ガラスのヒビは修理できる?ガラスのトラブル解決方法

住宅においても施設においても、ガラスが使われていないということはほぼないでしょう。窓として使用されている場合が多いですが、室内のドアや戸棚などのように、インテリアの一部としてガラスが使用されていることもあります。そんなガラスは透明度が高く効果的な建材ではありますが、同時に脆い性質を持っているのも事実です。そのため、ヒビが入ってしまったり、割れてしまったりというようなことが発生することは少なくありません。このように、ガラスに対してヒビが入ってしまったという場合には、どのような対処を取ることができるのでしょうか。この先では、ガラスのヒビに関する様々な情報を紹介します。

最初に紹介するのは、「そもそもなぜガラスにヒビが入るのか」ということについてです。ガラスにヒビが入ってしまう原因としては様々なことを考えることができ、できることならそもそも割れない状態で使用したいと考えることでしょう。ここではガラスが割れてしまう原因について紹介し、それに合わせて適切な対処法を取ることについて紹介しています。

次に紹介するのは、「ヒビが入ったガラスの応急処置」についてです。ガラスが割れてしまった場合、そのままにしておくべきではありません。美観が悪いというだけではなく、耐久性の面でも問題があります。

そして最後に「業者にガラス修理を依頼する場合」についても紹介します。ガラスの修理を依頼する場合、知っておくべきこととしてどのようなことがあるのかについてを紹介しています。これらの3つのポイントについて抑えておくことによって、ガラスのヒビ割れに関してはかなり対応がしやすくなるでしょう。

 

①ガラスにヒビが入る原因とは

それではまずは、そもそもガラスにヒビが入ってしまうのにはどのような原因があるのかについてを紹介します。ガラスにヒビが入ってしまう原因は一つではなく、様々なものを考える事ができ、それに合わせて適切な対処法というものが存在しています。この先で紹介するガラスのヒビ割れの原因は、「熱割れ」「飛来物の衝突」「経年劣化」の3つについてです。
これらはいずれもガラスのヒビや割れを引き起こすことになる原因ですが、どのような原因によって発生したのかによって発生することになるヒビ割れの状態にも違いがあります。すぐにでも交換が必要な状態になってしまうこともあれば、しばらくは応急処置で凌ぐ事ができる場合もあるでしょう。

1.1温度差による自然現象、熱割れ

ガラスにヒビが入ってしまう原因として、最初に紹介するのは熱割れについてです。この熱割れというのは、ガラスが膨張性を持っている素材であることによって発生します。具体的には、ガラスというのは熱を受けると膨張する性質があります。ただ、これが均一に発生しているのであれば、内部における圧力に違いが発生することがないため、熱割れを引き起こすことはありません。

熱割れが発生してしまうかどうかの大きなポイントとなっているのは、ガラス全体における温度差がどれだけ発生しているのかということです。つまり、一部だけが膨張している状態となっており、その他の部分が膨張していない状態になっている場合、圧力の差が大きくなり、そこから割れが発生することになるわけです。特にこの熱割れに於いて大きなポイントとなるのは、ガラスの中央部分と、サッシの内部に含まれている部分です。ガラスがサッシの中に含まれている部分については、基本的に直射日光を浴びることがありません。さらに、サッシはアルミでできている事が多く、放熱性があるためにその部分については温度が低い状態となります。このような状態になることで、中央部分が高熱に、サッシ含みの部分が低温にあることで差が広がり、割れてしまうことになります。

この熱割れに対してガラスがどれだけ耐久度を持っているのか、というのは、エッジ強度と呼ばれる数値によって示されています。エッジ強度が高いガラスであれば熱割れが発生する可能性は低くなります。強化ガラスなどはその性質が強いため、耐熱性が高めです。反面で網入りガラスはガラス内部にワイヤーが入っている関係から、どうしてもエッジ強度が低くなり、この熱割れが発生しやすくなってしまいます。
また、この熱割れは熱によるものであると考えると夏場に発生しやすいようなイメージがあるかもしれませんが、実際には冬にも多く発生しています。暖房が窓に直接当たることによって内側の一部だけが温まり、外気温との温度差によって熱割れを発生させる可能性があるためです。これを防止するためには、冷暖房が窓に対して直接当たらないようにすることや、カーテンや洗濯物などによって窓に対して温度差を発生させないようにすることが効果を発揮します。

1.2強風による飛来物の被害

日本は毎年のように強い台風が襲来する国です。もちろん地域にもよりますが、大きな被害を受けるということも多いでしょう。台風のような強風は物を吹き飛ばし、これがガラスに衝突することによってヒビが入る可能性があります。ヒビどころではなく、より強い衝撃となった場合については大きく割れてより大きな被害を引き起こす可能性さえあります。
このような飛来物に備えるためには、台風のリスクが高い地域においては雨戸やシャッターなどを設置しておくことが効果的です。直撃を避けることができるようになるだけでも、衝撃を抑えることができるようになるためです。このような被害に関しては、発生してからどのように対処するのかを考えるべきで、嵐が起こっている時に対処しようとしてガラスのそばにいるべきではありません。飛来物がガラスを突き破って入ってくるようなことがあった場合、命の危険があるためです。実際に窓際でガラスが割れたことによって亡くなったという事故は発生しているため、十分注意をするようにしましょう。

1.3経年劣化による耐久力の低下

最後に紹介するのは、経年劣化についてです。実はガラスというのは、時間経過によって劣化していくというものではありません。しかし問題となるのは、窓ガラスとして使用されている場合、ガラス以外の周辺のものが経年劣化を引き起こすことによって、それが間接的に窓ガラスのヒビ割れにつながる事があるということです。
特に気をつけたいのが、金属部分のサビによる影響です。サビ割れと呼ばれる現象があり、これはワイヤーが入っているタイプの網入りガラスの場合に特に発生しやすい傾向があります。金網が錆びてしまうと、金属が膨張してしまい、内側からガラスにヒビが入ることになります。

②ヒビが入ったガラスの応急処置について

それでは、原因を問わず、ガラスにヒビが入ってしまったという場合についてはどのような対処を取ることができるのでしょうか。まずは応急処置をしなければ隙間風が発生するなど、生活上の不便があります。ここから先では、ガラスにヒビが入ってしまった場合の応急処置の方法としてどのようなものがあるのかについて紹介します。

2.1やってはいけない対処方法

最初に紹介するのは、やってはいけない対処法についてです。ガラスにヒビが入ってしまったという場合でも、そのヒビがあまり大きなものでないのであれば、ガムテームやビニールテープなどを張って目張りをするだけで、そのまま使用し続けてしまうという人は少なくありません。しかし、この対処法は取らない方が良いものの代表例です。

まず、小さなヒビであれば大丈夫、という認識に実は間違いがあります。というのも、ガラスというのは基本的に一律に同じ圧力が発生していることによってその形状を保ち、強度を発揮しているという性質があります。そのため、ヒビが入ることによってこの圧力に歪みが発生し、一律な状態でなくなっているという場合、これはガラス全体の強度が大きく下がっていることと同意であるためです。つまり、小さなヒビであってもヒビが入っている状態のガラスというのは割れやすく、危険な状態になっているということです。ご存知の通り日本は地震や台風などの災害が起こりやすい国であり、このように耐久性が下がった状態のガラスを使用し続けることはそれらの災害時の住宅全体の耐久性を下げることにも繋がります。

あくまでも応急処置として行うのであれば、まずはガラスの補強を行うために、割れてしまっている場所にダンボールをあてがい、ガムテープなどで接着しておきます。この作業を行う時、強く力を加えるとそれによってヒビが拡大してしまう可能性があるため、極力優しく作業を行うようにします。また、万が一割れてしまった時に備えて、室内用のスリッパを履いて、かつ軍手を嵌めて作業を行うようにしましょう。怪我をしないようにすることが先決です。

2.2接着剤でのヒビ補修

ヒビ割れの補修方法の1つとして、専用の接着剤を使用するというものがあります。ホームセンターなどではガラス用の接着剤というものが販売されているため、こういった物を使用して補修を行うようにしましょう。一般的な接着剤ではなく、あくまでも専用の接着剤を使用することが重要です。この時、使用する接着剤については、乾いた時に透明になるものを選ぶようにしましょう。また、長く使用することによって変色してしまうことがないかどうかもチェックポイントの一つです。
このような接着剤が見つからないという場合については、グルーガンを使用して応急処置を行うのも1つの方法です。ただし、これは専用のものではないため適性は低く、あくまでも応急処置として考えるべきです。

2.3ガラスパテでヒビを埋める

ヒビ割れの補修方法として、次に紹介するのはガラス補修用のパテを使用するものです。ガラスパテという形で販売されているものではありますが、ガラス用の接着剤に比べると販売されていることは少なく手に入れにくいというデメリットがあります。業務用という形で販売されていることは多いものの、住宅で使用したいという場合についは、そのかわりに車のフロントガラス用の補修材を使用することでこの代用とすることができます。
ガラスパテをヒビが入っている部分に浸透させるように塗り、硬化させるという形で行うことになります。ただし、車のフロントガラス用のものを使用する場合、用途の違いによる影響があるため、あくまでも応急処置として考えるべきです。

2.4窓ガラス用の飛散防止フィルムを貼る

ヒビ割れの補修方法として、最後に紹介するのはガラスフィルムを使用する方法です。窓ガラスが割れた時に飛散を防止するための飛散防止フィルムというものがあるため、これを使用することによってヒビ割れを補修することができます。中には模様入りのものもあるため、ヒビがあることを目立ちにくくすることも可能です。全体的なカバーを行うための方法として使用することができるため、ヒビ割れによる耐久性の低下から発生する新しいヒビを防ぐことにも一定の効果を期待することができます。

③最終的には業者に修理を依頼するのがベスト

ここまで、ガラスにヒビが入ってしまった時の自分でできる対処法という形で情報を紹介してきました。しかし、やはり最終的には、ガラスの修理や交換を業者に依頼する方が安全で確実であることは確かです。上記の様な方法については応急処置であると考え、余裕を見て業者に依頼をするのがよりよい方法となるでしょう。
それでは、この先では業者に修理や交換を依頼する場合のポイントについて紹介します。

3.1強化ガラスやシャッターでブロックしよう

業者に対して依頼する場合のポイントとして、最初に紹介するのはガラスの交換を行う場合や、今後の割れを防止するための設備を設置する場合についてです。まずガラスを交換する場合、効果的なガラスの種類の一つとして強化ガラスというものがあります。強化ガラスというのは、熱加工を行っているガラスのことを言い、通常のガラスに比べて4倍近い耐久性を有しているのが特徴です。通常のガラスならば割れてしまっていたような場合でも、強化ガラスならば問題がない、ということも多くあります。

また、この強化ガラスが持つ特徴の一つとして、割れてしまった場合に砕けるというものがあります。この時の砕け方が破片として砕けるのではなく、細かい粒子として砕けるようになっているため、もし割れてしまった場合にも破片による怪我を負う可能性を大幅に減らすことができます。
また、強風によるガラスの破損に備えるためにはシャッターの設置を依頼するのも効果的です。このシャッターにもいろいろな種類のものがあり、電動式のものやリモコン式のものも登場しているため、これらを使用することによってより簡単に対応を行えるようになります。

3.2ガラス修理料金の相場

それでは、ガラスの修理を実際に業者に依頼するという場合、どれぐらいの費用がかかるものと考えるのが良いのでしょうか。ガラスの修理交換の費用には色々な種類のものがあり、これらを合算することになります。条件によって価格が変わることも多いため、基本的に見積もりを行った上で値段が決定するものということは覚えておくようにしましょう。
ガラス修理の費用については、交換先となるガラスの費用、工事にかかる費用、特殊な経費、そして交通費の合計によって算出されます。ガラスの費用については交換先となるガラスの種類によって違いますが、工事にかかる費用はそれほど大きな違いがありません。特殊な経費というのは、交換したいガラスの場所の関係から足場を組むような必要がある場合のもので、一般的な家庭において必要となるケースはあまりありません。
これらを合計して計算し、相見積もりを取るようにするのが良いでしょう。

3.3ガラス割れでも保険適用の場合も!

ガラスに割れが発生してしまったという場合、費用のことで憂鬱になるという方も多いのではないでしょうか。実はこういったガラスの割れについてもカバーすることができる保険というのも存在しています。多くの場合で火災保険の付帯事項となっているもので、ガラス割れが発生した場合にも保障の対象となっているものがあります。
これについては保険の内容によって保障されるかどうかに違いがあるため、火災保険に加入する場合、あるいは加入していてガラス割れが発生してしまった場合、対象とならないかどうか内容を確認するようにしてみると良いでしょう。

まとめ

それでは最後に、ガラスにヒビが入ってしまった場合のまとめについて紹介します。ガラスが割れてしまう原因については様々なものが考えられ、それに応じて適切な対処法をとっておく事が重要になります。
もしそれでもヒビが入ってしまった場合、自分である程度の応急処置をしつつ、業者に修理や交換を依頼するようにしましょう。そのままにしておくのは一番問題で、ガラス全体の耐久性が下がっていることによって地震等の災害の際に大きな被害を引き起こす可能性があります。

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