扉のガラスは修理?それとも交換?

一般家庭で普通に起きることはある程度何でも対応できるって言う人であっても、扉のガラスが割れてしまったときというのはそう簡単には解決しにくいものです。
なんといっても、通常は割れたりした場合に備えて予備のガラスを置いている家庭なんて考えられませんよね。また、ガラスというと触ると危険という感覚があることも要因です。確かに割れたガラスというものは例えコップひとつであっても細心に注意を払って片づけるものです。そういったことから考えていくと、扉のガラスが割れるということは一大事です。
扉のガラスは玄関だけでなく、ベランダや窓まで思っている以上にたくさんの場所に使われているものです。特に手の届く高さまでの範囲であれば荷物をぶつけたり、何かが倒れてきたりして割れることも多いのです。
ガラスが割れたままにしておくことは、かなり危険です。うっかりと触れてしまって大けがをすることも考えられます。また、防犯上も好ましくないことは十分に想像できるでしょう。完全に割れていなくても、ヒビが入ったままでもリスクはかなり高くなっています。扉のガラスというという普段から当たり前のあるものに何かが起きたとき、どのように対処する方法があるのか。それをお話して参りたいと思います。

素人作業でもできるものなのか

今やホームセンターなどに行くと、大抵のものは揃ってしまいます。今回の話とは違ってきますが、例えば電気工事士の資格を持っていないと作業してはいれないものまで一般に販売されています。これは購入者が有資格者であることは全く求めていないからです。つまり、ちゃんとお金さえ払えば購入することは誰にでもできるということです。
このように専門業者が使っている道具や用品が揃っているのをみると、少し器用な方であれば自分で交換できるように感じると思います。一部の木枠を使っているものであれば交換できなくは有りませんが、それ以外の場合は専門の業者に委託する方が良いでしょう。では、木枠の場合はどのようにして交換するのでしょうか。決して無理をしてはいけませんが、どうしてもご自分でやってみたいという方であればやれないことはありません。

木枠の場合の交換

先程の話に出てきた木枠の場合ですが、これもなるべく専門業者に委託することをお勧めしたいところですが、唯一素人でもなんとかやれる範囲にあるのですから一応御紹介しておくことと致しましょう。
木枠は建築されてからかなり年数がたっていることが多いことがあります。例外としては、和風建築に拘った場合などに使用されています。もともと、昭和の頃の建築方式ししてはこれがもっとも多く採用されていました。ガラスを使った扉の定番的な使い方であり、食卓や仏間などの仕切りが必要とされる空間に使われていました。ガラスが普及する前には、障子でありガラスの代わりに障子紙が貼られていました。明かりを感じることが出来たためにずっと使われていたものですが、ガラスは一般化に伴って移り変わってきたものです。

この話からも想像できるように、木枠そのものはとても簡易的な造り方となっているので丁寧に取り組めば素人でも交換することは出来なくはありません。基本的には、木製の大きい枠の中を小さい枠がクロスするようになっていて、ここにガラスを挟んで固定しています。木枠はアルミサッシのように一体構造ではなく個別に木ネジで止められているのでこれを外せば簡単に外すことが出来ます。ドライバー1本でも外せるし、ガラスも交換用としてホームセンターなどでほぼ統一の規格に沿っているものが売られているのでそれを使い、ガラスカッターを一緒に購入して微調整すれば良いのです。

・交換の手順

構造そのものが単純ですから、作業指示書を行う手順も至ってわかり易いでしょう。

①先ず、扉本体を外す
②ガラスを挟み込んでいる中の木枠を外す
③用意しておいた交換のガラスを同じ大きさに合わせてガラスカッターで切る。
④交換する部分に先ほどカットしたガラスをはめ込む
⑤外したのと逆の手順で木枠を組み立てる
⑥扉をもとのように取り付ける
これで完成です。ドライバーセット・ガラスカッターさえあれば作業そのものは可能です。他に、サイズを確認する為のメジャーや作業中に怪我をしない為の手袋などを用意しておくとやりやすいでしょう。扉を外すとキズが付いたりするので、地面に置くときにはブルーシートを敷くなどするとよいでしよう。もちろん、古新聞紙などでも十分に代用できます。

・難点もある

作業そのものを見た場合、さほど難易度は高くないと思った方も多いと思います。ちょっとしたDIYの経験者なら簡単に出来そうだと思ったのではないでしょうか。しかし、作業そのもの以外にも数多くの気を付けなければならないポイントも有ります。それらが一番の難点となるのではないでしょうか。では、その難点についてお話しておきたいと思います。
何と言っても一番大変な作業となるのは、同じガラスを探し出すことがとても大変だということです。ホームセンターなどでも手に入るガラスですが、今使っているものとまつたく同じものをさがすというのはとても大変な作業になります。一言でガラスといいますが、大まかに分けただけでもどのくらいの種類があると思われるでしょうか。
①フロートガラス
②すりガラス
③網入ガラス
④板型ガラス
⑤ミラーガラス
この中で最も多く使われているものは、①のフロートガラスです。どこでも見かける普通の透明なガラスですから、厚みさえ同じであれば問題は無いように思えるのですが、そうとも言い切れません。ガラスは透明なように見えていて微妙に加減の差があるのです。光の当たり具合などにより微妙な色合いの差があったり、室内から見える明るさが違ったりします。その扉や隣接する扉との調和が崩れるとどうしても違和感を感じるものです。更に、すりガラスや板型ガラスなどは、製造したメーカーやその製造ロットなどにより差が歴然とわかります。これは、視界をさえぎるためにわざと表面をざらざらにする加工をしたり透明度を変えているから起こることです。一枚だけ違和感たっぶりのガラスを見て、芸術的とか風流とか思う方はそうそういませんよね。このように現在使っているガラスと全く同じものを探すというのは素人では最高の難点となります。
ホームセンターなどで売っているときには同じように見えても、いざ設置すると全く違う感覚に気が付きます。これは、ガラスの製造メーカーなどは刻印とかカラーナンバーというような情報を商品本体には記録していないのでわかりようがありません。長年の経験が見てこそ、同じガラスを見つけ出すことが出来るのです。

やはり、専門業者が一番

せっかく頑張って交換してみたものの、違和感たっぷりでどうしても嫌気がさしてくるのであれば最初から専門業者に委託しようかと考えるでしょうか。最初に自分でDIYしようとした理由とはいったい何だったのでしょうか。そういった作業が好きだという方も稀におられるでしょうが、圧倒的に多いのは費用の問題ですよね。それでは、専門業者に委託した場合はいったいどれくらいの費用が掛かるのでしょうか。

・費用の明細

専門業者に委託する場合でも、だいたい総額でいくらというような見積をする業者が多いでしょう。では、総額というものにはどのような項目が含まれていると思われますか。
ガラスの交換業者には次の5つの項目が経費として掛かっています。
①交換するガラスの費用
②ガラス交換のときの作業費用
③取付現場までの出張費用
④取り外したガラスの廃棄費用
⑤その他の雑経費です。
この5項目のなかで、②~⑤は大きな変動の要素はありません。一番大きいのは、①のガラスの費用です。
ガラスの費用は、ガラスの品質や厚さ、そして大きさで決まってきます。一例としてですが、前出の5つのタイプのガラスで50センチ程度の四角形、厚みを一般的な4.5mmのものの交換価格を調べてみました。

①フロートガラス 13,000円程度
②すりガラス 25,000円程度
③網入ガラス 25,000円程度
④板型ガラス 15,000円程度
⑤ミラーガラス 30,000円程度
あくまでも平均ですのでその地域や季節によって変わってくるとは思いますが、ある程度の目安にはなったのではないでしょうか。

発想そのものを転換・高性能ガラス

ガラスの交換ということが、思った以上にお金のかかるものだと感じられた方も多かったのではないでしょうか。割れてしまったものは修理しないといけませんよね。でも、ここで発想の転換をしてみて欲しいのです。
せっかくガラスの交換をするのであれば、高性能のものに変えるということはいかかでしょうか。また、割れにくいガラスに変えることで将来への不安を軽くしておくということはいかがでしょうか。修理や交換という一部的に見方ではなく改築するという考え方もあることに気が付いて頂きたいのです。改築っていうと凄く大げさなことのように感じるかも知れませんが、それはガラスの交換をするだけということをもう一度思い出してみてください。その改築の効果を最大限に発揮してくれるものが高性能ガラスと呼ばれるものです。高性能ガラスとは、ガラスに特別な加工をすることで更に便利にそして使いやすいように進化させたガラスなのです。

・高性能ガラスの種類

高性能ガラスは、概ね4種類に分かれます。
①強化ガラス 通常のフロートガラスと構造的には同じようなものですが、名前の通り頑丈に造られています。製造の途中で、高熱の膨張と冷却の収縮の過程を行い、衝撃に強くなっています。家庭用だけでなく、自動車の窓ガラスとしても使用されています。もし、衝撃が加わってもある程度までは跳ね返すし、割れる場合にも破片が飛び散ったりしない為にけがをしないで済むという特徴があります。
②合わせガラス 2枚のガラスを合わせてあるのですが、その間に特殊な樹脂を挟み込んでいます。衝撃の吸収力に優れており、ハンマーなどで叩いても表面だけが割れそこから先は貫通しないようになっています。防犯効果という点から見るとこれほど心強いガラスはありません。無論、自然災害に対してもその効果を発揮してくれます。
③複層ガラス ガラスとガラスの間に空気を挟み込むようになっています。この空気の層があることで、結露を防いだり冷暖房の効率を上げたりする効果があります。エコ対応の住宅などでも積極的に採用されています。
④遮熱ガラス 先ほどの複層ガラスと非常によく似ていますが、表面に紫外線をブロックする加工が施されています。これにより、日光はちゃんと取り入れられているのに室内の温度は上がりにくいという特徴があります。真夏の効果は何をさておいても最高です。
このように様々な特徴をもっているので、その特性に合わせた使い方をするのも良いでしょう。玄関は防犯の為に、合わせガラスを使い、居間は快適さを求めて複層ガラス。庭先やベランダには、遮熱ガラスを使って子供部屋には強化ガラスなどTPOに応じたガラスを使い分けると生活そのものにも活気が出てくるのではないでしょうか。

・高性能ガラスの費用

良いことづくめの高性能ガラスですが、費用という点は考えなければならないでしょう。どこにどのようなガラスを使うのかによって総額は大きく変わってします。概算では高性能ガラスの場合、ガラス扉1枚で50,000円強というところが相場でしょう。高いとお感じになられた方が沢山いるであろうことは十分に想像が付きます。
しかし、もう一度考えてみてください。ガラス一枚の交換でもそれなりの費用がかかってきます。総括的に考えて将来のリスクを減らして、現在のメリットを最大限に増やせることを含んだ簡易改築と思ったらいかがでしょうか。少し、考え方も変わってきたのではないでしょうか。
通常のガラスのままでも生活には問題はありません、しかし1ランクアップすることでこれまでには無かった安心感や気持ちよさを得られるのであれはこの機会に考えてみてもよろしいのではないでしょうか。

まとめ

ガラスには、割れてしまうということやそれによって怪我をしてしまうなどの危険というイメージが付いて回るためなかなか自分で取り換えるということはしないものです。ですが、条件が整っている木枠であればなんとか出来るものですし、専門の業者に委託すれば安全に最適なものへと交換してくれることもお分かり頂けたでしょう。
また、割れた部分だけの修理・交換から一歩先へ進んで簡易改築という考え方や高性能ガラスというものもここで知って頂けたと思います。
なんといっても、自宅は安心して家族が気持ちよく暮らしていけることが一番です。今回、ご紹介した内容から、貴方にもっとも相応しい方法を選んでいただけたらと思います。

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