窓ガラスの災害対策
地震や津波、土砂崩れや豪雨など、日本は毎年のように様々な種類の災害に襲われています。このような災害はこちらの都合など気にせずに襲ってくるもので、止めてくれと言って止めてくれるものではありません。これらの災害によってもたらされる被害は様々ですが、多くの場合でまず被害にあうことになるのは、家の中にある「壊れやすいもの」です。そしてこういった壊れやすい物が壊れてしまうと、その他の部分にも影響を波及させてしまうことになり、室内における災害による影響の規模を拡大してしまうことにも繋がります。
ここでは、そんな災害によって影響を受けやすく、かつ影響を受けた時に問題を大きくしてしまうポイントとして「窓ガラス」について紹介します。この窓ガラスが確かに防御されているかどうかによって、室内の安全性には大きな違いが生じることになるでしょう。ここから先では「ガラスによって被害が発生することが考えられる災害」「手軽に対策するための方法」「安全性が高い窓への交換」という3つのポイントに絞って、窓ガラスと災害対策に関する情報を紹介します。
①ガラスによる被害が考えられる災害
最初に紹介するのは、窓ガラスに対して被害を与える可能性が高く、かつこの窓ガラスによって影響を拡大させてしまう可能性が高い災害の種類としてどのようなものがあるのか、ということについて紹介します。前項でも紹介した通り日本は災害大国であり、発生しうる災害の種類というのは極めて多岐に渡っています。それでは、どのような理由から窓ガラスに対して被害が発生してしまうことになるのでしょうか。
まず基本的に窓ガラスというのは、住宅で使用されている様々な素材の中でも、比較的強度が低いことが多い部分です。そのため、外壁に対しては問題がないような影響であっても、それが窓ガラスに対して発生した場合に破損を伴う大きな被害に及んでしまう可能性が高いと言えます。そしてもう一つ問題となるのは、もし破損してしまった場合に鋭利な凶器のようなものとなって飛散することになるため、人体を傷つける可能性が非常に高くなってしまうということです。外からの影響によってガラスが割れる場合には室内に対してガラス片が飛び散ることになり、素足では歩くことができなくなります。こういった状態になるとただでさえ災害で被害を受けいる中で、ケガをしてしまったことによって避難に悪影響を与えてしまうという可能性もあります。
災害自体を止めることができない以上、せめてこのような二次災害の発生だけでも抑える努力が必要となります。この先では「地震によるガラスの破損」「台風によるガラスの破損」「人災によるガラスの破損」という3つのポイントにフォーカスして紹介します。
1.1地震は容易にガラスを破壊する
最初に紹介するのは、地震によるガラスの破壊についてです。地震、特に大規模な地震であっても、日本は対策を取っている住宅が多くその基準も高いものとなっているため、住宅自体が倒壊してしまうケースはそれほど多くはありません。しかし、住宅自体は無事であっても窓ガラスが全部割れている、というようなことが発生することは多くあります。それでは、なぜこのような状態になるのでしょうか。ここでポイントとなるのは、基本的に住宅の耐震というのは、木造であることを活かした冗長性にあるためです。つまり、力が加わって歪んだとしても、倒壊に至らないように上手く建物自体を揺らすことによって負荷を避けるようにしている、という仕組みです。
この仕組は確かに住宅自体を保護する役割がありますが、住宅のひずみに対して窓ガラスの強度が追いつかなくなってしまうと、窓ガラスだけが割れてしまう、ということがあります。また、場合によっては窓枠からガラスが滑落することによって落下して破損する可能性も十分にありえます。
地震によるガラスの破損で特に危険であるのは、高所からガラスが割れて降ってくる可能性があるということです。これはいわばナイフのような刃物が高所から落ちてくると同じであり、当たり前のように致命傷に至るような被害をもたらす可能性があります。また、窓に割れたガラスが残っているような状態になっていることによって、本来であれば避難経路として利用することができるはずの窓が使用できなくなってしまう可能性があります。こういった理由から、地震の際の窓ガラスの防災対策というのは非常に重要な意味を持つことになります。
1.2飛来物が危険! 大規模台風に注意
日本において発生することが多い災害の一つとして、台風があります。ただ、この台風にもそれぞれ規模の違いがあり、それほど大きな規模の台風でなければ、風によって直接ガラスが割れてしまうというようなことはあまりありません。しかし、記憶に新しいものでは2018年に発生した大阪に対する台風の被害などがあるでしょう。こういった被害というのは、大規模な台風によって硬く質量があるものが飛来してガラスにぶつかることによって割ってしまうという被害をもたらすことになります。
吹き飛ぶものには様々なものがあり、例えば植木鉢やプランターのようなものが飛来してガラスを割る可能性もあれば、実際に屋根が飛んでガラスが割れて死者が出た、というようなこともありました。予想できないようなものが飛んできてガラスを割ってしまう可能性があるため、台風の際にはできるだけ窓際から離れて生活するようにすることが安全を確保するためには重要になります。
1.3人災対策・防犯も窓ガラスが大事
これは災害とは少々方向性の違いがありますが、もう一つガラスの対策として重要であるのが、人災対策です。つまり、防犯の対策のことを言います。ガラスはその他の部分に比べて脆弱であることが多く、空き巣による侵入経路としてよく使用されます。防犯対策を十分していない場合、窓からの侵入はそれほど難しいものではなく、簡単に侵入できてしまうことが多くあります。
このような空き巣への対策として重要なポイントとなるのは、一定以上の時間を稼ぐことです。空き巣は周囲からの目線などもあり、発見されるリスクを考えて長時間開けるためにその場に滞在したがらない傾向があります。一部の調査によると5分以上開けるのに掛かるような住宅には侵入を諦める、というような結果もあります。そのため、絶対に侵入できないというものでなくとも、少なくともこの時間だけ守る事ができれば防犯率を高めることができます。
②手軽に対策するにはガラス飛散防止フィルム
防犯対策である場合を除き、災害によって発生する窓ガラスによる被害というのは、ガラス片が飛散して凶器が散乱してしまっているような状態になることにあります。そのため、このような状態を防ぐ事ができるものを用意しておくと、安全な生活がしやすくなるでしょう。こういった場合に使用することができる方法の一つとして、ガラス飛散防止フィルムを使用するという方法があります。このガラス飛散防止フィルムには市販のものあり、自分でも設置を行うことができます。この先ではガラス飛散防止フィルムのメリットとデメリット、ガラス飛散防止フィルムの選び方、そしてガラス飛散防止フィルムの貼り付け方についてそれぞれポイントを抑えて紹介します。
2.1ガラス飛散防止フィルムのメリットとデメリット
それでは最初に、ガラスにガラス飛散防止フィルムを貼る事によって、どのようなメリットとデメリットを考えることができるのかについて紹介します。まず最初のメリットとしてあげられるのが、耐震性を考えた専用のガラスに変更をするのに加えて、リーズナブルな価格で対策を行うことができる点です。安く対策を取る事ができるのであれば、その方がよいという方は多いのではないでしょうか。
基本的にはガラスを飛び散らないようにするためのものですが、フィルムを張ることによってガラス自体が割れにくくなるために、防犯対策にもある程度の効果を発揮させることができるのもメリットの一つです。さらに、紫外線カット機能がついているものなども存在しており、これらを使用することによって副次的な効果を得ることも考えられます。
ただしデメリットとなるのは、あくまでも飛散を防止するためのものであって割れにくくするものではない、ということを錯誤しがちである点です。さらに、ガラスの種類によって、特に網入りガラスや熱線反射ガラス等の場合、熱割れによる被害が発生する可能性があるため、使用できないケースがあります。
2.2ガラス飛散防止フィルムをどう選ぶ?
それでは、実際にガラス飛散防止フィルムを使用する場合、どのようなものを選ぶのが良いのでしょうか。メーカーによっていろいろな種類が販売されていますが、この時ポイントとなるのは、ガラスの大きさに対する厚さです。一般的にガラス飛散防止フィルムの厚さは50ミクロン程度となっていますが、これでは防衛しきれない場合というのもあります。厚いものになると200ミクロン程度のものまで販売されているため、特に割れた時に被害が大きくなりやすい窓や、避難経路として使用する可能性が高い窓などに関しては厚めのものを使用することによって強度を高めるようにするのが良いでしょう。
2.3自分でできるガラス飛散防止フィルムの貼り方
それでは、実際にガラス飛散防止フィルムを貼る場合の方法について紹介します。最初に行うのは、窓の周りにしっかりと防水対策を行っておくということです。窓まわりが濡れないように保護をして置かなければ、フィルムによる効果を薄めてしまう可能性があります。作業を行う時には必ず貼り付けを行う場所の付近は物を片付けて綺麗しておき、ビニールシートを引くなどしておくようにしましょう。カーテンも取り外しておいたほうが作業の邪魔になりません。
次に、ガラスのサイズに合わせてガラス飛散防止フィルムのカットを行っていきます。先にガラスのサイズをメジャーなどを使って測っておき、この寸法に合わせてカットを行っていくようにしましょう。ぴったりにカットするのではなく、最初は多少余裕を持ったサイズとしておき、後で調節をするような形を取るのが良いでしょう。
次に、せっけん水を作って窓ガラスの清掃を行います。フィルムを貼る前に綺麗な状態にしておかないと、汚れをフィルムの中に封入してしまうことになるためです。その上でガラスに対してフィルムの固定を行い、はみ出している部分をカットすれば完成です。最後にもう一度空気抜きの作業を行い、綺麗な状態にすることでガラスフィルムは貼り終わりとなります。ただし、この作業はズレなどを引き起こす可能性も高く、自分で精密な作業をするのが難しいと感じた場合には、業者に依頼するのも一つの方法となります。
③安全性の高い種類の窓に取り替えよう
災害に備えて窓ガラスへの対策を行う時、ものによっては根本的な対策を行わなければならないような窓である可能性もあります。こういった場合に新しい窓に交換することによって防災を行うのも重要なポイントとなるでしょう。それでは、どのような窓を用意するのが災害対策として効果的なものとなるのでしょうか。危険な窓と安全な窓について、それぞれ種類を紹介します。
3.1はめ殺し窓は危険!窓枠のリフォーム
最初に紹介するのは、危険な窓の種類であるはめ殺し窓についてで。これは要するに開けることができないタイプの窓で、完全に固定されている窓であることがポイントとなっています。このはめ殺し窓の中でも、特に硬化パテが使用されている古いタイプのものとなると危険度が高いものとなります。というのも、このような窓というのは地震によってガラスを固定しているサッシ自体が揺れた場合、それに連動するようにしてガラス自体が破損してしまう可能性が高くなるためです。
この他にも、窓が大きく連結しているようなものや、サッシが古びているものなども危険であるため、交換を検討する理由となるでしょう。
3.2火災対策にも!網入りガラス
比較的安全性の高い窓ガラスとして、最初に紹介するのは網入りガラスについてです。これは名前の通りガラスの内部に金属製のワイヤーが通されているもので、これが格子状になっていることによって窓ガラスが割れた時に安全を保つことができます。また、火災対策の効果も持っているのが特徴的であるため、更に多くの災害に対して備えることができるものとなります。ただし、強化ガラスではありません。網入りガラスは膨張係数の関係から強化ガラスには使用することができないのがデメリットでもあります。
3.3断熱性も高い複層ガラス
次に紹介する安全性の高いガラスであるのは、複層ガラスです。この複層ガラスというのは名前通り複数の層に分かれているガラスとなります。通常二枚のガラスを重ね合わせるようにすることによって強度を高めており、全般的な防災性を向上させることに成功しています。住宅の窓ガラスとして使用されることも多い他、様々な施設のガラスとして使用されていることも多くあります。
また、ガラスが二枚重ねになっていることによって断熱性が高く、省エネにもう効果を期待することができます。
3.4割れたときにも安心、強化ガラス
最後に紹介するのは、強化ガラスについてです。強化ガラスは熱処理を行っている事によってその強度を高めていると同時に、割れた時に特殊な割れ方をするように加工が行われているのが特徴的です。通常の窓ガラスは割れた時に鋭利な刃物のようになることで危険を招きますが、強化ガラスは小さな粒のように割れるため、通常のガラスに比べて割れた時の安心性が高いのが特徴的です。防災対策としては効果の高いガラスと言えるでしょう。
まとめ
それでは最後に、災害と窓ガラスに関するまとめを紹介します。まず窓ガラスは災害の際に割れることによって二次災害を引き起こす可能性があるものであるため、しっかりと対策をしておくことがいざという時の被害を防ぐことに繋がります。日本は災害大国であるため、この点についてはどの地域にお住いの方でも、他人事ではありません。あまり予想されていなかった九州や北海道などでも震災が発生しており、次に発生する場所はほぼ予見できないのが実状であるためです。
ガラスへの防災対策には様々な方法がありますが、特に使用しやすいのガラス飛散防止フィルムを使用することです。個人でも設置を行うことができる上、防災としてはリーズナブルな部類に入ります。
また、危険なガラスが使用されているような場合については、根本的にガラスの取替を行うのも重要な対策として考えておく必要があるでしょう。それでは最後に、災害と窓ガラスに関するまとめを紹介します。まず窓ガラスは災害の際に割れることによって二次災害を引き起こす可能性があるものであるため、しっかりと対策をしておくことがいざという時の被害を防ぐことに繋がります。日本は災害大国であるため、この点についてはどの地域にお住いの方でも、他人事ではありません。あまり予想されていなかった九州や北海道などでも震災が発生しており、次に発生する場所はほぼ予見できないのが実状であるためです。
ガラスへの防災対策には様々な方法がありますが、特に使用しやすいのガラス飛散防止フィルムを使用することです。個人でも設置を行うことができる上、防災としてはリーズナブルな部類に入ります。
また、危険なガラスが使用されているような場合については、根本的にガラスの取替を行うのも重要な対策として考えておく必要があるでしょう。