?適切な設置場所もご紹介

普段、何気なく開け閉めしている”窓”ですが、その用途によって、様々な種類のガラスが使われている、ということをご存知でしょうか。実は窓にも、適材適所があるのです。 ここでは、窓ガラスにはいったいどんな種類があるのか、どういう場所に適しているのか、その特徴について、詳しくご紹介していきたいと思います。

窓ガラスにはどんな種類があるの?

窓ガラスは、大きく分けると、「一般ガラス」と「機能ガラス」に分けられます。では、それぞれのガラスにはどんな種類があるのでしょうか。

1.一般ガラス

①フロート板ガラス

フロート板ガラスは、またの名を”透明ガラス””単板ガラス”と言います。一戸建てからビルまで、最も多用されている窓ガラスでしょう。
厚さは、2ミリから8ミリ。透視性、採光性共に非常に良いガラスです。
値段も安価であり、どこの業者も必ず在庫を持っている、使い勝手の良いガラスと言えるでしょう。 しかし、万が一外から何かが当たると、非常に鋭利な形に割れてしまいます。尖ったガラスが室内に落ちてしまうので、道路に面した1階などには不向きであると言えるでしょう。高い場所の窓や、大きな面積の窓に使う際には、”飛散防止フィルム”などを貼っておくと安心ですね。 ②梨地ガラス

いわゆる”くもりガラス”のことを指します。厚さは2ミリのみです。大きさは、90センチ×90センチ以内の大きさのものがほとんどです。片面が、果物の梨のようにザラザラしていて、凹凸があります。光をしっかり通し、ガラスの向こうは見えないという機能性を持っています。 欠点は、やはり2ミリしかない厚さでしょうか。非常に薄いため、外に面した窓に使うのには適しません。何かが風で飛んできただけで、割れてしまう危険性があるからです。
そのため梨地ガラスは、室内で使われることが多く、室内引き戸などにもよく採用されています。 ③霞ガラス

こちらも、いわゆる”くもりガラス”であり、型板ガラスです。片面に凹凸があるため、窓の向こうが見えにくい作りになっています。
梨地ガラスと違う点は、その暑さです。梨地ガラスは2ミリなのに対し、型板ガラスは4ミリから6ミリと、少し分厚くなっています。梨地タイプと比べると、価格が安くなっています。 霞ガラスは梨地ガラスよりも分厚いため、人通りの多い場所に面した場所や、隣の家と面した場所などによく使われています。 ④すりガラス

フロート板ガラスの表面に、金剛砂などを擦り付けて、細かい傷をつけているガラスのことを言います。そのため、ガラスの表面がザラザラしています。この細かい傷があるために、光が通るときにいろいろな角度に拡散し、柔らかい光が生まれ、あたたかい雰囲気になります。
新品の時は乳白色であり、表面に水分が付くと、その部分が透けて見えるようになるのが特徴です。 すりガラスは、そのあたたかい雰囲気が、和風建築などに好まれ、多用されています。 ⑤フロストガラス

フロストガラスは、すりガラスと同じく金剛砂を擦り付けて細かい傷をつけたガラスを、さらに、なめらかになるように加工したものです。そのため、表面はサラサラな手触りになっています。
すりガラスよりも表面がなめらかなため、掃除がしやすいとされています。 ⑥ぼかしガラス

すりガラスと同じ手法で作られていますが、部分的にしか擦り加工がなされていません。店舗の室内窓や、和風建築で多用されています。
最近の街では、あまり見られなくなってきたようです。 ⑦網入り透明ガラス(ヒシワイヤ)

透明なフロート板ガラスの中に、網を入れ込んだものです。別名、”防火ガラス”とも呼ばれます。防火地域にあるマンションや一戸建てなどの窓に使われています。厚みは、6.8ミリと10ミリがあります。
網入り透明ガラス(ヒシワイヤ)の長所は、ワイヤが内部に入っているために火災時に高熱でガラスが割れた際、周囲に飛散せず、延焼や類焼を防ぐという点です。反対に短所は、温度差でガラスが割れてしまったり、ガラス内部のワイヤが腐ってサビが発生してしまう点などです。 ⑧網入り透明ガラス(クロスワイヤ)

網入り透明ガラス(ヒシワイヤ)と同様。防火ガラスであり、防火地域にあるマンションや一戸建てなどに使用されています。厚みは6.8ミリのみです。ヒシワイヤとの違いは、網目の形状の違いだけで、後の性能は全く同じです。 ⑨網入り型ガラス(ヒシワイヤ)

網入り透明ガラスと同じく、防火ガラスであり、防火地域のマンションや一戸建てにて使われています。厚みは6.8ミリで、片面に型板模様が施されていて、ザラザラしています。性能は、網入り透明ガラスと全く同じです。 ⑩網入り型ガラス(クロスワイヤ)

網入り型板ガラスと同じ性能、同じ厚みです。異なるのは、網目の形のみとなっています。 ⑪線入り透明ガラス(タテワイヤ)

透明の板ガラスの内部にワイヤを入れ込んだもので、一般住宅の出窓、マンションの窓、防炎垂れ壁などに使われています。厚みは6.8ミリと10ミリ。内部のワイヤは直線であり、5ミリ間隔で配置されています。
ワイヤが入れ込んであるため、ガラスが割れた際の飛散防止効果があります。しかし、ガラスの温度差による熱割れや、ワイヤが腐った際に発生するサビなど、デメリットもあります。 ⑫線入り型板ガラス(タテワイヤ)

先に紹介した線入り透明ガラス(タテワイヤ)と性能は同じで、厚みは6.8ミリのみです。異なる点は、ガラスの片面に型板模様がつけられており、プライバシーに配慮されたガラスであるということです。 ・防犯ガラス
中に挟むフィルムを非常に厚く強力なものにすることで、突き破ることに手間取るよう、防犯性を高めたもの。 ・防災ガラス
中に挟み込むフィルムを非常に丈夫なものにしており、台風、地震などの災害が起こった時、例えガラスが割れても飛び散らないようになっています。また、窓枠から脱落しにくい作りにもなっています。
ビルや学校などの窓によく使われています。 ・防音ガラス
中に挟み込むフィルムを非常に防音効果が高い性質をもったものにしており、外部からの音を遮ります。また、室内の音が外に漏れ出るのも防いでくれます。
防音対策が必要な建物などに、よく使われます。 ③複層ガラス

2枚、もしくは3枚のガラスの間にある中空層に、スペーサーと呼ばれる部材で乾燥した空気を挟み込み、断熱性を高めたものです。長所としては、外気温が高いときも低いときも、室内を快適な温度に保ちやすく、省エネ効果があります。また、結露が発生しにくいという利点もあります。 この複層ガラスの持つ性能をよりいっそう高めたものが、ガラスの間に特殊な金属膜をコーティングしてもので、”Low-E複層ガラス”と呼ばれるものです。Low-E複層ガラスにはさらに2種類ありますので、ご紹介しましょう。・遮熱服装ガラス

一番室内側にあるガラスにLow-Eガラスを使っているもので、夏の暑い時期の日光を遮り、冬のあいだは室内の暖かい空気を逃がさない構造になっています。そのため、冷暖房費を抑えることができ、非常に省エネなガラス窓とされています。
夏は涼しく、冬は暖かい窓ガラスということで、西側の西日が当たる部屋の窓や、日に焼かせたくない物が置いてある部屋の窓などに最適です。 ・高断熱複層ガラス

一番室内側にあるガラスにLow-Eガラスを使っています。外の太陽から得られる熱を室内に取り入れつつ、室内の暖房のあたたかさを外へ逃しにくくします。断熱性、保温性が非常に優れていて、結露の発生も抑えます。厳冬地域にぴったりの窓ガラスです。 ④多機能な複層ガラス

これまでご紹介した「複層ガラス」「遮熱複層ガラス」「高断熱複層ガラス」の2枚のガラスのうちの1枚に、「合わせガラス」「強化ガラス」を採用したさらに多機能な複層ガラスもあります。 その他に、2枚あるガラスの厚みをそれぞれ変えることで、外部からの騒音をカットできる”異厚複層ガラス”、2枚のガラスのあいだにガスを注入した”ガス入り複層ガラス”、2枚のガラスにブラインドを挟み込み、遮熱性能を向上させた”ブラインド入り複層ガラス”なども生産されています。

悩みを解決するにはこの窓ガラスがオススメ!

先ほど、様々な種類の窓ガラスを紹介させていただいた際にも少し触れていますが、「この悩みを解決するには、この窓ガラスを設置したら良い」という、窓ガラスの適材適所について、もっとしっかりご紹介していきたいと思います。

1.寒い冬をやり過ごすのにオススメの窓ガラス

西日が入ってきて部屋のなかが夕方でも蒸し風呂のように暑い、夜が非常に寝苦しい……夏場は本当に室温調節に困りますよね。エアコンをつけても、なかなか涼しくならないという声も、よく耳にします。 そんなお悩みには、遮熱タイプのLow-E複層ガラスがおすすめです。外からの暑い空気を遮断し、室内の涼しい空気を逃さないでくれるので、遮熱タイプのLow-E複層ガラスがあれば、夏の室内気温の調整もバッチリですよ。

2.夏の暑さ対策におすすめの窓ガラス

世の中には数多くの窓ガラスがあり、それぞれタイプも異なります。だからこそ、今ある窓ガラスに満足するのではなく、新たな窓と交換することを前向きに検討したいものです。その際、台風などの自然災害への対策としての窓ガラスの交換を考える際には網入りガラスの活用も考えてみましょう。
耐久性や強化性などの観点で言えば、たしかに今は数多くのタイプの優れたガラスが存在します。網入りガラスは古くから存在するものであり、必ずしも最新技術から生まれたガラスとまでは言い切れません。しかし、だからこそ網入りガラスは低コストで導入できるガラスでもあります。
1枚ガラスと同じとまでは言えませんが、ほぼ変わらない値段で導入することが可能です。そのため、風によって何かが飛んできたときに窓ガラスが割れるのを防ぎたいという思いがありながらも、コストをかけずにその改善策を探し出したいという場合には、網入りガラスの検討をしてみましょう。
網入りガラスは文字通りガラス内部に網が入っています。つまり、ワイヤーが張り巡らされています。とても細いワイヤーなので、窓ガラスとしての役目を失うことはなく、明るさの確保なども問題ありません。
しかし、中に網が入っていることから仮に何かの衝撃を受けたとしても割れてしまうということがほとんどないのです。もちろん、ひび割れは生じることが多いです。大きな衝撃であればそれを受け止めきれずにひび割れを生じさせてしまうことはあるのです。しかし、網が入っていることからガラスにひびが入っても、割れ落ちるようなことは少ないわけです。
そのため、室内にいる人の危険性なども低くなると言われています。いつどこからどのようなものが飛んでくるのかわからないわけですから、このような窓ガラスの導入を考えてもいいのではないでしょうか。

3.夏冬の冷暖房費を節約したい人におすすめの窓ガラス

ここ最近の夏や冬は、エアコンやストーブなどの費用がうんとかかる……という人には、複層ガラス、Low-E複層ガラスがおすすめです。これらのガラスを設置すれば、エアコンやストーブをガンガンつけなくても、室内の温度は心地よいレベルで保たれます。 「交換するのに費用がかかるのでは……」というお悩みもあるかもしれません。確かに費用はかかりますが、その後の冷暖房費は格段に下がると予想されます。自治体から補助金が出たり、税金が軽減される場合もあるので、一度お住いの自治体の制度を調べてみてください。うまくいけば、安価で窓ガラスを交換でき、冷暖房費を下げることができますよ。

4・窓の向こうからの視線を遮りたい場合におすすめの窓ガラス

ふと窓の外に目をやった時、外にいる人と目が合った……。やっぱり気になってしまいますよね。家の中にいるときくらい、人の目を気にせず、リラックスしたいものです。 そんなお悩みおすすめなのが、型板ガラス、すりガラス、フロストガラスです。外からの視線を遮るだけでなく、断熱効果もほしいという場合は、複層ガラス、もしくはLow-E複層ガラスの2枚のガラスのうち、1枚を型板ガラスかすりガラス、フロストガラスにすれば良いでしょう。

5不審者など.防犯対策におすすめの窓ガラス

1人暮らしで夜が不安、子どもを1人で留守番させることが多いので不安、最近自宅周辺の治安が悪い……。こういった不安を抱えている方は多いでしょう。 そんな方におすすめな窓ガラスは、防犯ガラスです。防犯ガラスはなかなか割れないため、その分、不審者の侵入を遅らせることができます。不審者は、侵入までの時間が数十秒かかる場合、諦めて逃げます。防犯ガラスを設置することで、不審者を撃退することができるならば、すぐにでも変えたいですよね。

6.騒音対策におすすめの窓ガラス

外の音が毎日うるさい、静かな場所で心安らかに過ごしたい……。そんなお悩みにおすすめなのが、防音ガラスです。忘恩ガラスは合わせガラスで、2枚のガラスの間に、騒音をシャットダウンするフィルムが挟み込まれています。心の安定をはかるためにも、ぜひ、設置してみてください。

7.部屋と部屋の間仕切りにおすすめな窓ガラス

部屋を間仕切りたいけど、暗くなってしまうのは嫌だ……。そんなお悩みにぴったりなのが、型板ガラス、すりガラス、フロストガラスです。 こういった窓ガラスで間仕切りをすれば、光はしっかり取り入れつつ、向こうからの視線を遮ることができます。

8.和な雰囲気の部屋におすすめの窓ガラス

和室、もしくは和モダンな部屋にぴったりな窓ガラスのお探しであれば、すりガラスや型板ガラスがおすすめです。 すりガラスや型板ガラスには、光をやわらかく演出する効果があり、上品な空間を作るのに一役買ってくれます。

まとめ

以上、窓ガラスの種類、特性、おすすめの設置場所について詳しくご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。 窓ガラスは非常に多くの種類があります。一度設置してしまうと、なかなか交換できるものではありません。あなたの求める機能、デザインを満たすものを、しっかり選ぶようにしてくださいね。

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