コンセントを増設したい!自分でできるの?

ライフスタイルの変化とともに、普段使うコンセントの数や場所を変えたいなと思うことが出てきます。
家を新しく建てるときやリフォームするときは、コンセント増設の絶好のチャンスです。

ですが電気工事や配線修理の業者に頼んだ場合、それなりに料金がかかることを考えると少しもったいない気もしてきますね。
近年人気のDIYで自分で増設することはできるなら、初めてでもチャレンジしてみたいものです。
コンセントの増設はDIYでできるのか、増設するにはどんな工事になるのか詳しく紹介します。

はじめに

コンセントとは、電気を家電に流すための受け口で、家庭内やオフィスでパソコンの電源を取ったり、家電製品や各種機械を動かすために使用します。
壁や床に固定してあるものが一般的で、差し込みプラグを差して使います。
持ち家、マンション、賃貸住宅にも必要不可欠なものとして設置されています。

既存のコンセントは、必ずしもベストの場所にあるとは限らず、延長コードを使ってベストな場所まで伸ばすことも多いです。
あまりにも不便を感じるときは、コンセントの増設や移動を検討しますが、この作業は自分でできるのでしょうか。
コンセントの増設に関して必要な情報を見ていきましょう。

①コンセント増設には電気工事士の資格が必要!

コンセントは電流を屋内に流す受け口で、よく「濡れた手で触らないでください」などの注意書きがされているのを目にします。
コンセントには最低でも100Vの電流が流れているので、濡れた手で触った場合感電する恐れがあるからです。
コンセントを含む電気の扱いには専門知識が必要で、コンセントを増設するには電気工事士の資格を持つものが従事することと法で定められています。
どんなにDIYが得意でも、無資格での増設は法律違反とみなされてしまいます。

電気工事士は、ビル・工場・店舗・一般住宅などの電気設備の安全を守るための資格です。
自家用の電気工作物や、一般の電気工作物の工事に関する専門知識と技能を習得しており、電気工事士法で定められた範囲の工事に従事します。

電気工事士は扱い可能な電気工作物によって、2つの種類に分かれています。
第1種は2種の範囲と、最大500キロワット未満のビル・工場の工事に従事でき、第2種は一般住宅・店舗など600ボルト以下での工事に従事できます。

DIYが得意な方ならコンセント増設も自分でできそうですが、法律違反になることや、感電や火災を起こす危険があるので必ず有資格者に工事を依頼してください。

②すっきりした見た目が魅力!壁の中に配線するコンセント増設法とは?

コンセントの配線は壁の中を通す方法と、壁の外に通す方法があります。
一般的な住宅は壁の中を通す方法が主流で、部屋の中にいて配線が見えないためとてもスッキリして見えます。
壁の外を通す方法は、配線が壁を添うように見えるので、部屋の印象も変わってしまうことがあります。
今回は見た目もすっきりな壁の中を通す配線工事について紹介します。

・既存コンセントから分岐させるための穴開け作業

すでに設置してあるコンセントが増設したい場所から比較的近いなら、既存のコンセントから分岐させて電流を確保することができます。
増設したい場所を決めるときは、壁の中の柱の状態や筋交いの位置を確認する必要があります。
事前に打診して確認するか、見取り図などを見て判断することが多いです。

壁に穴をあけても問題ない場所を決めたら、穴をあける位置を鉛筆などで下書きします。
このとき水平器を使って下書きしてくれる電気工事士は、優良かつ誠実な電気工事士だと思って良いでしょう。
穴を開けるときはカッターナイフやドリルを使用することがあるので、壁の材質がわかると作業がスムーズに進みます。

穴の大きさはコンセントの種類により多少異なりますが、コンセント完了時にカバーから穴がはみ出さないことが理想的です。
作業中は木くずなどで汚れるので、穴あけ作業の前に養生することがおすすめです。
もちろん、電気工事士の方で養生してくれるならならなお良いでしょう。
穴がきれいに開いたら次のステップに進みます。

・専用のVVFケーブルを双方のコンセントに配線する

分岐するコンセントと新しく増設するコンセントの両方の穴があいた状態で、各穴まで少し余裕を持たせた長さでVVFケーブルを壁の中に引きます。
各穴からVVFケーブルの先が5センチほど見えるくらいだと、今後の作業もしやすくベストです。
このケーブルの長さが何メートルにもなるときは、ケーブルの長さの分だけ工事費用が上乗せされることがあります。
上乗せされるといっても、VVFケーブルは1メートルあたり100円前後なので大金にはなりませんが、業者によっては金額が少し高くなることもあります。

VVFケーブルを配線したら、それぞれのコンセントに繋いでいきます。
VVFケーブルの先の被覆を1センチ程度割き、コンセントの裏の穴にしっかり奥まで差し込む簡単な作業です。
グイっと差し込む必要があり少し力が必要です。
白と黒の電線の場所は決まっていて、「W」と書いてある方が白なので間違えないように差し込みます。

コンセントの裏側には合計で4つのケーブル差し込み口があり、一般住宅ではこのタイプが良く使われています。
1本のVVFケーブルを通す場合は2つの穴しか使いませんが、上下どちらの穴を使っても問題ありません。
1本のケーブルのみ使用した場合、残ってしまった2つの穴は、次の機会に使えるのでそのまま温存しておきます。

・配線を埋め込んでコンセントを取り付ける

VVFケーブルをしっかり繋いだら、コンセントをネジで壁に固定していきます。
このときに余分なケーブルが余っているときは、壁の内部に埋め込むようにしまいましょう。
とはいえ、壁の中に埋め込めるケーブルの長さは限界があるので、配線時にどのくらいの長さを取るのかも工事の良し悪しを左右します。
ほとんどの場合はケーブルが軽くたるむ程度でうまく収納できます。

コンセントを固定するときは、上下を間違わないように設置します。
コンセントに上下が書いてあるので、事前に確認してから取り付けていきましょう。
固定するときに使用するネジは、左右に微調整できるようになっているので、設置後のコンセントがまっすぐになるように調整しながら少しずつ締めていきます。

微調整を繰り返しながらまっすぐにコンセントを取り付けた後は、コンセントのカバーの台座を取り付けます。
台座の取り付けもネジ仕様となっており、微調整しながら固定していきます。
コンセント自体の固定に比べると比較的簡単な作業です。
コンセントに関する全ての部品を固定したら、最後にプレートカバーをカチっとはめ込んで工事は完了します。

③コンセント増設時に確認すべきポイント3つ

コンセントを増設したいと思うときは、普段の生活で不便を感じていることがほとんどです。
電気工事の中でも比較的簡単に工事できるとしても、事前に確認しておきたいことがいくつかあります。
代表的なものを3つ紹介しますね。

(1)増設したい目的を考える

コンセントの増設に必要な工事は、主に3種類あります。
目的により増設方法が異なるので、目的を明確にする方が工事もスムーズに進みます。

・コンセントがない場所に新しく増設したい

例えばキッチンやリビングで、家電を置きたい場所にコンセントがない、延長コードを使用すると何メートルもコードを伸ばさなければならないときなどが該当します。
既存のコンセントから分岐させることが可能であれば、やや簡単な工事で増設することができます。

また、コンセントの場所が足元にしかなく、床から少し高いところにコンセントが欲しいときも、新しく増設することが必要です。
普段の生活の中で、ここにコンセントがあったらいいな、その希望も叶えることが可能です。
マイホームをお持ちの方には、クローゼットの中、物置、玄関など意外な場所に増設を希望する方もいます。

・コンセントの差し込み口を増やしたい

既存のコンセントの場所ばベストでも、口数が足りないと感じているときはこのケースです。
ほとんどの場合タコ足配線になっていることが多く、その数によっては火災などの危険があるので増設した方が良いでしょう。

コンセントの差し込み口は通常2口が一般的ですが、3口~4口に増やすことで便利に使えるようになります。
タコ足配線が解消されることで、スマートな見た目を演出できるでしょう。

・コンセントボルト数を変更したい

家電は海外から購入したものの場合、対応するボルト数が異なることがあります。
その場合、日本のコンセントに差してしまうと故障の原因となり、最悪火災などを引き起こすことがあります。

どうしても気に入って購入した海外製の家電を使いたいときは、自宅のコンセントのボルト数の変更工事が必要になります。
事前に業者に相談してみることも良い方法です。

(2)増設したい場所を考える

住み始めのうちは気にならなくてもしばらく生活してみると、ここにコンセントがあればいいのになと感じることが多いものです。
設計の段階では実生活を予測して設置していても、ライフスタイルは人それぞれ異なるので予想外なことも多いはずです。
特にキッチンは、子どもの数やテーブルの形状、使用する家電の種類や大きさ・数によっても、コンセントの場所は見直す必要があるといえます。

基本的な考え方としては、どこでどんな家電製品を使うのかが重要で、同時に複数の家電を使うことが予測できるなら、ある程度容量も増やしておく方が良いといったことが挙げられます。
日々の生活の中でコンセントの需要を確認して、どこに増設すれば最も利便性が高まるかを考えて設置する必要があります。

近年では家族の人数に関わらず、利便性を重視したコンセントの増設場所選びが注目を集めています。
時代の流れを象徴するかのように、玄関にはクリスマスツリーなどのイルミネーション用として、洗面所には暖房器具用・扇風機用など、収納などには各家電の充電用といったように、コンセントの増設を希望する方が増えています。

コンセントの増設の希望があるときは、どうしても増設しなければ生活に支障が出る場合を除き、できるだけリフォームのタイミングで行う方がまとめて工事できておすすめです。

(3)コンセント増設時に電気容量の変更が必要かどうか

コンセントの増設をする前に必ず確認しておきたいのが、契約している電気容量はどれくらいなのかということです。
コンセントを増設しても、使える電気の容量が増えるということではないため、契約している容量を超えて電気を使った場合は、ブレーカーが落ちることがあります。
ブレーカーは、電気を使いすぎたときに自動で電気を切る遮断機のことで、建物内に設置してある分電盤内部に設置してあるものです。

建物内で使える電気容量は20アンペア前後が多いですが、コンセントを増設したらブレーカーが落ちるようになったからと言って、30アンペアで契約すればよいということでもありません。
電力会社との契約アンペア数がアップすれば、その分だけ電気の基本料金が高くなります。
増設したコンセントに使用する電気容量が少ないときや、たまにしか使わない場合は、エアコンや大型レンジ・圧力炊飯器などの電気消費量が多い家電を一時的に停止して使用するなどの工夫が必要です。

コンセントを増設するときは、新コンセントに使用する家電の容量はどれくらいなのか、使用することでトータルの電気量量が間に合うかどうかを考えることが必要です。

④まずは専門業者に現地調査を依頼しましょう。

コンセントの増設は、作業自体が簡単なので自分でできそうな気がしますが、実際には多くの専門知識が必要な作業です。
電気関係に詳しいでも、電気工事士の資格がない場合は、最寄りの電気工事業者などの専門業者に相談してみることをおすすめします。
専門業者に相談した場合、増設を希望する建物を現地調査してもらうことができるので、より具体的な電気に関する情報と、希望する増設が可能かどうかなどの詳細情報も得られるでしょう。
現状を把握した上で、どんな工事が必要なのかを提案してもらう方が、安心して取り組むことができます。

コンセント増設を希望する建物が賃貸住宅の場合は、建物の所有者や管理会社に相談することが必要です。
いずれの場合でも必ず専門業者に相談して、適切な対応を取るようにしてください。

まとめ

コンセントは普段の生活の中でなくてはならないものであると同時に、不便な場所にあっても役に立たないものです。
適切な場所に必要な数があるからこそ活用できるもののため、増設を希望する場合は事前にさまざまな角度から個数・場所・電気容量などを考えることが大切です。

コンセントの増設工事は、電気工事士がいる専門業者に依頼することを守り、工事中に起こり得る火災や感電などの事故防止ができる業者を選ぶようにしましょう。
マイホームのコンセント増設なら、増設目的や場所などを明確にした後、カバーのデザインにも目を向けてみてください。
自分の好きなカラーにすることはもちろん、近年人気を集めているアルミ製の金属プレートや、海外風のスイッチにするなど、増設とともに毎日が楽しくなるようなコンセントにすることができます。

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