木製建具におけるガラスを交換する時の注意点

昨今では、窓枠として木製のものが使用されていることはあまり多くはありません。大抵の場合で金属やプラスチック等を使用しているものとなっており、木枠を使用しているというケースは全体としてみると稀といえるでしょう。ただ、現在でも使用されていることがあるものであることは確かで、これが特殊な性質を持っているものであることも確かです。
木製の建具が使用されている場合、そうでない場合に比較してどのような点に違いがあるのでしょうか。この先では木製の建具に於いて使用されているガラスを交換する場合について、どのような違いがあるのか、という点を中心にして紹介します。

最初に紹介するのは「木製建具のガラス交換の特殊性」についてです。通常の場合に対して、どのような違いがあり、どのようにしてガラスの交換を行うことになるのかについて紹介しています。
次に紹介するのは「木製建具を使用するメリット」についてです。現在すでに木製建具のものを使用しているという場合であればともかく、そうでない場合において新しく木製建具を使用することによってメリットはあるのでしょうか。あるとしたらそれはどのようなもので、デメリットとなる部分に勝るものと言えるのでしょうか、いくつかの観点から紹介します。これらについて知っておくことで、木製建具におけるガラスの交換の際に迷うことが少なくなります。

①木製建具のガラス交換の特殊性

それではまず、木製建具に於いてガラスが使用されているというケースに置いて、どのような特殊性があるのか、という点についてです。これについては様々な点において違いがあるため、それぞれの要点についていくつかのポイントからまとめています。

木製建具における特殊性として最初に紹介するのは、「木製建具は一品物が多い」ということについてです。量産品である場合に比べて対処が個別になりやすく、それぞれの建具についてしっかりと確認しなければ交換作業を行いにくいという点が特徴となります。

次に紹介するのは「建具の塗装の方法」についてです。正しい方法で行わなければガラス自体が使用できなくなってしまう可能性があるため、外観を保つためにも必要となるポイントを紹介しています。

最後に紹介するのは「ガラスの交換と建具自体の交換、どちらの方が良い?」というポイントについてです。これらのポイントに付いて抑えておくことによって、木製建具におけるガラス交換についてある程度の知識を得ることができるでしょう。

1.1木製建具は一品物が多い

木製建具について最初に紹介するのは、一品物てあることが多いという点についてです。木という素材が一つ一つ形状のちがい、耐久性の違いがあるものである関係上、これらの性質を生かして建具の作成が行われることになるため、大工が一つ一つ建具を作成しているという場合も多く、形や構造に幅があるのが特徴となります。ガラスのはめ込みについてもこれに合わせて行われているため、状態が一つ一つ違っており、一概にこのような形で対応すれば良い、というようなマニュアルを作成することが難しい傾向があります。

例えばガラスが使用される木製建具の一つとして考えられるのが、木製ドアです。ドアにガラスが使用されているような場合、木枠で囲むようにしてガラスが固定されていることが多く、固定自体はネジで行われているということが多くなります。このような設置状態である場合、傷がつかないように嵌め込まれているガラスを取り外す必要があります。職人によってこのあたりに対してどの程度気が遣われているのかに違いがあるため、一つ一つ細かく確認をして、傷をつけることがないように対処する必要があります。

1.2事前にガラスの厚みや大きさ、建具のサイズを事前に測ろう

木製建具におけるガラス交換についてのポイントとして、次に紹介するのはガラスの寸法についてです。前述の通り木製建具は一品物であることが多く、使用されているガラスについてもそれに合わせて違ったものであることが多いという特徴があります。そのため、ガラス交換を行う場合については、適切なガラスを用意するという部分に難しさがあります。

できるだけ適合しているガラスを探そうとする場合、まず重要なのはガラスの厚みや大きさなどについて寸法を測り、具体的に記しておくことです。これらを事前に調査して伝達することができるのと、できないのとではその後の作業の効率に大きな違いが生じることになります。

1.3建具の塗装はガラスをすべて外してから!

木製の建具に於いて、塗装を行いたいというケースも多いことでしょう。このような塗装を行うという場合については、ガラスはしっかり取り外してから行う必要があります。ただし、前述の通り木製建具におけるガラスの取り外しというのは比較的難しいもので、多くのガラスが嵌め込まれているような建具のガラスを交換したいという場合については、全部を外す事を考えるとかなりの労力となってしまうことも事実です。

そういった場合には、労力を節約するために建具の木の部分に近い場所に対して、マスキングテープ等を使用する方法もあります。水性の塗料を使っている場合であれば洗浄によってある程度取り返しがつくものであるため、マスキングテープを使用する塗装でも対応できるケースが多くなります。ガラスに付着してしまったとしても、拭き取ることができるためです。

1.4ガラスを交換するのと建具ごと交換するの、どっちが安い?

それでは、木製建具のガラスを交換して使用を続けるのと、建具ごと交換するのとでは、どちらの方が安く済むものなのでしょうか。これについては、使用されているガラスの数や種類等によってかなり違いが生じることになります。建具であることを考えるとそれほど強化されていない、一般的なフロートガラスやすりガラスが使用されていることが多いため、これは単価としてはそれほど高いものではありません。

しかし、安全性のことを考えて強化ガラス等を使用することを検討する場合には、どうしても価格は高くなってしまいます。
新しい建具を購入してまるごと交換するという場合についても、やはり品質等によって価格の違いがあるため、一概に比較を行うとこができるものではありません。作業を自分で行うかどうか、というのも重要な要素となります。

1.5木製建具のガラスリノベーションはDIYできるのか?

それでは、木製建具のガラス交換や、リノベーションについては、DIYで行うことができるのでしょうか。これについては、不可能というわけではありませんが、簡単というわけでもない、というのが結論です。というのも、木製建具の構造というのは、もちろん物によっても違いがありますが比較的複雑です。というのも、多くの木製建具のガラスというのは、重力を考えて上手く固定するような形をとっているためです。単純にガラスを交換すれば良いというわけではなく、適切な場所に適切な順番で取り付けを行わなければならないなど、難しい点が多いのは事実です。

確かにDIYを使用することによって業者に依頼する場合に比べて安価に交換を行うことができますが、失敗してガラスを割ってしまった場合や、建具の組み立て直しができなくなってしまった場合のことを考えると、一概にDIYの方がコストパフォーマンスが優れているとは言えません。自分では難しいと言うように感じるのであれば、最初から業者に依頼をしたほうがメリットが大きくなることもあります。

②木製建具を利用するメリットはあるのか

現在木製建具を使用しているという場合ではなく、新しく木製建具を導入したいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。では、新しく木製建具を導入することによって、得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。もちろんデザイン性の面から選択をするというのも十分その理由となりますが、それ以外の部分について確認を行って、より効果的であることを確認して交換を行った方が良いでしょう。

この先では、木製建具を使用することによるメリットについて「断熱性と気密性」「エコで強靭」「木製保護塗料が使える」「取り付け施工時の注意点」「各種ガラスが選べる」「点検とメンテナンス」という項目について、それぞれ紹介していきます。

2.1断熱性、気密性が高いため快適

木製建具を使用することによるメリットとして、最初に紹介するのは断熱性の高さについてです。断熱性というのは、外気が外から内側に入らないようにするための性質で、冷暖房の効率などに対して大きな効果を発揮することになります。この断熱性が決定されるのには、素材によって違っている熱伝導率が影響を与えることになります。
木材の熱伝導率は0.09から0.19前後と低い数字で、金属であるアルミニウムの175に比べて極めて低い数字であることがわかります。熱伝導率が高いと、その分だけ熱の交換が内外で行われるようになってしまうため、サッシなどがアルミニウム製であると断熱性を下げる原因となってしまいます。

また、熱貫流率というのも重要な要素となります。木製サッシの場合の熱貫流率は、アルミサッシの場合に比べて20%から30%前後低いという結果となっており、この点においても優れている事がわかります。
さらに、木製であることによって得られるメリットの一つとして、気密性を向上させることができるという点を挙げることができます。気密性が高くなることによって内外における温度差があまり大きくならないようになり、窓に於いてデメリットの一つとなる結露が発生しにくいというメリットが得られます。

2.2エコかつ強いのが木材

木製建具を使用することによるメリットとして、次に紹介するのはエコであるという点についてです。昨今ではエコ住宅化というのが法律的にも推し進められるようになっており、この部分に注力していることは重要な要素の一つとなっています。木製建具を使用すると、使用による節約効果があるだけでなく、製造過程においても環境に対して悪影響を及ぼすようなものがあまり遣われていないというメリットがあります。

さらに、木はエコな素材であると同時に、強靭な素材でもあります。木材というと金属に比べると弱いような性質を持っているようなイメージを持っているかもしれませんが、実は強靭度を比較すると特別低いものではなく、むしろアルミなどに比べると高い数値を誇る素材となっています。ただし、曲がりやすい点や、湿気に弱く、腐ってしまう可能性があるという点についてはしっかりデメリットとして考えておく必要があります。

2.3木材保護塗料の種類と使い方

木製建具を使用するのであれば、特に外気に接している部分を長くもたせるために、木材保護塗料を使用することが必要となります。木材保護塗料については大きく2つの種類があり、1つは含浸タイプと呼ばれるもので、もう1つは造膜タイプと呼ばれるものです。それぞれがどのような性質を持っているものなのかについて説明します。

まず含浸タイプというのは、その文字通り木材に浸透させることによって効果を発揮する保護材となります。これに対して造膜タイプは、塗膜を作ることによって保護効果を発揮させる種類のものとなります。
木製建具をより長くもたせるためには適切にこのような木材保護塗料を使用するようにしましょう。

2.4木製建具を取付施工する際の注意点あれこれ

それでは、木製建具を取付施工する場合については、どのような注意点があるのでしょうか。重要なポイントとなっているのは、設置前の保管時に、適切な養生を行っておく事が必要となることです。木材は湿気などに弱く、環境による影響を受けやすい傾向があるため、こういった影響を受けにくい場所に保管しておき、速やかに設置作業に移る事ができるようにすることが必要です。

また、水平や垂直の確認の重要性も高くなります。重力による固定が重要な要素となっている関係上、歪みがあると問題が発生しやすい建具であるためです。そして最後に、プラスチック以上に水に弱い性質の素材であるため、枠周辺の防水や気密処理についてはできる限りしっかりと行っておかなければなりません。

2.5木製建具でも選べる各種ガラス

では、木製建具を使用するという場合、使用するガラスのシュルょには制限があるのでしょうか。これについては、それほど影響を受けること無く、多くの種類のガラスの中から選択して設置を検討刷ることが可能です。一般的なガラスの種類としてはフロートガラスという一枚ガラスがありますが、これは耐久性があまり高いものではないため、新しく設置するのであればより効果的なものを選択刷るのが良いでしょう。

例えば強化ガラスなどはその代表です。強化ガラスは特殊な熱加工によって強度が上がっているだけでなく、われてしまった場合についても細かい粒状になるため二次災害を起こしにくいというメリットが存在しています。

2.6木製建具の点検やメンテナンス

木製建具を新しく設置するのであれば、しっかりと考えておきたいのが定期的な点検とメンテナンスを行う事が重要であるという点です。点検を行うべきポイントはいくつかありますが、特に可動部分、木製部分、そして気密性については定期的に点検を行い、メンテナンスを行うべきです。
まず可動部分については、金属部が上手く動く状態になっているかどうかを確認します。ネジの閉め直しや注油によって対応することになりますが、植物油は相性が悪いため使用しないようにします。

気密性については点検の結果問題があった場合には、ガラスの交換などで対応を行うことになります。最後に、木製部については劣化が起こっていないかどうかの確認を行う必要があります。シリコン等を使用することによるコーキングの充填などを行うことで健康な状態を保つ必要があります。

まとめ

それでは最後に、木製建具におけるガラスの交換のポイントに付いて紹介します。木製建具を使用する場合のガラスの交換に取って、まず重要なポイントとなるのは、自分で交換するのには難しい性質を持っているということです。木製建具は重力によってガラスがはめ込まれて固定されるような仕組みとなっていることが多く、構造を正しく理解していないとうまく設置をし直すことができないケースが多いためです。
また、木製建具は新しく使用するのにもメリットが大きいものであるため、様々な部分を比較して検討してみるのが良いでしょう。

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