ペットが亡くなったときの埋葬や葬儀の方法は?

ペットは私たちを癒したり、楽しませたりしてくれる存在です。ペットは「人生のパートナー」あるいは「家族の一員」として大切に思っている方も多いでしょう。しかし、ペットとの暮らしには必ずいつか終わりが訪れます。もしペットが亡くなったらどのような方法で埋葬や葬儀をしてあげるのか、あなたは考えたことはありますか?

この記事では、犬や猫のペットが亡くなったときの処置や埋葬方法、葬儀についてご紹介します。また、それぞれの埋葬方法のメリットとデメリットもご説明していきます。

大切なペットとのお別れをできるだけ良い環境でしてあげるためにも、この記事を読んで、ペットが健康なうちから葬儀や埋葬について考えておきましょう。

1.埋葬まで安置する方法

埋葬の話に入る前に、ペットの遺体の処置方法をご紹介します。葬儀や火葬などを行うまでの間に遺体が傷んでしまっては大変です。遺体を適切に処置し、できるだけ綺麗な状態を保たなければなりません。

遺体をしっかり処置しておけば、期間は限られますが、葬儀や火葬などを行う日程を伸ばすこともできます。適切な処置をした場合、夏場は4日から7日ほど、冬場は7日から10日ほど安置しておけると言われています。大切なペットとのお別れを後悔のないものにするためにも、処置の方法を学んでおきましょう。

遺体の状態を整える

ペットの体の大きさにもよりますが、大抵は2時間ほどで死後硬直が始まります。手足が伸びたままの状態で放置すると棺や火葬炉に入らなくなってしまう可能性があるので、硬直する前に手足をゆっくり折り曲げ、体の状態を整えます。口が開いてしまう場合は、硬直が始まるまでは布やゴムを使って固定しておきます。また、固く絞ったタオルで体を拭いて綺麗にしておきます。

遺体を冷やし安置する

安置する部屋の温度を寒く感じるくらいまで下げます。そして段ボール箱や木箱など、遺体の一回り大きいサイズの箱を用意します。死後硬直してからしばらく時間が経つと硬直が解けて遺体から体液が染み出す可能性がありますので、箱の底に新聞紙やタオルを敷いておきます。
箱の中に遺体を寝かせたら、遺体の周りを囲うようにドライアイスを置きます。特に頭とお腹の部分を重点的に冷やすようにします。ドライアイスがなければ、保冷剤や氷を使って冷やしてください。最後に、遺体をタオルで包んであげましょう。

2.埋葬方法は土葬と火葬の2択

ペットの埋葬方法は、火葬と土葬の2種類があります。それぞれの埋葬方法と、メリットとデメリットについてご説明していきます。

埋葬方法①火葬

ペットは飼い主にとっては家族同然の存在ですが、法律上は「一般廃棄物」として扱われます。つまり、ゴミとして扱われるということです。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によりゴミなどの廃棄物を燃やすことは禁止されているため、ペットの火葬を自宅で行うことはできません。
また、ペットを火葬するには1000℃ほどの温度で燃やす必要がありますし、動物の体が燃えているときの臭いや煙が近隣の住人の迷惑にならないようにしなければなりません。ペットの火葬業者が使っている火葬炉のような、しっかりとした設備を一般人が自宅で用意することは不可能です。

このように、法律的にも物理的にもペットの火葬を自宅で行うことは難しいので、火葬をしたい場合はペットの火葬業者にお願いする必要があります。

・ペット霊園業者に火葬を頼む

ペット霊園施設には専用の火葬炉が備わっています。ペット霊園施設では葬儀、火葬、納骨、供養など、ペットが亡くなったあとに必要なことを一通り行ってもらうこともできます。個別墓地や合同墓地が備わっている霊園も多いので、お墓に納骨した場合はお参りをすることも可能です。

・訪問火葬車で火葬をする

訪問火葬車とは、ペット用の火葬炉を搭載している車です。臭いや煙を車外に発生させないことや、車に会社名が書かれていないことなど、近隣の住民に迷惑がかからないような配慮がされています。ご年配の方や身体が不自由な方、忙しくてまとまった時間がとれない方など、ペット霊園などの施設へ行くことができない場合は、訪問火葬車に来てもらいましょう。

民間の火葬業者を利用するメリット

ペット火葬の専門の業者ですので、遺体の管理や火葬を安心して任せることができます。また、定期的に供養祭を行ってもらえたり、お墓の管理もしてもらえたりするところもあります。お骨を連れて帰る場合は、そのお骨を自宅の祭壇などに置くことで、ペットが亡くなったあともそばで存在を感じることができます。

民間の火葬業者を利用するデメリット

ペットの火葬をするには費用がかかります。体の小さいペットでも1万円以上の場合が多く、体の大きいペットでは10万円ほどの費用がかかることもあります。ペット霊園での葬儀や墓地の購入をする場合はさらに費用が追加されていきます。
また、ペット霊園などの施設で墓地を購入した場合、自宅から遠い場所の霊園であれば移動に時間がかかり、気軽にお墓参りに行くことが難しくなってしまうかもしれません。

埋葬方法②土葬

ペット霊園施設などの業者は火葬を行う場合がほとんどですので、土葬をしたい場合は自宅で行う必要があります。
ただし、ペットの遺体を公園や河川敷など、自分の敷地以外の場所に土葬することはゴミの不法投棄と同じで犯罪と見なされます。土葬は必ず自分の家の庭で行いましょう。また土葬をする際は、近隣住民への配慮や衛生面にも気を付けなければなりません。

それでは、土葬をするときに必要なものや土葬の方法をご紹介していきます。

土葬の方法

まずは木綿や絹などの自然素材で作られたタオルを用意しましょう。ポリエステルなどの化繊は土に還りにくいのでおすすめしません。穴を掘るときに必要なのはシャベルと軍手です。それから手向けの花や、墓標となる板や石なども用意しておくと良いでしょう。

①埋葬場所を決める

まずは場所を決め、その場所が土葬をしても問題がないか確認してください。配管がないか、水はけが良いか、周辺の水場や畑への影響がないかという点に注意します。

②穴を深く掘る

最低でも深さ1メートルの穴を掘ります。浅い位置に遺体を埋めると、動物の遺体の臭いを嗅ぎつけて野良猫やカラスなどが集まってきたり、掘り返したりしてしまう危険性があります。また、遺体に虫が湧いて地上に出てきてしまうおそれもあるので、穴はできるだけ1メートル以上深く掘ってください。

③タオルを敷く

掘った穴にタオルを敷き、遺体を包みます。遺体と一緒に手向けの花も入れてあげましょう。

④埋め戻す

埋め戻すときは土を多めに盛っておきます。時間が経つにつれて土は下へだんだんと下がり、土の量が減っていってしまうからです。埋め戻したあとは墓標を建ててあげましょう。

土葬をするメリット

自宅の庭に土葬するので、ペット霊園に行かなくても毎日好きなときにお参りをすることができます。亡くなったペットが自分のすぐ近くで眠っているのだという安心感もあるでしょう。
また、ペットの火葬業者に頼むよりも費用が少なくて済みますし、お別れの儀式も自分の好きな時間に好きな方法ですることができます。

土葬をするデメリット

個人で行うため、衛生面や野生動物への対策などを自分で配慮しなくてはなりません。また、家の近くに動物が埋葬されていることに対してあまり良い気がしないと考える人もいるので、近隣の住民に相談せずに土葬を行うとトラブルになる可能性もあります。
さらに、引っ越しをした場合、新しくその土地で暮らし始めた人がその場所を掘り返してしまうこともあるかもしれません。土葬した遺体はしばらくの間土に還らずに残っていますし、土の中でミイラ化してそのまま残ってしまうこともあるのです。家庭菜園をしようとして庭を掘り返したら動物の遺体が出てきたとなれば、不快に思う人もいるでしょう。

火葬してから土葬する方法もある

ペットの火葬業者に火葬をしてもらってから、受け取ったお骨を自分の家の庭で土葬するという方法もあります。この方法ならば土葬をしたあとに臭いがしたり虫が湧いたりということはありませんし、野生動物に掘り返される心配もありません。
ただし、引っ越しなどによってその土地が他の人の手に渡り、庭を掘り返した際にお骨が出てきてトラブルになってしまうこともありますので、火葬してから土葬する場合もリスクはあるということは頭に入れておきましょう。

自治体に依頼をすることも可能

ペットの遺体の処理方法として、火葬を自治体に頼むという選択肢もあります。しかし自治体での火葬は精神的な面でのデメリットが大きいため、きちんとしたお見送りをしたいと考えている方にはおすすめしません。

自治体に依頼するメリット

自治体での火葬にかかる費用は2千円から1万円程度です。民間のペット葬儀業者では1万円以上かかる場合がほとんどなので、自治体での火葬はかなり金額が低いと言えます。

自治体に依頼するデメリット

ペット専用の火葬炉が備わっている自治体はほとんどありません。そのため、遺体はゴミとして処理されてしまいます。ペットの遺体以外の普通のゴミと一緒に燃やされる場合もあります。ですからほとんどの自治体では火葬の立会やお骨の返却、墓地への埋葬も行っていません。
また、土日や祝日は運営していないところが多いので、平日に行かなくてはなりません。平日に休みがとれない方や、必ず家族や知人が全員揃ってお見送りをしたいと考えている方には、自治体での火葬は向いていません。

廃棄物として処理をするのは最終手段

ペットの遺体は法律上は「一般廃棄物」なので、火葬してもらう以外にも、燃えるゴミとして処理してもらうということも可能です。ペットを埋葬できる費用や土地をどうしても用意ができないという場合には、他人の土地に不法投棄をしないための手段としてこの方法を使います。
しかし、大切な家族として一緒に暮らしてきたペットの遺体をゴミとして扱うことは抵抗があると思います。ペットが突然亡くなったときに遺体をゴミ扱いをしなければならない事態にならないためにも、埋葬するための費用や土地などはペットが健康なうちからあらかじめ準備しておきましょう。

3.葬儀を行うには

民間のペット霊園施設や火葬業者では、葬儀を行うことができます。今まで家族として過ごしてきた大切なペットをしっかりと供養してあげたいと考えているのならば、民間の業者に葬儀の依頼をしましょう。

①業者に連絡する

業者に連絡し、どのように葬儀を行うのか相談していきます。火葬や葬儀は個別で行うか合同で行うかを選べる場合がほとんどです。また、お骨は返却するのか、お墓は作るのかなどの具体的な内容を決め、見積もりを出してもらいます。

②ペットの遺体を引き渡す

火葬車で火葬する場合は自宅に火葬車が来ます。ペット霊園などの施設で火葬を行う場合は、業者が車で遺体を迎えに来るか、自分たちで直接会場に持ち込みをします。

③お別れの儀式、火葬をする

決められた日に葬儀を行います。その後、個別火葬の場合は火葬の立会と骨上げをします。合同火葬の場合は火葬の立会と骨上げができないこともありますので、葬儀の依頼をする際にしっかり確認しておきましょう。

④納骨、永代供養

合同火葬の場合は、合同の供養塔などの決められた場所に納骨されます。個別火葬の場合は、納骨室で供養してもらうか、墓地へ納骨するか、お骨を自宅へ連れて帰るかのどれかを選ぶことになります。ペット霊園などの墓地はいつでもお参りに行くことができますし、定期的に供養祭を行ってもらえます。

4.犬の死亡届の提出は飼い主の義務

亡くなったペットが犬ならば、死亡届の提出を必ずしましょう。通常犬を飼う場合は、飼い主の住んでいる市区町村に犬の登録をすることが義務付けられています。登録している犬が亡くなったときにその登録情報を抹消しないと、狂犬病予防接種などのお知らせが例年通り届いてしまいます。死亡届の提出は飼い主の義務ですので、亡くなった日から30日以内に死亡届を提出し、登録情報を抹消しなければなりません。

届け出の際に必要なもの

まずは犬鑑札と注射済票を用意します。犬の登録をした年度や鑑札の番号、犬の名前、死亡した年月日などの情報も必要ですので、すぐに記入できるように事前に確認しておきましょう。

死亡届の提出方法

登録している保健所や市区町村の役所に行って死亡届を提出します。市区町村のホームページから電子申請することができる場合もありますので、役所に行く時間がない方や身体が不自由な方などはホームページをチェックしてみましょう。

まとめ

この記事では、ペットの遺体の処置方法や埋葬方法をご紹介してきました。ペットの埋葬には火葬と土葬の2種類がありますが、それぞれメリットとデメリットがあります。ペットの埋葬にどの程度の費用や時間、手間などをかけるのかは人によってさまざまだと思います。どのように埋葬するのか、どれくらいの費用が必要になるのかを、自分自身でよく考えたり家族としっかり話し合ったりしておきましょう。

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