ガラスの修理・交換は自分でできるのか
ガラスが割れてしまったり、ヒビが入ってしまったという場合、そのままにしておく事はできません。特に窓ガラスである場合については、防犯性の低下を招くだけではなく、室内の防寒性が低下してしまうなど、快適な生活から遠ざかってしまうことになるためです。そのため、こういった問題は出来るだけ早くに対応を行いたいものですが、どのような対応を考えることができるのでしょうか。昨今はDIYという言葉がよく知られる様になっていることから、自分で対応してみたいと考える人も多いことでしょう。ここでは、ガラスの修理や交換を自分で行う事ができるのか?という点に焦点を絞って紹介を行います。まずは「自分で修理・交換を行うことによるメリット・デメリット」、次に「DIYでもできるガラスの修理・交換」について紹介します。
DIYができるかどうかを考える際の参考としていただければ幸いです。
①自分で修理・交換することのメリット・デメリット
それではまず、窓ガラスを自分で修理・交換する場合のメリット・デメリットとしてどのようなものがあるのかについて考えてみることとしましょう。まず大前提として、窓ガラスの交換は自分でできないもの、というわけではありません。これは一応可能ではあります。また、修理についても小さい傷や割れであれば、ある程度対応することは可能です。
ただし、やはり業者に依頼する場合に比べると難しい点が多いことは事実です。自分が技術を持っていない以上、その部分をカバーすることができるかどうか、という点が焦点となるでしょう。また、交換を行うことができるかどうかに合わせて重要視したいのが、交換後のことです。長く使用していくことになるものであることを考えて、デメリットが発生しないのか、ということをしっかり長い目で見て確認することが重要になるでしょう。
1.1工事費用カット! コストを大きく抑えられる
それでは、ガラス交換を自分で行う場合のメリットとなることについて紹介します。最初に紹介するのは、やはりその費用を節約することができるという点です。通常、業者にガラスの交換を依頼する場合、まずはガラス自体の費用が必要となります。そしてそれに加えて工賃が必要となり、これらを合計した費用を支払う必要があります。
これに対して、ガラスの交換を自分自身で行うのであれば、この内工賃となる部分については節約を図ることができます。ガラスの費用だけは必要となりますが、これは大きな節約効果を持っていると言えるでしょう。
参考として、一般的なガラスの交換に掛かる費用がどのようなものであるのかを紹介します。まず、透明なフロートガラスの場合についてです。フロートガラスというのは、一枚ガラスとも呼ばれる薄いもので、最も一般的なガラスの種類です。簡素な種類のガラスということもあり業者にも在庫があることが多く、対応を即座に行ってもらえる可能性が高いというメリットがあります。簡素であることもあり交換作業も比較的簡単であるため、工賃は6千円から1万5千円前後と、それほど高いものではありません。
これが防犯ガラスとなると、複雑な構造になり、防犯性をサッシも合わせて考える必要があるためか、工賃の平均は2万から5万円へと高くなります。また、真空ガラスになるとさらに高額で、最大で7万円前後の交換費用が発生してしまう可能性があります。こういった価格を節約することができる、ということを考えると自分で作業をすることによるメリットは十分考えられるでしょう。ただし、その分問題が発生した場合に保証をしてくれるということはありません。もちろん、その問題の発生率についても、プロに頼む場合に比べると高くなってしまうことを考えると、コストとリスクを天秤にかける必要があるでしょう。
1.2窓ガラスのひび割れは放置厳禁
完全にガラスが割れてしまっている場合であればともかく、ヒビが入っている程度であれば、それほど気にする必要がないのではないか?というように感じる方も中にはいらっしゃるかもしれません。ただ、少しでもヒビが入っているガラスというのは、そのまま放置しておくべきではなく、すぐにでも交換や修理を考えるべきです。その理由となっているのが、ガラスは割れ目や穴がないことを前提として圧力がかかっており、強度が保たれているためです。つまり、ヒビや穴などが発生することによってこの圧力の均衡が崩れてしまうと、全体の圧力がおかしくなりガラス全体の強度が低下することになります。
そのため、完全な状態ではなんともなかったような衝撃で割れてしまったり、より酷い破損状態になってしまう可能性があります。そのため、小さな割れ目であっても無理することなく対応を考える必要があるでしょう。まず重要なのは、ブルーシートやダンボール等を使用して、その部分を塞ぐようにすることです。これは窓の内側から行うようにしましょう。もしさらに割れが発生してしまった場合に、内部に飛散してしまうのを避けるための方法です。
このように応急処置をした上で、交換を行うかどうかを考えるのが良いでしょう。
1.3素人には修理も難しい?
それでは、窓ガラスの修理を自分で行うことができるのか、という点についてさらに詳しく紹介します。窓ガラスの交換についてはある程度自分でも行うことができる可能性がありますが、正直なところ窓ガラスの修理というのは素人が行うのにはかなり難しい作業となります。ただ、完璧とは言えない物のある程度の補修を行う方法はあります。このような方法を取った場合、その後専門業者に依頼して修理をしてもらうことはできなくなり、全体の交換での対応となるという点には注意が必要です。
まずは、自動車ガラス用の補修材を使用する修理方法があります。カー用品店などで販売されているもので、ヒビとなっている部分に補修材を流し込んでパテとして埋めるという方法となります。ただ、なれていない人が行うとヒビに入り込む前に固まってしまうことが多く、なかなか成功しません。
もう一つ、瞬間接着剤を使用する方法もあります。こちらについてもやはり上記と同じような方法で失敗してしまうことが多く見られます。これらのようにものを流し込んでしまった場合他の方法での修理ができなくなってしまう点には注意しなければなりません。
②DIYでもガラス修理・交換はできる
さて、それではここからは、実際にDIYによって窓ガラスの修理や交換を行うことができるのか、ということについて紹介します。これは結論からいって、可能ではあります。ただし、簡単ではありません。しっかりと手順を理解し、適切な方法で対応していくことが求められることになるため、棚を作るようなDIYに比べると難度が高い点には注意しなければなりません。
結果的にコストが高くなってしまう可能性もある、ということは事前に理解した上で、この先の方法を試してみるのも良いでしょう。
2.1作業手順と必要な道具
まず最初に、ガラス修理を行う場合の具体的な作業の流れと、必要となる道具にどのようなものがあるのかを紹介します。作業の具体的内容についてはこの先の項目でさらに詳しく紹介しているため、ここではあくまでもその概要となります。
最初に行わなければならないのは、ガラスの寸法を図ることです。どのようなガラスが使用されているのかを確認し、それに応じて対応を行う必要があるため、しっかりと情報を得ておくことが重要になります。
次に、新しいガラスの注文を行います。DIYで行う場合、実はここが一番難しく、面倒になるポイントかもしれません。しっかりとガラスに付いて把握していなければならない、というのが難しい点となります。
次に、サッシを分解して現在の壊れている窓ガラスの取り外しを行います。十分注意して作業をしなければ割ってしまうことになるため、できれば屋外で行うようにしましょう。ここまできたらあとは新しいガラスを組み込むだけですが、そのためにサイズ合わせるガラスカッティングを行う必要があったり、適切な方法での取り付けに注意する必要があったりと、ここも難しいポイントの一つとなります。
次に、ガラス交換のために用意しておきたい道具についても紹介します。まず必要なのはプラスドライバーです。ガラスの取り外しやサッシの取付を行う際に使用することになります。さらに、サッシを載せておくための台も必要となります。最後に、滑り止めのある軍手を用意しておくのが良いでしょう。ガラスは滑りやすいため、作業中の事故を防ぐためです。また、ドライバーとしては電動ドライバーがあるとさらに作業は楽になります。
2.2窓ガラス寸法の図り方
では、具体的な手順についても細かく紹介します。まずはガラスの寸法を測る必要があるのですが、どこをどう測るべきなのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。まず、サッシから取り外さずに寸法を測る場合、メジャーをアルミ部分に当てて測ります。ゴム部分ではなくアルミ部分で測るという点に注意してください。もう片方側についても同じように計測を行います。
その後に、サッシの飲み込み部分の寸法を測り、この2つを合計した数字がガラスの寸法となります。サッシの飲み込み幅はたいてい12ミリ前後であるため、実測に12ミリほどを加えるとおおよそその寸法になると考えると良いでしょう。
さらに、サッシの溝幅についても測っておく必要があります。この溝幅については、フロートガラス用のものだと9ミリの場合が多いでしょう。そのため、厚みが変わるガラスへの交換はサッシごと交換を考える必要があります。
2.3新しいガラスを注文しよう
次に、新しいガラスの注文を行うことになります。最近ではネット上からでも注文を行うことができる様になっているガラス店も多いため、こういった物を使用するのも一つの方法です。店頭販売を行っているガラス店で注文を行う方法もありますが、その場合には交換作業自体は自分で行う、ということを伝えるようにしましょう。
2.4窓、サッシの取り外しには気をつけて
実際に道具や交換先となるガラスを用意することができたら、あとは交換作業を行っていくことになります。まずはサッシから窓ガラスを取り外す作業を行っていくことになりますが、十分な注意をして作業をしなければなりません。窓ガラスは案外重量があるものであるため、取り外した瞬間にとり落として割ってしまう、というようなことが多く発生するためです。
また、ネジを抜いて取り外しを行っていくことになりますが、このパーツはあとで元に戻す際に使用することになるため、絶対に紛失しないように保管しておかなければなりません。また、どこにどのパーツが使用されていたのか、ということも分かるように整理をして保管しておくようにしましょう。
2.5自分でできるガラスカット
ガラスを注文したものの、実際に使用しているガラスと寸法が違っている場合や、そもそもその寸法のものがなかった、という場合については一段大きいガラスをカッティングすることによって寸法を合わせて使用する必要があります。ペアガラス等の場合については自分で作業を行うことはできませんが、フロートガラスであればガラスカットを行うことは可能です。ただし、ガラスカッターという特殊な工具を必要とするため、それは事前に用意しておかなければなりません。
また、しっかりと固定を行うことができ、水平を保つことができる台も用意しておく必要があるでしょう。そのため、実際にはガラスカットまで自分で行う、というのはかなり難しい部類の作業となります。ガラスカットを行う場合の重要なポイントは「一回で作業を完了させる必要がある」ということと「一定の速度と力で作業しなければならない」という点です。ガラスカッターを直線固定した大型定規などに沿わせて切っていくことになりますが、失敗するとガラス全体がだめになってしまうことにもなるため、寸法が合わない場合についてはDIYではない方法で交換を行ったほうが、たいていの場合デメリットが大きくなります。
2.6新しいガラスの準備をしよう
それでは最後に、取り付けを行う前に、新しく注文したガラスの前準備についても紹介します。このガラスについては、まず一度洗うようにしましょう。購入段階でもある程度の汚れがついている事が多くあり、交換時に傷を付ける原因となってしまう可能性もあるため、軽く水洗いをしてから作業に臨みます。
窓ガラスの交換作業は、はめ込んでしまえばあとはサッシを戻すだけですが、この作業についても簡単なものだと思わず、細心の注意を払うようにしましょう。ここで落としてしまうと、サッシもガラスもどちらも壊してしまうことになり、結果的により高い業者への交換コストを払うことになるためです。
まとめ
では、窓ガラスの自力修理と交換についてのまとめを紹介します。まず前提として、ガラスの交換は自分で行うより、業者に頼んだほうが簡単に行うことができます。それでも自分で行う事によるメリットは費用を節約することができるという点ですが、失敗してしまった場合のリスクと、業者に頼むコストをしっかりと把握して、天秤にかけて決定するようにしましょう。
その上でDIYを行うのであれば、細かい手順についてしっかりと把握し、できるだけ失敗しないように注意を払う必要があります。割れ物であるがために失敗すると取り返しがつかなくなりやすいという点が、DIYの難しさですが、細心の注意を払うのであれば不可能というわけではありません。