窓ガラスのメンテナンス方法と汚れの対策方法
家の窓ガラスは、手あかや雨風、ホコリなどさまざまな汚れが付着します。しつこい汚れにならないよう、いつもきれいにしておきたいものですが、高所にある窓やはめ込み式の窓の外側は掃除がしにくく、清掃作業には危険がともないます。
そこで今回は、さまざまな場所にある窓ガラスの掃除方法、正しい拭き方、結露の予防について詳しく紹介します。「拭きあと」や汚れの「ムラ」を残さないように、正しい掃除方法を知っておきましょう。
①窓ガラスのお手入れ準備と拭き方
窓ガラスの手入れには、必要な道具を揃えたうえで、掃除に適した衣類を身につけて行います。汚水で衣服が汚れないよう、準備を行ってから作業を開始するようにしましょう。
1.1掃除に必要な道具
掃除の前に、汚れても問題のない服装・マスクやメガネ・手袋(ゴム手袋もしくは軍手)を用意しましょう。服に汚れがつく可能性があるときはエプロンを着用しておきましょう。外での作業になると、足元が水で汚れる可能性があるため、長靴を履くようにしましょう。 窓ガラスについたホコリや水あか、こびりついた手あかなどは、身近にあるものできれいにすることができます。比較的簡単な汚れに対して用意しておきたいものにはハタキ・新聞紙・雑巾・キッチンペーパーなどが挙げられます。
窓を拭く際には、ハタキで軽い汚れを取り除いた後に「水拭き」と「乾拭き」の二種類の方法を組み合わせて行います(フィルムが貼ってある窓については水拭きのみ)。新聞紙や雑巾は、水拭き用と乾拭き用のものをそれぞれ用意しておきましょう。窓の数に合わせて枚数を用意しておくと安心です。
落ちにくい汚れに対して用意しておきたいものとしては、ガラスクリーナー・台所用洗剤(中性洗剤)・重曹などが挙げられます。どれも原液で使用せず、必ずバケツにぬるま湯か水を入れて薄めて使います。
霧吹きに水を入れて、その中に原液を入れて使うこともできますので、バケツか霧吹きも用意しておくと良いでしょう。
大きな窓の清掃で、上のほうに手が届かない場合にはT字ワイパー(スクイジー)を使います。ワイパーは汚れをこすり落とす作業のほかに、窓ガラスに残った水滴をかき落とす作業にも使えるため、掃除の仕上げにも活躍してくれるアイテムです。 窓ガラスを拭く際、しつこくこびりついた汚れを爪などでこすると、ガラスに傷がつくおそれがあります。その場合、メラミンスポンジなど水あかに強いスポンジを使うか、繊維汚れが残らないマイクロファイバータイプの布巾も使い勝手の良いアイテムです。
手の届かない場所には、高所にも適用できる長さのモップを使います。1階から2階の窓まで届く長さのものを用意しますが、それ以上の高さの窓についてはモップでは届かない可能性があるため、ベランダなどから作業ができないか検討します。
ただし1階から2階へモップを届かせる場合、モップが風にあおられる可能性があるため、重すぎず取り回しのきくものを選びましょう。また、モップではなくホースを使って窓に直接水をかけて汚れを落とすこともできますが、こちらもある程度の長さが必要となりますので、巻きの長いホースを用意してください。
1.2手の届く窓ガラスの拭き方
窓ガラスには水あかが多くこびりついています。水あかは意外に落ちにくいものなので、雨で自動的に流れるのを待つよりも、自分の手でできるところは掃除してしまいましょう。
窓ガラスの掃除には、手袋を装着して行います。素手で掃除すると手が汚れてしまい、その汚れた手で他の窓に触ってしまう可能性があるため、きれいなゴム手袋や軍手を装着するようにします。 まず、窓ガラスについたホコリなどの軽い汚れを、ハタキや柔らかい布で払い落とします。これだけでもきれいになりますが、水あかなどははたいた程度では落ちないため、新聞紙や雑巾を用意して拭き取りを行いましょう。 きれいに丸めた新聞紙か雑巾をぬるま湯で濡らし、窓の上から下までこするようにしてガラスを拭き取ります。汚れがひどい場合は、新聞紙をしっかりと濡らしてからこすると良いでしょう。
ただし新聞紙や雑巾を水に塗らしているため、拭きあとが残ると今度はその拭きあとが水あか汚れのようになってしまいます。そのため、水拭きをした後は再度きれいな新聞紙を使い、窓の上から下へ、右から左へと丸を描くようにして拭き取りましょう。
窓の汚れには簡単に落ちるものとそうでないものがあります。ホコリや空気中のチリなどは比較的簡単に落ちるので、週に一度の割合ではたき落とすようにすると、きれいな状態を保てます。さらに月に一度の間隔で、お湯を含ませて絞った雑巾や新聞紙で拭くようにすれば、汚れのこびりつきを防ぐことができます。
泥汚れや油汚れなど、拭いても落ちない頑固な汚れについては、ガラス用洗剤もしくは台所用洗剤を使います。原液をぬるま湯で薄めてから雑巾に含ませ、汚れにしみこませるようにして拭きましょう。その後に液体を水拭きで拭き取り、最後に乾いた布や新聞紙で乾拭きをして仕上げます。
表面に凸凹模様がついている窓ガラスは、模様の間に汚れがたまってしまうので歯ブラシや目の細かいブラシを使って軽くこすり落とします。いきなりブラシでゴシゴシこするとガラスに傷がついてしまうので、水や洗剤をつけた状態で軽くこすります。
T字ワイパーを使う場合は、窓ガラスに45度の角度で当て、力を抜きながら動かします。上から下もしくは左から右に滑らせるようにして水滴を落としますが、途中で乾いたタオルや新聞紙を使い、スクイジーに付着した水分を取り除きながら作業を行うようにしましょう。1.3手が届くが開かない窓ガラスの拭き方
出窓に取り付ける「はめ殺し窓」のように、手が届くけれど開かない窓ガラスについては、内側は内側で拭き掃除を行い、外側は外に出て汚れを取り除きます。内側の汚れはこまめに取り除くことができますが、外側は周辺の環境に合わせて、安全に作業できるタイミングで掃除を行ってください。
少し高い位置にある窓は、伸縮タイプのモップを使います。柄の下側を握り、外から窓の拭き掃除を行います。柄の先端にモップを付けた後、洗剤をとかした水をバケツに用意し、液をモップに含ませてから汚れを落としていきます。柄の先端が取り替えられる場合は、ゴムへらを用意して水滴をこすり落としましょう。 羽が重なっている「ルーパー窓」は、羽を水平にすれば、室内側から拭くことができます。ハンドルを使って羽を水平に傾け、羽の両面を布で拭きます。
②天窓の掃除方法
次に、もっとも掃除が難しい天窓の掃除方法について紹介します。窓が開閉できるものと、はめ込み式の「FIX窓」の二種類に大きく分けることができますが、基本的な掃除の仕方は両者ともに共通となります。
2.1専用のワイパーを使って下から拭き取る
天窓の清掃は高所での作業になるため、屋根をつたって窓を拭く方法がもっとも簡単な方法になりますが、屋根の形状によっては転落の危険がともないます。そのため、基本的には1階や中2階、階段の踊り場など足場が安定している場所での作業となります。 ただし3階以上の高所はワイパーなどが届かない可能性がありますので、安全に留意しながらベランダなどに出て掃除を行うようにしましょう。屋根に上る方法は危険なので、基本的には安全な環境を確保したうえで作業を行いましょう。
布やスポンジがついたワイパーに軽く水を含ませて、天窓にワイパーをしっかりと付けた状態で汚れを落としていきます。鳥のフンなど、落ちにくい汚れについてはガラスクリーナーを水で薄めたものを含ませ、こするようにして落とします。水拭きした後はワイパーの水気を取ってからもう一度乾拭きをして、ガラス面についた水滴を取り除きます。
③窓ガラス掃除の注意点
窓ガラスの掃除には、周辺環境への配慮とあわせて、掃除を行う人の安全も確保しなければなりません。室内にいても、高所の窓を掃除している最中は転落や転倒に注意し、身の回りに危険な道具などを置かないようにしましょう。
3.1安全に配慮して作業する
窓ガラスはさまざまな場所に使われていますが、特にマンションや高所で行う清掃には危険がともないます。窓を開けた状態で身を乗り出して行う作業はたいへん危険なので、専門の業者に依頼が必要な場合もあります。落下や転倒の危険が考えられる際には無理をせず、プロの清掃業者に依頼を行いましょう。
安全柵や足場がある場合はそちらを利用しますが、身一つで窓から乗り出すことのないように注意。命綱が必要になる場所では無理に作業を行わず、業者に相談してから判断をするようにしてください。
3.2フィルム付きのガラスは水拭きのみ
ガラス飛散防止用・防犯用・紫外線カット用のフィルムを貼った窓ガラスは、強くこすることでフィルムに傷が付いてしまうため、ブラシなどは使わないようにしましょう。研磨剤にも表面を削り取る作用があるため、水拭きのみにとどめます。
柔らかい布を使って一定方向に向かって水拭きを行い、乾拭きはせずにそのまま乾かしましょう。(乾拭きをするとフィルムが後からはがれやすくなります)フィルムを貼った窓は、汚れをそのままにして後からフィルムごと取り替えることもできますが、こまめにメンテナンスを行う場合は水拭きを定期的に行うだけでOK。表面に汚れが付いたままにしていると、フィルムの耐久性が下がってしまいますので、長持ちさせるためにも定期的な清掃をおすすめします。
3.3高圧洗浄機は極力使用しない
高圧洗浄機など、強い水圧で汚れを払い落とす機器については、窓ガラスに吹き付けると破損のおそれがあるため、作業には適していません。サッシ部分など、耐久性の高い部分には使うことができますが、それでも破損するリスクがあるため、窓ガラスには使わないほうが良いとされます。
3.4掃除場所の周辺にも配慮を
窓ガラスを外から掃除する際には、周辺にも配慮が必要となります。マンションのベランダなどは、防水になっているか事前に確認をしておきましょう。防水になっていない場合、水を大量に流すことで隣の家のベランダや下の階に水が流れ込んでしまいます。
④窓ガラスの汚れ対策
窓ガラスは常にきれいな状態に保っておきたいものですが、汚れないようにするためには普段から工夫が必要です。日常生活の中でできるさまざまな汚れの対策方法を知っておきましょう。
4.1タバコのヤニに注意する
タバコから出る「ヤニ」は、部屋中に広がり窓にも付着します。室内でタバコを吸う際には、周辺に煙が広がることも考え、ヤニが窓につかないよう、換気扇の下などで吸うか、ベランダに出て吸うなど工夫すると良いでしょう。
4.2外側の汚れには自動車用のコーティング剤を使う
窓の内側の汚れはコンディショナーや柔軟剤でも十分ですが、さまざまな汚れにさらされる窓の外側には、自動車用のガラスコーティング剤を使います。
まずガラスを水拭きし、乾拭きをしてから汚れのない状態にして、自動車用のガラスコーティング剤を塗ります。一度コーティング剤を塗っておけば、その後の掃除は水拭きと乾拭きのみでOK。ただしはっ水効果がなくなってきたときには、もう一度コーティング剤を塗るようにしてください。
4.3効率良く掃除するには湿度の高い日がおすすめ
乾燥する時期はガラスの汚れも落ちにくく、頑固になります。洗剤もすぐに乾いてしまうので、何度も水拭きをしなければなりません。窓ガラスの掃除には、梅雨の時期や雨がよく降る時期がおすすめ。雨の日や霧が出ている日に掃除をするのもおすすめです。
4.4コンディショナーや柔軟剤でガラスをコーティングする
髪の毛のツヤ出しに使われるコンディショナー(リンス)は、窓ガラスの汚れを弾き飛ばしてくれるアイテムとしても活用できます。すべての掃除を終えたきれいな窓ガラスに対して、布などに軽く柔軟剤かコンディショナーをしみこませ、ガラス全体をその布で拭きます。
柔軟剤の場合は乾いたT字ワイパーでガラス全体をなぞり、そのまま乾かします。コンディショナーの場合は新聞紙やタオルなどで乾拭きをして、余分な液を拭き取って完成となります。どちらもガラスの上からコーティングする役割があるため、汚れが弾かれてきれいな状態をキープできます。
⑤窓ガラスの結露防止方法
窓ガラスは雨や雪、室内外の寒暖差によって結露が発生しやすくなります。結露を防止するための方法について詳しく見ていきましょう。
5.1シートで窓を覆うる
壊れやすいものの梱包や包装に使われる包装シート(プチプチ)は、断熱性にすぐれているアイテムです。窓に直接この包装シートを貼ることで、部屋が暖かくなると同時に窓の冷えを防ぎ、窓が冷えすぎるのを防いで結露の発生を抑えます。
プチプチなどの包装シートは見た目の問題があるため、結露防止につくられた専用の結露防止シートを使う方法もあります。こちらは見た目に配慮されており、薄手でガラスに貼りやすいため、結露のひどい窓におすすめです。 室内外の気温差が激しくなる寒い季節には、シートで窓をしっかりと覆うことによって、結露を効果的に予防することができますよ。
5.2空気を循環させる
室内の暖かい空気が停滞してしまうと、外の寒い空気との差が生まれ、そこから結露が起きやすくなります。夏にエアコンを使って室内を冷やす際には、扇風機かサーキュレーターを窓のそばに置いて、空気がとどまらないように循環させると良いでしょう。
エアコンを使わない日には窓を開けて空気を入れ替え、新鮮な風が入るようにすると効果的です。ただし湿度のある日は窓を閉めて、除湿器を使いながら部屋の空気も循環させるようにしましょう。
まとめ
窓ガラスを美しい状態に保つためには、普段から室内をきれいにすることはもちろんですが、ヤニや結露など意外な汚れの原因にも注意しておきたいところ。室内と室外でそれぞれ汚れの種類も異なるため、まずはガラスの内側と外側でどんな汚れが付いているかを確認し、こまめに水拭きを行うのが理想的です。
汚れを放置していると落ちにくくなるだけでなく、汚れが何重にも重なって見た目も悪くなってしまいます。軽い汚れはハタキなどでさっと払い落とし、必要に応じてクリーナーやコーティング剤も活用しながら、窓ガラスをきれいな状態に保ちましょう。